日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです
特集は<メガ銀、リテール再興 主戦場はデジタルに>です。私が日経コンピュータのザッピングを行っているのは、企業の基幹システム刷新に資する情報を得るためです。銀行の戦略には残念ながら興味がありませんでした。政治的な話でなく技術の話を聞かせてほしいです。
また、当号には吉例Book in Bookの「日経BPガバメントテクノロジー2025年秋」が55頁と「顧客満足度No.1企業に訊く」という広告が30頁入ってましたので倍ほどの厚みでした。
【ITが危ない:システム刷新で「内部統制無効」 相次ぐ決算訂正が示す問題】(P.08)
システム刷新の影響で決算の訂正を行うだけでなく、財務報告に関わる内部統制について「有効でない」と開示した企業があります。
・キーコーヒー:2025年1月に新たな基幹システムに移行。在庫データが2重計上され2025年3月期の純利益を37%減と下方修正
・ツインバード:2024年11月にERP「mcfreme」導入。システム不具合で原価計算に誤り。内部統制を「有効でない」と開示
防ぐための5つのポイント
①業務プロセスの整理と統制要件の明確化 ②適切な時・人の関与 ③外部委託先の統制確認 ④人材の強化 ⑤経営層の理解とリーダーシップ
※この2件の事例と①~⑤は関係が薄いように思います。単にテスト不足じゃないのでしょうか?
【メガ銀、リテール再興 主戦場はデジタルに】(P.11)
1.日銀がならした号砲 個人向け事業に活路
金利のある世界への回帰を日銀が誘導し、個人向け戦略を着々と進めています。
・三菱UFJFG:自前主義。個人向け「エムネット」始動
・みずほ:楽天グループとの連携
・三井住友FG:オープン戦略でTポイントやソフトバンク提携
・りそなHD:りそなGアプリで顧客接点。アプリは横展開
2.自前主義の三菱UFJ 単独で新デジタル銀
新ブランド「エムネット」を旗印に、ロボアドバイザー国内最大手のウェルスナビを完全子会社化。家計簿アプリのマネーツリーも買収しました。エムネットの中核を成すデジタル主体の新銀行を2026年後半に単独で開業させる予定です。
3.先行する三井住友 Olive軸に提携推進
個人向け総合金融サービス「Olive」を展開し、想定を上回る成果を上げています。2024年には当初計画よりも1年前倒しでOlive事業の黒字化を達成しました。ポイントサービスはTポイント、家計簿アプリはマネーフォワード、決済はPayPayと連携しています。
4.みずほは楽天とタッグ 地銀連合目指すりそな
みずほFGは楽天グループとの連携を中心に、既存チャネルを拡大しています。
りそなHDは2018年から提供する「りそなグループアプリ」を中心とし、アプリで得た顧客の行動ログなどを「りそなDMP」に格納し、デジタルマーケティングを活用しています。また地銀8行と連携して共創関係を築いています。
*みずほFGは4000億円かけ勘定系を刷新。トラブル続きで今年また1151億円かけてリニューアル予定。三井住友の勘定系リニューアルは500億円です。この差はなに?
