ビフォーとアフターの写真を二枚並べる、っていうパターンよくあるじゃないですか。
例えば通販の器具のおかげでダイエットに成功した人が、太っているときの写真と痩せた後の写真を並べてこんなに痩せました、みたいな。
ぶかぶかになったズボンを履いて、こんなに痩せちゃいました、みたいな。
髪の毛の薄かったときの写真と毛生え薬を使った写真を並べて、こんなにフサフサになっちゃいました、みたいな。
オシャレに興味のなかった旦那様に、有名なファッションスタイリストが服を選んで着せて、いつものパパの格好とオシャレになった後のパパの格好の写真を並べるとか。
ビフォーとアフターの二枚の写真を並べて、ドーン!こんなに変わりましたよ!っていう。
おいおいこれほんとに同じ人かよ、別人じゃないのかよ、みたいな。
いわゆる、二枚の写真を並べてドーン!戦略ですよね。
たまたま今朝テレビをつけたら、化粧水のCMがやってまして、
化粧水を使った人が次々と出てきて感想を話してるんですよ。
それで、ああ、これは絶対にくるなと。
ビフォーとアフターの写真を並べてきやがるな、と思ったんです。
朝からこれか、と。
久々の休みの日の朝にこれを見せられるのかと。
驚かされてたまるかと。
広告代理店のマーケティングに騙されてたまるかと身構えていたんですよね。
それで案の定、二枚の写真がドーンって出たんですけど、
予想外の展開に目を疑いましたね。
左側には、化粧水を使う前の五十代のシミとシワだらけのおばちゃんの顔が写っていたのですが、
右側には、化粧水を使った後の五十代のシミとシワだらけのおばちゃんの顔が写っていたんです。
左の写真と右の写真に、違いがないんです。
皆無なんです。
間違い探しが始まったのかな、と思いました。
確かに右の写真のほうがシミが一つ少ない気が…、いや、そうでもないか…、じゃあいったい…
という具合で、必死に違いを探そうとしても見つからないんですね。
この二枚の違いが分からない写真を見せられている自分という存在は一体なんなんだろう、と。
ビフォーとアフターの写真は何を訴えているのかと。
哲学なのかな、と思いましたね。
キルケゴールとかそういうことなのかな、と。
人間というのは結局違いなんてないんだ、ということなのか。
人種も何もかもを超えて、人類は一つなのか。
歴史は繰り返し、人間は結局、太古の昔から変化なんてしないのか。
きっとそういうことなんでしょうね。
このCMを観る前の僕と観た後の僕も、たぶん何も変わってないんでしょうね。