タウシュベツ川橋梁

 北海道遺産にも登録されている「タウシュベツ川橋梁」は北海道河東郡上士幌町にあるコンクリート製のアーチ橋のこと。
 
このアーチ橋の上には、1955(昭和30)年まで国鉄士幌線が走っていたのですが、糠平ダム建設に伴い糠平湖の湖底に沈むことなり、線路切り替えのため廃線になったものです。
 
しかしながら糠平湖は季節によって貯水量が変わることから、貯水量が少なくなる1月頃から姿を現し、水位が上昇する6月頃から沈み始め、8~10月頃には湖底に沈むとされています。
 
また湖底に沈むことを繰り返しているうちに徐々に崩れはじめ、ここ数年でさらに崩落が進んており、近いうちに11連のアーチ橋がつながっている光景を見ることができなくなると言われているのです。
 

 
これは今のうちに見ておかなくてはと、2023年6月下旬に訪問してきました。
 

タウシュベツ川橋梁への行き方

タウシュベツ川橋梁を近くで見る方法ですが、橋梁へと至る林道が「許可車両以外通行禁止」になっていることから、以下の3つの方法しかありません。
 
①旅行会社主催のツアーに参加する
タウシュベツ川橋梁をうたった添乗員付きのツアーが発売されています。
多くが2泊3日や3泊4日の観光ツアーでお値段もそれなりになりますが、遠く離れた展望台から眺めるだけというツアーもありますので、タウシュベツ川橋梁の近くまで行けるのかを必ず確認してください。
 
②NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターのツアーに参加する
現地集合解散の2時間半のツアー(4,500円)ですが、ガイド付で長靴も貸してくれるので安心です。1回あたり16名定員で3か月前からホームページで受付しています。
早めに予約しておかないとすぐに満員になってしまいます。
ガイドセンターのホームページはこちら
 
③林道の鍵を借りてレンタカーなどで行く
道の駅かみしほろ」で橋梁に続く林道の鍵を借りて、マイカーやレンタカーなどで行くことができます(冬季は林道閉鎖のため不可)。
ただし林道はヒグマの生息地ですし、リスクも伴いますので、初めての訪問する方にはツアーの方をおすすめします。
鍵の予約は、利用日の30日前の午前10時から専用のホームページ で受け付けしていますが、1日10台限定のためかなりの争奪戦になります💦
 

林道の鍵をゲット!

かくいう私は、林道の鍵の申し込みに成功し、当日を迎えました😆
 
帯広駅から車で1時間余り走り「道の駅かみしほろ」にやってきました。
お目当てのタウシュベツ川橋梁まではまだ距離があるのですが、ここで受付し、林道の鍵を借りなくてはいけません。
 
 
鍵の受け取りは9:00~14:00なのですが、16:30までに返却しなくてはいけませんので、遅くても午前中のうちには借りた方が良いと思います。
鍵を借りる際に、協力金として1人1,000円を支払います(2名乗車なら2,000円)。
 
タウシュベツ川橋梁の近くには商店や飲食店はほとんどありませんし、時間を有効に使うためにも、飲食物は道の駅周辺エリアまでに仕入れておくことをおすすめします。(道の駅の近くにコンビニもあります)。
 
 
諸注意を受けて、通行証と鍵を受け取りまして、いよいよ出発です!
 
 

まずは展望台へ

30分余り走り糠平温泉郷を通過し、さらにその先へ10分ほど進みますと「タウシュベツ展望台」の看板が見えてきます。

 

ここは遠目にタウシュベツ川橋梁が眺められる展望台ということで、道路端の駐車スペースにクルマを停めて、180mほどを歩いて向かいます。

 
 
毎月のようにヒグマが出ているという恐ろしい看板を目にして、クマよけの鈴を鳴らしながら、気を引き締めて向かいます🐻
 
 
展望台に至る道の途中で、士幌線の廃線跡を横切ります。
タウシュベツ川橋梁は旧線が通っていたところですが、こちらはダム完成後の新線が通っていたところになります。
※新線は1987I昭和53) 年まで列車が運行されていましたが、その後は代行バスに転換されました。
 