【IT Japan Award 2025】(P.34)
日経コンピュターが主催し、優れたIT活用事例を毎年発表する「IT Japan Award]の19回目の発表がありました。
グランプリ:富士フィルムHD
→ブロックチェーンで部品調達を刷新。3万品目
準グランプリ:Sustainable Shared Transport
→ヤマトHDが富士通と構築した共同配送システム
特別賞:
・伊藤忠商事・・・デジタル変革
・サントリー・・・現場内製で100のアプリ
・マツモトプレシジョン・・・SAPのCO2モジュール
・明治HD・・・30年来のメインフレーム完全撤廃
・KDDI・・・顧客データを暗号化したまま分析する
※グランプリで部品調達にブロックチェーンを利用する意味がわかりませんでした。
【インタビュー:ぐるなび 社長CEO 杉原 章郎氏】(P.76)
2025年3月期、コロナの影響で赤字になっていたものが黒字に転化しました。コスト体質を大幅に見直し、1ヶ月に20億円の売上がないと利益がでなかったところを、10数億円あれば利益が出るようになりました。
掲載料を頂いていますが、店の予約を誘導するところまで進めないと掲載料の維持が難しくなっています。2018年7月に資本提携した楽天グループとの連携を強め、楽天経済圏の中で伸ばしていきます。
Googleマップに店舗情報を掲載する運用支援を行っています。ぐるなびへのアクセスには繋がらないこともありますが、飲食店にとって本職ではない販促や顧客関係管理は我々が代行した方が効率的です。今後AIを使ったサポートを行っていきます。
※ぐるなび はほとんど使ったことがなかったのですが独立系だったのですね。画面が綺麗なのでどこか大手の運営かと勘違いしていました。
【RKKCS導入自治体でシステム障害 窓口業務ができず、情報伝達に課題】(P.81)
ガバメントクラウドの障害対応に課題があることがわかりました。福岡県広川町では自治体向けシステム開発を手掛けるRKKCSの「新総合行政システム」を利用しています。同システムはガバメントクラウドの1つ、米オラクルのOCI上で稼働しています。
広川町は公表資料で障害の原因がOCIにあることを示唆しましたが断定は出来ませんでした。住民には何が発生しているのかわからない状況でした。
ガバメントクラウドはデジタル庁がオラクル社などのクラウドサービス提供者(CSP)と契約した上で、デジタル庁が各自治体に利用権限を付与します。自治体はデジタル庁やアプリケーションサービス提供者(ASP)などと個別に契約し、アプリケーションを利用します。今回の場合、日本オラクルと、RKKCSとの間には直接の契約関係がないためオラクルの障害情報が入手しづらい状況でした。
オラクル ー デジタル庁 ー 地方自治体 ー RKKCS
デジタル庁がガバメントクラウドに関する情報提供などを担う「GCAS(Government Cloud Assistant Service)」に障害情報を共有したのは、障害が解消した翌日でした。
※デジタル庁がオーバーヘッドにしかなっていないことが明白なので運用技術者からオラクルへの直接の連絡手法が必要でしょう。
【Google検索の「AIモード」が日本語に AI検索の波が本格的に押し寄せる】(P.82)
2025年9月9日、米グーグルはAIを活用した検索機能「AIモード」の日本語での提供を開始しました。
AIモードでは「クエリー・ファン・アウト(query fan-out)」という技術を活用します。質問を噛み砕いて複数に分解し、それぞれの検索を実行して組み合わせる手法です。
AIが回答を直接示せば、ユーザはそこで概要を閲覧する必要がなくなるため、情報元のサイトはトラフィック数の減少への懸念を強めています。グーグルは「観測されるトラフィック数は安定しており、減少は見られない」とこうした懸念を否定しています。
※回答の横に参考にしたリンクが見やすく一覧されていますのでPCでは使いやすいと想います。
【CIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025 三菱マテリアル板野則弘氏が大賞に】(P.86)
■日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025
大賞:三菱マテリアル 板野則弘氏
→IT子会社設立、DX戦略を策定し推進
特別賞:日本取引所G 田倉聡史氏
→現物株売買システム「arrouwhead4.0」指揮
:みんなの銀行 宮本昌明氏
→デジタルバンクの設立、勘定系の外販
■日本クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2025
大賞:サイバーエージェント 長瀬慶重氏
→生成AI事業成長、AI時代を見据えた人事改革
特別賞:アルバック 清田淳也氏
→医療や量子コンピュータの事業創出
:日亜化学工業 成川幸男氏
→長期視点での内製化にこだわり光デバイスで業界トップ
※CIO/CTOが引っ張ることで企業のITが進む事は間違いないので会社としての表彰よりは意味があると思います。ただ、IT Japan Awardと表彰企業が重なってないことが残念です。
