日経コンピュータ2017.02.16 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<LPWA 低電力・広域が開けるIoT第2幕>です。最近は一般紙にまでLPWA(LowPower,WideArea)のニュースが出ますので特集にしたい気持ちはわかりますが、まだインフラに関しての記事でした。具体的に欧州ではどう使っているなどの報告が読みたかったです。

【16年4~12月決算はNECの一人負け 日立と富士通は構造改革が前身】(P.08)
2016年度の1Q2Q3Q合計が出そろい、NECが一人負けでした。
G=10億         日立    富士通  NEC   NTTデータ
売上高        6,519G円 3,201G円 1,794G円 1,181G円
営業利益        373G円     63G円  ▲17G円   75G円
国内のSIは東京五輪までは堅調と言われている中でNECはどうしたのでしょう。NTTデータは米デルのITサービス部門の買収経費等一部経常したためグローバルセグメントは55億円の赤字でしたが、全体として良い利益率を保っています。

【EUデータ保護規則への対応急ぐ 楽天とIIJが包括的な認可取得】(P.09)
このブログでも何度も書いていますが、EUが2018年5月から適用する「一般データ保護規則(GDPR)」ではEUで個人情報を取り扱う企業に厳しい規則と莫大な罰金罰則が規定されています。米国は「欧州と同じ基準でプライバシー保護をしている」とみなされていますが日本は認められていません。そこで楽天は2016年12月に欧州拠点で「包括的企業準則(BCR)」の承認をうけました。
欧州でクラウドサービスを提供しているIIJはIaaS業者として初めてBCRを申請しました。2017年秋の承認を目指しています。承認されれば、顧客はGDPR対応の手間を削減することが出来ます。
クラウドを使っている企業は日本データセンターから米国データセンターに移す検討をされているところもあります。Googleのブログを使っているとEU関連でCookie取得の事前許可をとれと言われます。オンプレで商売している会社は充分お気を付け下さい。

【LINE、強気の法人向けチャット参入 「個人会員6600万人と対話可能」で差別化】(P.11)
LINEは法人向け有料チャットサービス「LINE WORKS」を1人月額300円~で開始しました。日本のビジネスチャットといえばchatworkですが、chatworkは無料プランもありますがLINE WORKSは有料のみ。その代り個人会員とも対話出来ます。
私個人はLINEをやってますが、LINEは韓国企業ですから漏洩しても良い話しかしません。仕事関連の話は日本企業のchatworkでします。もしLINE WORKS経由でchat承認連絡が頻繁に入るようなら個人のLINEを辞めるでしょう。

【ITアーキテクトの教科書「ITABoK」登場 五つの共通スキルを定義】(P.12)
Iasa日本支部が「ITABoK(IT Architecture Body of Knowledge) Ver2」を発売しました。ITABoKが定義する、共通スキルは次の5つです。
ビジネステクノロジー戦略:ITを通じた美辞エス戦略の開発・実現
ヒューマンダイナミクス:組織内コミュニケーション
デザインスキル:ビジネスとITの問題を導入前に解決する設計関連
IT環境:ソリューションの提供に必要なテクノロジーの管理・実現
品質属性:パフォーマンス、セキュリティ、信頼性など
日本語としてこなれていない感じはありますがおおよそ妥当だと思います。

IasaはITアーキテクトを広める活動をしているグローバルな組織の日本支部です。似たような日本支部にIIBA(ビジネスアナリシス),DAMA(データマネジメント)などがあります。

【Java必須のマイナポータル 組織の理屈でユーザ体験が犠牲に】(P.14)
マイナンバー関連の情報を確認するためのマイナポータルが2017年1月予定だったところ7月に延期になりました。1月に公開した「マイナポータルのログイン認証」について不満が噴出しています。
InternetExplorer11の32ビット版でしか動かない
・ICカードリーダのハードウエアが必須
・Java8以上の実行環境のインストールが必要
・政府が出しているソフトのインストールが必要
Javaが必須というのもひどいですが、IE11の32bit版でしか動かないシステムというのは終わってます。マイナンバーカードで突っ込んだ数千億円を無駄にしないで欲しいです。

【LPWA 低電力・広域が開けるIoT第2幕】(P.20)
LPWA(ローパワー、ワイドエリア)は低電力・長距離・低料金の3拍子そろったIoT向けの無線通信の総称です。現在実証実験が進められている有力な方式は次の3種類です。
LoRaWAN:2015年に結成されたオープン規格。免許不要で広域WiFi
NB-IoT:免許必要な携帯電話の廉価版
SIGFOX:仏シグフォックス社の独自仕様。1国1社で提供。日本はKCCS

NB-IoTは既存携帯電話会社しかサービス出来ません。ソフトバンクが先行していますがKDDIもDOCOMOも準備しているようです。
SIGFOXは「年額100円から」という激安でしかも他国では既にサービスされていますので安心感もあります。制約は通信速度・頻度・サイズです。12byteを100bpsで1日最大140回となっています。下りの通信も出来ません。

