特集は<IoTの解、エッジ>です。ネットワーク系技術者はエッジという言葉は常識でしょうが、ユーザの近くの末端という意味です。個人的には解にはならず回顧主義に思えました。
この号には雑誌in雑誌として<日経BPガバメントテクノロジー>が入っていました。そして何と自治体向けの満足度調査も載ってます。前号にあった一般企業向けとは少し毛色の違った会社も選ばれていました。そして驚くなかれ前号とこの号の「顧客満足度No1企業に訊く」という広告が一挙14社分見開きで載っていました。お手盛り企画満載でした。
【HPE、インテルなどソフト事業売却相次ぐ 米ハード企業に「本業回帰」の動き】(P.06)
一時期は上から下までのスタックを網羅するための買収が盛んでした。その多く買収してきたハードメーカーがソフト事業を売却したのでハードという本業に回帰しているという記事ですが、私はそうはみませんでした。
買収して欲しかったものだけを取り込み終わったので、それ以外の価値のあるソフト部門を外部に売却しただけにみえます。ソフトは公共財だから市場に戻すという意思を感じました。
【日本IBM、富士通が従量課金でソフト販売 オンプレでも「使う分だけ払う」】(P.10)
ソフトパッケージを使う分だけ払うという料金体系は従来からありました。マイクロソフトがデータセンターライセンスとして料金体系を変えたのは実質値上げでした。今回、例えばWebSphereの場合「4年間継続して使う場合は永久ライセンスがお得」という事ですから通常のシステムにつかう体系ではないようです。
新旧のシステムが並行して稼動するケースなどではお得になるでしょうが、そもそもそういう時は無償提供(貸与)すべきじゃないかと昔から思っていました。
【焦点を読む:システムを内製できない本当の理由 解雇しない日本企業はどうする?】(P.16)
問題提起は面白いのに各論で迷走する木村氏のコラムですが、今回はまっとうな原因を指摘されたと思いました。「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」の原因は日本企業が正社員で雇うと本番稼動後に解雇が出来ない事が原因だという話です。
ところが解決策がいけてません。2つ提案されています。
1.これからアジャイルが主流になるので継続開発する要員を雇用できるようになる
2.優秀な技術者を有期で雇用。その代わりトップよりも高額な高級とする
期間雇用は単にアルバイトの事ですから解決策になってません。社員というのは本業の目標や課題を自分のこととして認識出来る人の事です。労働基準法を読むと、日本の解雇ルールは決して厳しくありません。それにもかかわらず解雇出来ないのは、司法制度の問題だと考えています。だから解決が大変難しいのです。
【IoTの解、エッジ】(P.20)
例えば10ある工場のIoT化を考えた時にそれぞれの工場で発生する膨大なデータを全部クラウドにアップしてクラウドのAIで判断して予測して動作を変えたりする。そういうIoTを考えるとネットワークの帯域とクラウドのコンピュータリソースがネックになります。それを解決する技術が「エッジコンピューティング」だという特集です。
わざわざ言うほどの話ではありません。用途を特定しているのならエッジでフィルタリングしてクラウドにアップするなんて誰でも考える事です。<GEも実はエッジ>なんてタイトルがありますが、この記事では複数のメーカーの機械を束ねる機械(プログラマブル・ロジック・コントローラ:PLC)すらエッジと呼んでます。三菱電機の商品名のシーケンサが一般名詞のように使われていますが、シーケンサとエッジの違いすら記事では定義されていません。それを同一視するなら「日本では30年も前からやってます」という時代を読めない言葉になってしまいます。今のIoTの隆盛というか革命前夜の予兆をこの記者は感じていないのでしょうか。
【ケーススタディ戦略:ヤマハ発動機】(P.44)
<クラウドで3ヶ月の短期開発 運用コストを2割削減>
国内4ヵ所コールセンターシステムを3ヶ月で刷新したという記事です。従来はVB5で個別開発していました。ソフトやハードの保守が切れるたびにシステムを再構築する「保守切れ病」から脱却できたことが大きいとのことです。
まずCTI(ComputerTelephonyIntegratin:着信番号から自動で顧客情報を呼び出す仕掛け)にはリンク社のクラウドサービス「BIZTEL」を使用しました。過去のシステムで使用した実績があり、安くて動作も安定して機能も充分という理由です。CRMシステムはSalesCloud/Dynamics/kintoneを調査して値段が安くて機能も充分でしかも大阪のベンチャーが安く作るという理由でkintoneを選択されました。
ヤマハさんとはお仕事をした事がないのですがなかななチャレンジャーですね。
【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第68回】(P.110)
<社内が縦割りで協調がない 社長の悩みをモデルで解く>
政府CIO補佐官の南波幸雄氏です。ソニー→マネックス証券→コンサルティング会社
産業技術員大学教授 → 早稲田大学MBA非常勤講師という多彩な経歴です。
ソニー時代に、ベテランの作業員が自分の工程には詳しいものの前後の工程に何の関心もないことに驚きました。会話をしてもらうためにどうしたものかと悩んでいる時に手島歩三氏から「概念データモデル」を教わり実践されています。
概念データモデルは情報処理試験でも出題されますのでご存知の方も多いでしょうが、南波氏はこれを各部門の長に自ら作らせる事で部門間の対話促進に使用されています。それが出来るようになると社内の雰囲気が変り企業体質が変る。その事が会社を強くするそうです。
他部門にまたがるシステムを設計する時は意識的に会話してもらうことがありますが、会社全体を巻き込んだ話ではやったことがありません。一度経験してみたいものです。
以上