Banbi通信 VOL.293 | 初鹿明博オフィシャルブログ Powered by Ameba

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役員報酬52億円、株の配当92億円…
アベノミクスの果実は誰が享受したのか?


 急速に株価が下落しアベノミクスの失敗が明らかになりつつあります。
 日銀は禁じ手であるはずのマイナス金利を導入、個人には影響がないというものの、銀行が個人預金の利率を下げ始め出したことを考えると、全く影響がないとは言えない状況です。
 さて、安倍総理は常にアベノミクスによる果実を分配に廻す経済の好循環を作ると言い続けてきました。確かに経済成長が無ければ再配分する原資が限られてしまうので、経済の成長は必要です。しかし、アベノミクスの結果生まれた果実がどこに再分配されていっているのかが重要で、安倍政権の下で進められていることは格差の是正には全くつながらない、むしろ格差の拡大を助長することであったことが明らかになってきました。
 この事実を国民の皆さんも認識し、安倍内閣が進めてきたアベノミクスの3年間の評価を下していただきたいと思います。
 2月5日の予算委員会でアベノミクスの果実を享受しているのは誰だったのかという趣旨で幾つか質問をいたしました。(時間切れで最後まで出来なかったので後日続きを行なう予定です)
 安倍総理はアベノミクスの結果、雇用が増え、労働者の賃金が上昇していると主張しています。確かに経団連加盟企業においては、14年度で2.2%、15年度で2.5%アップしています。
 しかし、物価の上昇や消費税の導入を加味した実質賃金で考えると、13年で0.8%減、14年も2.8%減となっているのです(厚労省の勤労統計調査による実質賃金)
 その一方で、大企業の役員の役員報酬(2015年)については、1億円以上の役員報酬を受け取った方は52人増えて、総額で約820億円。前年同期比で約150億円の増となっていて、これを割合に直すと前年同期比で22%増になるのです。
 役員の数が植えていることもありますが、一般社員の伸び率に比して役員の報酬の伸び率は過剰すぎると思うのは私だけではないと思います。
 皆さんは、2015年度に最も役員報酬を受け取った大企業の役員が幾らの役員報酬を受け取ったかご存知でしょうか?
 商工リサーチの調査によると、基本報酬額でトップだったのは皆さんもご存じの日産自動車のカルロス・ゴーンCEOで10億3500万円でした。この額でも多いなと思いになると思いますが、退職金も加えた最も役員報酬を得た人は、何と54億7千万円、前年から52億5700万円も増額です。約45億円は退職金のようなものであったということですが、50億円というのは、年収500万円の社員を1000人雇用出来る額ですから、この金額は過剰だと感じる方が大半ではないでしょうか。
 しかし、これは役員報酬であって企業のトップの皆さんの収入はこれが全てではありません。アベノミクスは株高と円安に支えられていることはご承知の通りで、株高は株を持っている方にしか恩恵がないではないかという指摘がされてきました。しかし、その恩恵がどの程度のモノなのかが示されていませんでしたが、これまた商工リサーチの調査によると15年末で最も株の配当を受けた企業の役員は92億4820万円(役員報酬は1億3100万円)にも上るのです。この額は株の売った譲渡益ではなく配当金ですから株を保有しているだけで入ってくるものですから、汗を流して働いている皆様方からすると遣り切れない思いになるのではないでしょうか?
 以上のように、アベノミクスの果実は庶民には届かず、大企業やその役員、株主のところで回っていると言っても言い過ぎではありません。
 大企業が儲かれば下請け企業や社員に回っていく、いわゆるトリクルダウンが起きて、経済が好循環していくと安倍総理は言ってきましたが、実際にはトリクルダウンは起きていないのです。
 実はアベノミクスの恩恵を享受している中に忘れてはならないモノがあります。
 それは、自民党です。
 自民党政権に戻り、経団連が自民党への企業献金を再開、会員企業への呼びかけを復活しました。
 その結果、自民党の政治資金管理団体である国民政治協会への企業団体献金の額は、政権交代後うなぎ上りの増加しており、12月まで野党だった12年度は13億7千万円でありましたが、翌13年度は、そこから42.6%増加して、19億5千万円、14年度は、前年から13.4%アップ、22億1500万円、これは、12年度と比較すると61.7%のアップです。
 雇用労働者の中では恵まれている経団連企業の社員でさえ2%程度の賃上げ率で、全体の実質賃金は0.9%減になっている中で、自民党への献金がこれ程まで増加していることに違和感を覚えないでしょうか?
 加えていえば、この献金が影響しているのか、企業に対する政策減税が自民党に政権が戻ってから拡大しており、民主党政権時から倍増して14年度は1兆2000億円にも上っています。この減税の恩恵を受けているのは約6割が資本金100億円以上の巨大企業なのです。さらに言えば、現在審議されている税制改正案の目玉のひとつは法人税減税です。このように自民党に巨額の献金をする大企業により多くの恩恵がある税制改正が行われる一方で、庶民には我が国の財政は大変厳しいからと言って消費税の増税を求めている。これがアベノミクスの正体なのです。
 私は我が国が抱えている少子化や格差の連鎖を止めるためには、このような富裕層や大企業のみが利益を享受するのではなく、子育て世代や若者の貧困層への対策を強化してかなくてはならないと考えています。
 しかし、安倍総理には全くその視点はありません。この逆立ちした政策を転換させるためにも安倍政権を退陣させなくてはならないと感じます。