Banbi通信 VOL.345 | 初鹿明博オフィシャルブログ Powered by Ameba

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中央省庁が障がい者雇用数を水増し!

地方自治太についても、厚労省は徹底調査をするべきだ!

 

 お盆明けにもかかわらず、厳しい残暑が続く中で、中央省庁において障がい者雇用数を水増ししていたというとんでもない疑惑が持ち上がっています。

 ご承知の通り、障害者雇用促進法において、民間企業、公的機関ともに全従業員数に対し一定割合の障がい者を雇用することが義務付けられており、この割合を法定雇用率と言います。この法定雇用率は、これまで、民間企業で2%、国、地方公共団体等で2.3%、都道府県等の教育委員会で2.2%だったものが、今年の4月1日から民間企業で2.2%、国、地方公共団体で2.5%、教育委員会で2.4%と引き上げられたばかりであります。

 民間企業に比べ、国や地方自治体の法定雇用率が高くなっているのは、模範となり、国や自治体が率先して障がい者を雇用することで、民間企業における雇用を促してくためであり、公的機関の責任として、より多くの障がい者の働く場を確保することが求められているからであります。

 その模範であるべき最たる存在の中央省庁で、本来障がい者雇用数の対象とならない人を対象に加える等して、雇用している障がい者数を水増ししていたというのですから、驚きました。

 民間企業は法定雇用率を達していないとペナルティとして一人当たり月5万円の納付金を支払っています。民間企業からペナルティを取っておきながら、政府が雇用数を胡麻化していたというのですから、憤りを通り越して呆れるばかりです。

 この事実が報じられたことを受けて、21日に野党5党1会派による野党合同ヒアリングを行い、障がい者雇用を所管する厚生労働省はじめ全省庁から聞き取りを行いました。

 どの省庁も現在精査中と明確な回答は返してきませんでしたが、複数の省庁で水増しの事実があることは判明しました。

 実はこの問題、6月20日に各省庁に対して厚生労働省から調査するように指示が出されていたのです。2か月も前に政府全体として雇用数の水増しが組織的に行われていた可能性があることを把握していながら、公表せずに隠していたというのです。

 ここでも安倍政権の臭いものには蓋をする隠蔽体質が見え隠れします。

 各省庁の状況については今後明らかになっていくと思いますが、法定雇用率が定められた42年前からこの種の水増しは行われていたようで、ここまで放置してきた責任は非常に重いと考えます。実数は現時点で明らかにはなっていませんが、2000人を超えるとの報道もあり、これが事実だとすると中央省庁で雇用している障がい者6900人の3割近くが水増しだったことになります。これば、国全体で障がい者を愚弄していたと言っても言い過ぎではないと思います。

 また、水増しは中央省庁に限ったことではありませんでした。都道府県の中にも長年、水増ししていたことが明らかになった県が複数出てまいりました。

 厚生労働省も都道府県の状況について調査を始めたようで、今後、更に水増ししていた都道府県は増えていくことでしょう。

 国、都道府県で水増ししているとなると、市区町村も行っている可能性はありますから、全自治体で調査をする必要があると考えます。

 これまで、政府全体として障がい者雇用率は2.49%あり3月末時点で法定雇用率を達成していることになっていました。しかし、省庁によっては1%程度のところもあるなど、多くの省庁が未達成になるものと思われます。

 先述した通り、民間企業なら本来雇用しなければならない人数分の納付金を一人当たり5万円支払わなければなりません。国の機関はお咎めなしでは納付金を支払ってきた民間企業に示しがつかないと感じます。

 しかし、この事実は民主党が政権を持っていた当時も行われていたことに加えて、国会として見抜けなかったという点で行政監視がしっかりと出来ていなかったとも言え、与野党共に責任があると感じています。

 4年前の2014年に厚生労働省が所管する独立行政法人で今回の件と同様の障がい者雇用数の水増しが発覚し、他の独法についても調査を行いました。その時に中央省庁についても調査をしていれば、その時点で是正が出来ていたはずですが、中央省庁について調査するべきだとならなかったことで、問題発覚が4年遅れてしまったのです。まさか民間の模範となるべき中央省庁が不正を行うとは思わなかったからなのでしょうが、私も現職の議員でしたから、その時にどうして各省庁がきちんと行っているのか確認しなかったのか悔やまれてなりません。

 森友学園の公文書改ざんで明らかになったように政府機関だとしても簡単に信用してはならないことを学びましたので、今後は常に厳しい目で行政の監視をしていかなくてはならないと感じています。

 また、事実解明は必要ですが、政府を責めるだけではなく、何故このような水増しが行われることになったのかという根本的な原因を突き止め、そこを改善していくことが必要であると考えます。

 行政改革が叫ばれて久しいですが、行政改革は本来なら行政が行うべき仕事と民間でも担える仕事と仕分け、その結果、人がどの位必要なのかという観点で考えるべきところを、単に公務員の数さえ減らせばよいという意識に陥っていたように感じます。そして、人員削減のために、現場に近い人員を減らしていき、委託や請負などの形態で民間に任せるようにしていった。その結果、政府や自治体が支出する人件費は減少したものの、それぞれの現場で働く人の頭数は減っておらず、単に身分の違う人が同じ業務なのに安い賃金で働くようになってしまっただけなのではないでしょうか。こうして、官に関わる業務を請け負う民間の労働者は低賃金で不安定な雇用に置かれることになり、官製ワーキングプアという言葉まで生まれることに繋がったのではないでしょうか。

 現場に近い業務の中に障がい者の特性にマッチした業務が多くあり、実はそこに多くの障がい者、特に、身体ではなく知的や精神、発達障がいの方々の雇用を生み出す余地があると考えます。

現在のように障がい者が一般就労出来ずにいわゆる作業所と言われるような福祉的就労にしか就けない状況では、年金をもらう年齢になった時、基礎年金に障がい者年金を上乗せした額しかもらえません。その結果、生活保護を受給する等、税による支援が必要になっています。これが、一般就労して厚生年金に加入出来れば、老後に受け取れる年金額も増加し、自分の年金だけでグループホームに入ることが出来るようになります。つまり、今ここで公的な雇用を増やして働いた対価として税金を使うことを選ぶのか、親が生存している時はそこに頼り、親亡き後は税金で支え続けることを選ぶのか、どっちが生きたお金の使い方なのかは自ずと答えは出てくると思います。

 私はこの問題を機に、障がい者を公的機関が雇用する意義を考え、まだまだ進んでいない知的や精神障がい者の雇用を大幅に増やす努力をするべきだと考えます。