夜行バスで大阪に逃げ、大阪で2泊、奈良を経由して
京都へたどり着きました。
旅も終盤戦、一緒に旅を続けていた3人が、
私に感謝のしるしに何か贈りものをしたいと言ってくれました。
気持ちは嬉しかったけれど、私はその申し出を断りました。
私は見返りを求めて何かをした事は一度も無いし、
私がしたかったから、私が一緒に旅をしたかったから
ここにいるんだし、私はお金で買えない物に大きな価値
を見出します。私の為にお金を使ってほしいなんて思って
ない。もしも感謝してくれるのであれば、私が困った時に助けて
ほしい。ただ、友達でいてくれればそれで私は幸せだと言う事を
伝えて納得してもらいました。
三十三間堂はどうしても行きたいという私とNの申し出で、行く
事にしました。帰る時間は刻一刻と近づいていきます。
出来るだけ一緒にいて話がしたかった私は彼と共に観音像を
観ていました。 千体以上ある観音像の真ん中に、一際大きな
国宝 千手観音坐像が鎮座しています。
それを観た時の感動は言葉になりませんでした。
千手観音坐像の前には、線香と賽銭箱が置いてありました。
彼が、「いくらくらい入れればいいの?」って聞くので、
「決まった額はないよ。好きな額入れればいいんだよ。でも、
人によっては縁起担ぎで、5円とか55円とか入れる人もいるよ。
5円=ご縁 55円=五重にご縁があるようにって意味だよ。」
って教えたら、賽銭箱に入れたお金とは別に、
おもむろに自分の財布から5円玉を取りだして、無言で私に
手渡して来ました。 彼の気持ちがとても嬉しくて、今までもらった
どんな高価なものよりも価値があって、尊いものでした。
