Banbi通信 VOL.277 | 初鹿明博オフィシャルブログ Powered by Ameba

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小2で行われる「生い立ち授業」
 非血縁家庭などへの配慮が必要では?

 お子さんのいらっしゃる方は記憶にあるかもしれませんが、現在、小学校2年生の生活科の中で、自分の生い立ちを振り返る「生い立ち授業」という授業が行われています。
 この授業に対して、里親や養子縁組して実子としてお子さんを育てている親から、困惑の声が上がっているという趣旨の報道がありました。
 私も自分の子ども達が小学2年生の時に、産まれた時、初めて立った時、初めてしゃべった時にお父さんはどう感じたのか聞いてくるという宿題がありました。
 記憶が間違っていなければ、産まれた直後など、時々の写真も持っていくことになっていたと思います。
 この時に、我が家のように両親が揃っている家庭は良いけど、母子家庭、父子家庭の場合は子どもは辛いだろうな、親が再婚している場合はどうなんだろうかと感じ、きちんと配慮がされているのだろうかと心配となったことをこの記事を見て思い出しました。

 そこで、今回は「生い立ち授業」について考えてみようと思います。
 まず、学習指導要領上では、「生い立ち授業」という記載はありませんが、このような授業が行われる根拠となる記載として、生活科の第1学年及び第2学年のところで、「自分自身の成長を振り返り、多くの人々の支えにより自分が大きくなったこと、自分で出来るようになったこと、役割が増えたことなどが分かり、これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもつとともに、これからの成長への願いをもって、意欲的に生活することができるようにする」とあります。
 この記載に基づいて「生い立ち授業」が行われているのです。
 学習指導要領の記載をそのまま読めば、「自分の成長を振り返って、これまで関わって支えてくれた人々に感謝の気持ちをもつ」ということですから、良いことだなと思います。この内容を否定するものではありません。
 しかし、その方法として、両親に子どもの頃のことをインタビューする、幼い頃の写真を持って来させる等のことを行なうことは、家族の形態が多様化している中で、子どもにとっても、親にとっても負担に感じるケースが出てくるので適切な方法とはいえないと感じます。
 文部科学省も様々な家庭環境の子どもがいることを想定していない訳ではなく、「小学校学習指導要領解説 生活編」の中で「活動によっては、児童の誕生や生育にかかわる事柄を扱ったり、家族へのインタビューを行ったりするとともに、それぞれの家庭の事情、特に生育歴や家族構成などに十分配慮することが必要である」と警告を発しています。

 しかしながら、これが現場の教員に徹底されているかというと、かなり疑問が残ります。
 実はこの「生い立ち授業」について疑問を抱いた研究者が3年前に小学校教員への実態調査を行なった論文を発表しています。
 その中で、里親家庭がいることを想定していた教員はいたものの、非血縁の養子縁組家庭が存在していることを想定していた教員は一人もいなかったという指摘がされています。
 非血縁の養子縁組で戸籍上も実子として届け出ており、実子として育てている親が、あえて学校に本当は養子だと報告することはありえないので、学校側が全ての家庭の家族の状況を正確に把握することは不可能です。
 母子家庭や父子家庭、里親家庭というように学校側が把握できれば、配慮も出来るでしょうが、学校側が把握出来ない場合は教員に相当の意識が無いと不用意な発言をしてしまったり、親が困るような質問事項を課題にしたりということが起こってしまうと感じます。
 この論文でも指摘されていますが、価値観が多様化し、一方が外国人の親を持つ子ども達も増えてきている上に、虐待などによって血縁関係のある親には育てられていない子どもも増えている現状を考えると、「生い立ち授業」に限ったことではありませんが、学校現場において、血縁主義の家族観に基づいて教育活動を行なうのではなく、非血縁家族も含めた多様な家族観を前提としていく必要があると強く感じます。
 道徳の教科化が進められようとしていますが、その場合に、特にこの点はしっかりと留意して欲しいと考えます。
 何か感じることがございましたら、ご意見をお寄せいただければ幸いです。


維新の党、新代表
松野頼久幹事長が就任!

 大阪都構想の否決を受けて、橋下市長が政治家引退を表明、維新の党・江田憲司代表も「橋下徹という稀有な政治家を引退に追い込んだ」責任を取ると言って辞任しました。
 国会会期中、安保法制や労働法制という重要案件が控える中で、早急に新代表を選出して党の結束を固めなければならないということで、19日の両院議員総会で新代表を選出することとなり、松野頼久幹事長を新代表に選出することを全会一致で決定いたしました。
 松野新代表の下で、一致団結して安倍政権の暴走に歯止めをかけるべく、野党共闘を強めていくことを期待しています。