
子どもたちの知る権利の問題
マンガ「はだしのゲン」が、
島根県松江市の教育委員会の判断で、
市内小中学校での閲覧に制限がかかり、
閉架書庫にされたことが問題になっています。
先日“マンガを活用したコミュニケーション”
のタイトルで記事をアップしたところですが、
この判断には大いに不満があるので、
自分の意見を述べます。
私自身、
「はだしのゲン」はリアルタイムで読み
子ども心に物凄く衝撃を受けました。
親が購入して自宅に置いてあったのを、
シリアスなテーマであるにも関わらず、
一気に読み終えた記憶があります。
それはなぜか?
理由は簡単です。
マンガだからです。
井伏鱒二の「黒い雨」も学校の課題図書か
何かになり読んだ記憶がありますが、
正直内容までは覚えていません。
「はだしのゲン」は、
原爆という重いテーマを扱った作品でありながら、
マンガであるがゆえに、
子どもたちも読んでみよう触れてみようと
思うことはないでしょうか。
確かに、
ビジュアルからインプットされた
情報というのは記憶に残ります。
そのため、
過激な描写が良くないという判断のようですが、
そのマイナス面を補って余りある、
教育的な価値を持つ作品です。
20か国以上の国で翻訳されたものが
発刊されているのがそれを証明しています。
松江市の教育委員会は、
市民からの声を聞いて閉架扱いに
することを決めたようですが、
それはいったい何人の市民からの
声だったのでしょうか。
何百何千人の署名が寄せられたとでも
いうのでしょうか。
松江市の教育委員会には、
今からでも決して遅くありませんので、
この決定を是非撤回して頂きたいです。
現松江市教育委員長の内藤富夫氏が、
平成23年5月の会議において、
出席委員の推薦で委員長に選ばれた時の
議事録が以下の通り公開されています。
http://www1.city.matsue.shimane.jp/k-b-k/kyouiku/kyouiku-iinkai/kyouiku-iinkai/kaigi-naiyou/h23.data/content230523.pdf
その中に、
教育委員長指名受諾後のあいさつで内藤氏が、
次の様に述べている部分があります。
「教育委員会と言うのは市民の方々が利用する
教育あるいは市民の皆様の学習に関してより大きな
責任を持っているということになる。
私どもは誕生後、生涯に亘って学ぶことを
続けており、その過程で知識を身に付け
、技能を身に付け、人格を形成して
社会の一員として、大きく言えば
人間文化の創造に参加しているわけである。」
“大きく言えば人間文化の創造に参加”
素晴らしい見識です。
この発言と今回の決定は、
極めて矛盾を孕んでいると思うのは
私だけでしょうか。
土門拳の写真集「ヒロシマ」と、
中沢啓治のマンガ「はだしのゲン」で、
原爆被害のリアルな実態に触れた者として、
子どもたちの知る権利を奪わないで欲しい
と願わずにはおられません。