融通が利きやすいのはLoRaWANです。SORACOMも既に実証実験を行いサービスを開始しています。「100万台をつなぐケースで1回線年額100円から」ですのでSIGFOXと同額です。通信モジュールも「単3電池2本で10年以上持つ」という省電力です。
通信するためには、通信モジュールを付けた「エンドデバイス」とそれを受ける「ゲートウエイ」、それに認証やルーティングを行う「ネットワークサーバ」が必要です。全部を自営で構築することも出来ますし、ゲートウエイ、ネットワークサーバは他社サービスを利用することも出来ます。

今回の特集は方式説明だけでしたが、近く成功事例をレポートして欲しいと思います。

【富士通 改革への苦闘】(P.38)
日経コンピュータ2011.7.7に「NEC、復活への道筋」という10ページもの記事がありました。今回は富士通さんの12ページもの記事です。

「国内がSI特需に沸く今のうちに、企業体質の転換を成し遂げる」という田中社長の言葉から改革の方向性を報告されています。「デジタルトランスフォーメーションの時代では当社が以前に強みとしていた垂直統合のビジネスモデルは通用しなくなって」いるため、強みに投資を集中するそうです。それは良いのですが、顧客視点になっていないように感じます。顧客のビジネスを最大化するためのお手伝いという視点で改革しないと外資には勝てないでしょう。

IoTの話。みかん栽培の達人の技術を再現するために富士通のSaaS「Akisai」を6年間使って作業記録を蓄積したが「規則性はまだ発見出来ていない」そうです。当たり前ですね。何らかの仮説に基づいて作業し、そのギャップを見るために作業記録を行うのです。目的もなく記録しても何の意味もない事がなぜわからないのでしょう・・・

【高松 富也氏 ダイドーグループホールディングス代表取締役社長】(P.50)
<IoTで飲み物と楽しさを提供 自販機ビジネスを磨き抜く>
個人的には無糖缶コーヒーはDyDoが一番好きです。昔はコンビニにありましたが他社が無糖に乗り出すと一気になくなりました。<当社商品の特徴は香料を使わず、本物の豆だけから抽出したコーヒーであること>だそうです。こだわりを感じるわけです。

売上の8割は28万台ある自動販売機で稼いでいるとは知りませんでした。将来は自動販売機を情報発信基地としての社会のインフラと位置づけられる存在を目指しているそうです。

昨2016年から「Smile STAND」を東京・大阪を中心に2万台展開されました。スマホアプリと連動してLINEなどのポイントが貯まるそうです。2018年までに15万台展開するそうです。試しにインストールすると近くの自販機の場所を教えてくれて便利です。残念なのはoAuth認証がtwitter,facebook,google+は出来るのにLINEが出来ない事です。LINE認証すればジュースを買ったことを友達に通知するなどさらに面白い使い方が出来るでしょう。

【ケーススタディ:戦略 ライトオン】(p.54)
<”IT素人”の新任CIO 6年間でカネ食いシステムを撲滅>
こりゃすごいですね。急成長していたアパレル会社が2010年から2年赤字になったこともあり経費見直しすることになりました。IT素人の川崎氏が2011年にCIOに就任し一気に内製化することで「開発費用を85%減らし、保守費用も63%減らす見込み」だそうです。やったことは次の2つ
1.パッケージを辞めた
MDシステムを米JDAから、AWS内製にした(2012年)
BIシステムを独BusinessObjectから内製
人事会計システムを独SAPから、ワークスにした(2017年1月)
2.内製にシフトした
良品計画に教えてもらったソフト会社を派遣で雇うのと同時にインドの会社を派遣で雇い、大規模開発の時はオフショアも行う

この会社のECサイトを見るとasp.netで作られていました。IT素人と呼ばれるのも5年までだと思いますのでさらに堅牢なシステムを目指してください。

【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第78回】(P.82)
<システム部課長は役員を目指せ「社長が求める人」になる習慣を>
この連載は「社長との対話」がテーマです。社長と頻繁に会話するために役員になりましょうという強引な展開(笑)ただ、一般的に社長がどういう人を評価するかという視点は大変参考になります。

ここでは「社長が"将来"役員にしたい人」という1月に発売された本から25項目のうち10項目を解説されています。(説明はブログ筆者の言葉です)
<ものの見方>
 視野の拡大  ・・一つの仕事から幅広い知識を獲得する
価値観の理解 ・・相手が何に価値を置くか理解する
自社の位置づけの把握・・他社から見た自社を把握し活用
時代変化の直観・・時代の分岐点を直観
持論の構築  ・・事象を自分なりに整理し説明
<ものの考え方>
本質的な問題把握 ・・表面的な問題から本質を見抜く
法則性の発見 ・・事象の裏で動いているメカニズムを把握
全体最適の思考・・価値判断の基軸を柔軟に変えて選択
判断軸の重視 ・・成果を重視し切り捨てもためらわない
先進性の実践 ・・思考の先進性を業務に落とす意識が高い

これらの項目について実践出来ていない時は「カギになる習慣」まで付記されているのでそのうちの1つ2つをやってみることでその項目が出来るようになるそうです。Amazonの評価も良いので、ポチッとしました。

以上