日経コンピュータ2017.02.02 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<ITと法規制 併存するリスクとチャンス>です。今年大きな法律が3つ変更されますのでその変化を解説されます。仕事を行っている限り法律とは無縁ではおられませんので良い特集だと思います。ただ、少し突っ込み不足と感じました。

【IoTデバイスのUIは音声が主役 アマゾンの「Alexa」が競合をリード】(P.08)
コンピュータのUIはキーバードからタッチパネルに変わりました。これからは音声に変わります。その中でもAmazonの音声アシスタントAlexaが一歩リードしていますが、マイクロソフトやGoogleも追いかけています。
LG電子のAlexa搭載冷蔵庫やフォード、VWが車載端末にAlexaを搭載すると発表されています。サムソンはAlexaからコントロール出来るロボット掃除機を発表しました。Alexaのアプリに相当する「スキル」は既に7000種類も存在します。
TVドラマ「スタートレック」の世界がすぐそこまで来ています。

【「個人間」に広がるスマホ決済 法と利便性の壁を超えるビジネスモデル】(P.09)
個人の間の少額決済サービスに面白いサービスが始まっています。「Kyash」はVisaブランドのアプリ仮想カードを使用する「前払い方式です。「paymo」は割り勘のための「収納代行」モデルです。
ただ、これが広がるとメガバンクに後押しされた金融庁が乗り出してきて、業務に制限をかけ、最後はメガバンクに買収されないかと心配です。出る杭を引き抜く日本がどこまで変わったのか見守りたいと思います。

【IoTメガネで働き方改革 JINSが3社と企業向けサービス開始】(P.12)
またJINSが面白いメガネを発表しました。「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」は集中度を図れるメガネです。周りの同僚の集中度を見て声をかけるタイミングを計ったり在宅勤務の効率アップに使う事を想定されています。
先日セールスフォースのイベントでPhoneAppliさんが実演されていました。すごく面白いと思いました。

【焦点を読む:ITを分からなかった社長もITを語る 「君子ひょう変」の本当の理由】(P.15)
木村氏が編集長をされていたときは経営者へのインタビュー依頼は困難を極めたのに最近は「我も我もと率先してITを語る」ようになった。その理由について推測しています。ひとつはデジタルビジネスへの感度をアピールする株価対策、2つ目は優秀な技術者のリクルーティングだ、という見立てです。
なるほど、そういう陰謀論で世の中を見てるのでこういうコラムになるのかと変に納得しました。今でもインタビュー先に苦労されているように私には見えます。護送船団方式の日本でもようやくIT抜きでビジネスを語れなくなったのでしょう。
ITが整備されていないのに生き残っている企業が市場から退場しないのは何か変な法規制や商習慣が残ってるのですからそれを暴くコラムを期待します。

【Gartner:スマホの対話アシスタント機能が普及へ 2019年にはアプリ操作の20%が対話型に】(P.17)
「仮想パーソナルアシスタント」はVPAと略すそうです。上のAlexaと同根ですがAlexaはAPIを外部開放したので広がったという記事です。こちらはアップルのSiriと、グーグルのGoogleNowのようなある意味完成したインターフェースが広まるというコラムです。
「機械学習のようなAIとVPAは、2017年以降に主戦場の一つになる」という指摘はその通りだと思います。

【CIOの眼:延びz仮こそ腕が振るえる人材の意識改革促す】(P.18)
RIZAPのCSO(最高戦略責任者)兼CIOの岡田章二氏です。RIZAPの瀬戸社長から、ファーストリテイリングの情報システムに居るときに三顧の礼で迎えられたそうです。今のRIZAPは「売上高が1000億円から4000億円に跳ね上がった時のファストリのような勢いがある」ため楽しくやりがいがあるそうです。
ITだけでなく、経営や業務という上流から、システムを使う現場である下流まで幅広く目を届かせるという視点は参考になります。

【ITと法規制 併存するリスクとチャンス】(P.20)
今年法改正が予定されている3法についての概説です。
民法改正案:国会審議中。改正されると120年ぶり
「瑕疵担保責任」という言葉がなくなり「契約不適合」となる。従来納品後1年だったものが不適合の事実を知ってから1年以内に通知すれば改修や損害賠償を請求出来るようになるそうです。また準委任を「履行割合型」「成果完成型」に明確化されます。
→このままでもし通れば個別契約するしかないでしょう
改正労働者派遣法:2015.9改正。古い話なので省略
改正個人情報保護法:2017.5全面施行
従来の個人情報が細分化され個人情報が5000件以下の企業も対象になります。
-特定個人情報(マイナンバーを含むもの)
-要配慮個人情報(人種、病歴、犯罪歴など):取得に本人同意必要
-個人情報(個人を識別できる。個人識別符号など)
-匿名加工情報(個人を識別できないようにしたもの。加工基準別途制定)

海外企業と日本企業の法制度対応の差についても記述がありました。日本は「手続きさえ守れば大丈夫」というホワイトリスト方式、海外はグレーでもリスクを取るブラックリスト方式で対応するそうです。出る杭を引き抜く日本社会の問題でしょう。

【FRONTEO 守本 正弘氏】(P.34)
<訴訟支援で培ったデータ解析 独自AIを活用して衣料も効率化>
将棋棋士が将棋ソフトを使ったという疑惑の分析で有名になった会社です。スマホやPCを解析して「疑いをかけられた棋士より高い一致率の棋士もいた」などの解析結果をまとめました。その影響で谷川会長が辞任表明したり入院したりしています。

米国の訴訟では「eディスカバリー(電子証拠開示制度)」というものがあり、何百万件もの電子データから証拠を探して提出しなければなりません。日本企業はその対応が弱いため「問題がなかった」証拠を提出出来ずまともに戦えない状態だそうです。「日本企業を相手取って訴えを起こせば勝てる」と言われている状況を改善するため日本語を解析出来る「KIBIT」というAIを提供されています。

日本語を解析出来るAIを中軸とした珍しい企業です。AI分析については言語の壁は大きいのでこの分野はブルーオーシャンでしょう。日本のERP企業はこういう会社を買収したり提携したりして機能を追加すれば米国企業は入って来れなくなるでしょう。

【パートナー満足度調査2017】(P.38)
国産勢の寡占強まる IoT、クラウド時代に向けた模索続く>
そ~ですか~

【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第77回】(P.102)
<”売れる”システムを用意しよう IT部門にもマーケティングが必要>
この連載も77回なのですね。2週間に1度発行ですから年間52週÷2=26冊ですので、次回で丸3年。おめでとうございます!
最初は日経新聞の最新の話題からテーマをとって社長の疑問にどう答えるかからスタートしました。昨年途中からは経営者と対話するコツをベテランから教わるという事で具体的な人物の紹介になりました。2017年はそれらに加えて経営者の期待に応えるために有用な方法論や考え方も紹介されるそうです。

新テーマの1回目はマーケティングセオリーをジェフリームーア著の「キャズムVer2」から学びます。新しいサービスを提供するだけでなく既存の情報システムに新しいニーズに応じて追加する時にもマーケティングが大切です。

検討すべき9つの項目が書かれていますが、興味のある方はここなどを参考にしてください。最初の3つだけを書きます。
ターゲット・カスタマー:誰のため?いつ必要?予算は?
購入の必然性:何としても解決したい問題や痛みは?
ホールプロダクト:近視眼になっていないか?問題に応えられるか?

ベストセラーなので読んだ人も多いでしょう。まだならぜひお読みください。

以上