 
線路こそありませんが、美しい廃線跡ですね✨
 
そして、展望台からの景色がこちら!!
ちょっと遠いですかね😅
 
 
タウシュベツ川橋梁までは750mほど離れていて、肉眼で確認することはできるものの、近くまで行けるなら行きたいというのが人情です。

展望台にいた人たちも「近くまで行きたいねぇ~」と話していました。
 
私、今から近くまで行きますけど…」とは、口が裂けても言えません。
 

いよいよ林道へ

展望台を後にして、しばらくクルマを走らせると、タウシュベツ川橋梁へと続く林道の入口へと差し掛かります。
この先は許可車両以外立入禁止で、未舗装の道路が約4㎞に渡って続いています。
 
 
ヒグマ出没中ですので、周囲の安全を確認したうえで、ゲートの鍵を開けます(開けたらすぐに閉めます)
 
未舗装なのでスピードは控え目に走っていると、目の前にキタキツネが現れました🦊
 
※クルマを一時停車させて撮影
 
野生のキタキツネです!
距離的には1mもありませんが、エキノコックスに感染するリスクもありますので、車窓から観察するだけにしておきます。
 
 
続いて現れたのはエゾシカのバンビちゃんです🦌

まるで自然のサファリパークですが、ヒグマだけには会いたくありません😁
 
 
そして4kmほど進み、進行方向右手に開けたスペースが見えてきます。

ここが駐車場になります。

 
クルマを停めて、クマよけ鈴を盛大に鳴らしながら、この先は歩いて進みます😂

上の写真で道路がカーブしていますが、タウシュベツ川橋梁の入り口はカーブせずにそのまま林の中に入っていく感じです。
 
 
この道も旧線の廃線跡です。

150mくらいでしょうか、林の中を抜けると景観が広がります!

ついに、タウシュベツ川橋梁に到着です。
 
※中央やや左側の、奥に向かって少し盛り上がっている部分が、タウシュベツ川橋梁です。   
 

念願のタウシュベツ川橋梁

目の前に広がるタウシュベツ川橋梁
 
ヒグマに襲われないように苦労してたどり着いただけに、喜びもひとしおです😁
 
 
幻想的なアーチ橋です。
この上に鉄道が走っていたなんてロマンがあります🤗
 
近くに寄ってみると、かなり傷んでいることがわかります。
崩落の危険があるため、橋の上を歩いたり、橋の真下に行くことはできませんが、かなり近づくことができます。
 
 
単線の線路でさえギリギリと思われるほどの、かなり狭い幅です。
 
ここから橋の下の方に、降りていきます。
 
 
足元は崩れやすい砂利ですし、足を取られないように注意しながら、かなりの急斜面を下ります。

少し離れた場所から見ると、しっかり11連アーチがつながっていて壮観です!
 

中央のあたりが、紙一重でもうすぐ崩れてしまいそうですが…。

大自然とともに

タウシュベツ川橋梁の周りをもう少し歩いてみましょう。
奥の方に見えるのは、二ペソツ山でしょうか。
 
 
ふとその時、10mくらい先にエゾシカが1頭😆
 
改めて、大自然の中にいるのだということを実感しました。
 
 
水が少ない時期でしたら、川を横切って、橋の対岸に渡ることもできます。
 
 
水が浅い部分がありますので、そこを選んで渡るようにしますが、長靴を履いていても足を滑らせないように、一歩一歩確実に進んでいきましょう。
 

こちらは最も崩落が進んでいる部分です。
 
 
かろじて繋がっていますが、ほんと紙一重です。
 
来年、水面から顔を出したときまで持つのかどうか、気がかりになります🤔

少し離れて、ウペペサンケ山をバックに眺めます。
もし今もこの橋が現役で列車が運行されていたら、全国屈指の撮影スポットになっていたことでしょう。
 
 
今年は水が少なく、8月12日現在でも水没が始まっていないどころか、さらに緑が濃くなっているようです。
 

水没が始まると静かな湖面にアーチ橋が鏡のように映りこみ、幻想的な「めがね橋」の写真が撮れるのですが、いつ頃になるのでしょうか🙄

 
つながっている状態のタウシュベツ川橋梁が見られるのは、今年限りかもしれません。
 
お出かけを計画している方は、足元、服装、クマよけ鈴など、準備万端でお出かけください。

また付近には、国鉄士幌線のアーチ橋の遺構が複数あり、アーチ橋めぐりも楽しむことができ、帯広から日帰りで満喫することができます。

↓士幌線廃線跡のアーチ橋めぐりもぜひ!↓


 
↓帯広駅前のきれいなホテル。私も前泊に利用しました。