【ケーススタディー:東京ガス】(P.90)
<基幹系をマルチSaaSで刷新AIなど最新技術も導入し質向上>
東京ガスは、経理・会計分野の基幹システムをクラウドサービスで刷新しました。ガスの小売と分配(導管)を分離する成否方針に従い、導管部分を東京ガスネットワークとして分離しました。
会計システム移行のためにはオンプレミス環境も2社分を構築するしかなく数十億円必要でした。また経済産業省がルールを定めた「ガス会計規則」と、上場企業が採用する「一般会計規則」の2つの会計規則を使い分ける必要が生じしました。ガス会計規則は5000を超える勘定科目を使っています。
ベンダーに提案を求め、PwCコンサルテイングが持っているテンプレートに決まりました。2023年2月に要件定義開始し、2025年4月に切り替えました。これらの業務をほぼSaaSの標準機能でカバーしました。5000を超える勘定科目の変換ルールは「DataSpider Servista」に人手で整備しました。
会計システム:SAP S/4HANA Cloud
固定資産管理:ProPlus (プロシップのSaaS)
データ連携基盤:DataSpider Servista
伝票登録システム:Spendia (TISのSaaS)
AI入金消込:STREAM AI ARM (MiletosのSaaS)
取引先への帳票:楽楽明細 (ラクスのSaaS)
今後このシステムをグループ会社にも利用できるようにする予定です。
※売上や在庫システムからの仕訳連携に関して殆ど書かれていませんので全体像がわかりませんでした。
【動かないコンピュータ:イセトー】(P.96)
<300万人分の個人データが漏洩 個情委の行政指導で数々の不備が露呈>
京都で情報処理サービスなどを手掛けるイセトーは、金融機関や地方自治体といっった団体から委託を受けて、様々な通知書の印刷・発送業務のための個人情報を預かっていました。
2024年5月に第三者から不正アクセスされ、個人データが漏洩しました。また個人データがランサムウェアによって暗号化され、ファイルがダークウェブ上の公開されました。2025年3月に個情委はイセトーへの行政指導を公表しました。漏洩の影響を受けた個人データは300万件以上であることがわかりました。
イセトーは、社内のネットワークを業務用と基幹用に分けていました。個人データは業務用だけで取り扱うルールでしたが、このルールは明文化されていませんでした。
イセトーの全56部署中3部署では、基幹系ネットワークに個人データをコピーして業務を進めていました。
基幹系ネットワークがVPN機器を経由して不正に侵入され個人情報が被害に会いました。VPN機器は2021年4月以降アップデートされておらず、最新のパッチを適用していませんでした。業務用ネットワークには侵入されていませんでした。
※イセトーは1855年、江戸時代に紙屋として創業し時代の変化に応じて変化し続けてきた企業です。こういう企業は応援したくなります。
【キーワード:vibe coding(バイブコーディング)】(P.103)
vibe codingとは、人がコードを記述することなく、AIが記述した結果を受け入れるプログラミング手法のことです。vibeとは「雰囲気」という意味を持ちます。
(生成AIの提案に対し)常に「全て承認」を選びます。エラーメッセージが出たときはコメントなしでそのまま(生成AIに)コピー・アンド・ペーストします。大抵の問題はこれで解決します。
※今後こういうスタイルが標準になる可能性がありますね。
【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第302回】(P.108)
<現場が主導し業務を改善 要件定義までこなす方法>
2025年9月17日に出版された「ビジネスプロセス・マネジメントのための業務フローの書き方」(山原雅人・明庭聡著)を基に、基幹システムの要件定義工程としてBPMをスモールスタートで導入するやり方を見てみましょう。
BPM(ビジネスプロセスマネージメント)は、BPMN(ビジネス・プロセス・モデル&ノーテーション)と呼ぶ国際標準の記述を使って業務フローを描き、そのフローをBPMS(ビジネス・プロセス・マネージメント・システム/スイート)を使って実際に動かすことを指します。BPMはほぼ全てのステップを現場の実務者が進めます。
Step1:まず現状の業務フローをBPMNで描く
Step2:業務の改善案を考える
Step3:新たな業務フローをBPMNで描く
Step4:さらに詳細化する
Step5:BPMSというツールで新たな業務フローを動かす
BPMSは各業務を自動化するとは限りません。手作業ではなく自動化したほうが良い業務については
Step6:自動化についてシステムで対処する
ということでIT部門が担当します。
※新しい業務フローを各担当に集まってもらってサンプルの伝票で業務が回るか確認してもらったことがあります。それを仮想的にできるツールがBPMSでしょう。
以上