『カフェモカ、お前もか』~第3回~「下手な鉄砲数撃てば当たる、は間違い!?の巻」 | 最強の作家への飛翔

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このまえスポーツジムのロッカーに『盗難注意』の張り紙があって、ちゃんとロッカーの鍵を閉めろ、ってことかなあと思ってその紙を読んだら、『ロッカーの鍵をこじ開けて金品が盗まれる事件が発生したので注意してください』と書いてありましたあせる

そこまでされたら、もはや注意しようがないですよね…ガーン


先日から書き始めた小説の、本日は第3回になりますクラッカー


今までに書いたのはこちらですニコニコ

『カフェモカ、お前もか』~第1回~

『カフェモカ、お前もか』~第2回~


【前回までのあらすじ】

 始まってしまった…。ついにあの伝説の恋愛マスター、ドボルザーク・ゴンゾウの恋愛講義が始まってしまったのだ!

 人見知りのため、ハロウィンのかぼちゃのお面と黒いマントを身につけているミスターゴンゾウの実力が、いよいよ明らかになろうとしている…。

 カフェの女性店員と仲良くなりたいという今泉の望みは果たして叶えられるのか!?また、友人藤堂の出番はこれからもあるのだろうか!?



『カフェモカ、お前もか』


第3回


「『下手な鉄砲数撃てば当たる』ということわざは、間違っていると思うのです!!」

 ゴンゾウさんがいきなり大きな声を出したので、今泉は麻雀で大三元をテンパイしたときぐらい驚いてしまった。

「ミスターイマイズミ、あのことわざはどういう意味だと思いますか?」

 急に質問されたので、今泉はあたふたした。

「ええっと、それは下手な鉄砲でもたくさん撃ってればまぐれで当たることもあるから、とりあえずいっぱい撃っておいたほうがいい、みたいなことですかね…」

「ノン!!ノーン!!そこなんですよ!私が言いたいのは!やはりあのことわざは間違った意味で浸透してしまっているのです。アブサロム、アブサロム!!」

 ゴンゾウさんはそう言いながら手を机に叩きつけて、作用反作用の反動を利用して席から立ちあがった。その後ゴンゾウさんは、興奮してずれてしまったカボチャのお面を手で元の位置に戻した。


「ふう…私が言いたいのは下手な鉄砲を数撃っても当たるわけがない、ということではなくて、実際当たるのですが、ニュアンスが違うのです!!下手な鉄砲をたくさん撃っていると誰でも、鉄砲の技術が少しずつ上達していきます!だから、まぐれで当たるだけではなく、必然的に当たる確率が上昇していくわけです!!」

 ゴンゾウさんが語気を強調して言った。セットで買えばさらにお得です、と宣伝するときのセールスマンのように畳みかけてきたのだ。

「つまり、あのことわざを私なりに正しく言い換えるとするならば、こういうことになります。

『下手な鉄砲を数撃てばまぐれで当たるだけにとどまらず、撃っているうちに腕が徐々に上達していき、すなわち量が質に転化していき、当たる確率が幾何級数的に上昇していく』と。あのことわざは、このように変えるべきなんです!!」

 量が質に転化していく、というフレーズが今泉の頭の中でループされていく。量が質に転化していく、量が質に転化していく、量が質に転化していく、量が質に転化していく、量が質に転化していく…

 もしかしたら、と今泉は思った。

 もしかしたら、この言葉は俺の人生を変えてしまうかもしれないぞ…。

「恋愛がうまくいくようになる最も簡単な方法、それは、下手な鉄砲をたくさん撃つことなんです!!オーレ!!」


 そのとき、緊迫した室内に携帯電話の音が鳴り響いた。

「あ、すみません、すぐ終わりますんで少し出てもいいですかね」

 そう言ってゴンゾウさんは電話に出た。

「はいもしもしー、ええ、ええ、ふんふん、だから絵文字のハートマークは多用してはいけないってあれほど言ったじゃないですか!最後の最後以外はとっておくのが基本戦略ですよ!でも大丈夫です。緑色のクローバーの絵文字や音符の絵文字を駆使していけばまだ挽回できますよ、はいそうです、そうそう、ちょっとデコメもいっちゃっていいんじゃないですかね、その方向でちょっと頑張ってみてください、はいー失礼します、シー・ユー・ネクスト・タイム」

 ゴンゾウさんが電話を切った。

「すみません、官僚の仕事をしている知人からの相談でしてね、彼は国会答弁の文章は考えられるんですが、女性へのメールの文面を考えるのは苦手なんですよ。話を戻しましょう。ミスターイマイズミ、あなたが何に悩んでいるかは私にはお見通しです!」

 今泉は、胸の鼓動が高鳴っていくのを感じた。

「カフェの店員に恋をしたがなかなか話しかけられないことも!彼女がカフェモカを作る姿に見とれていることも!彼女のシフトを完璧に把握しながらも毎日通うと変に思われるので週に1回に抑えていることも!今年の12月を彼女と過ごしたいことも!彼女に上品な人と思われたいがために、コーヒーカップが汚れないように注意して飲んでいることも!!」

 まだ何も話していないのになぜそこまで分かるんだ、と今泉は恐ろしくなった。

「ゴンゾウさんは、相談者の瞳孔の動きや、声の調子や、ちょっとしぐさで、すべての悩みを読みとってしまうんだ」

 今回出番のまったくなかった藤堂が、今泉に分かりやすく説明してくれた。

「ミスターイマイズミ、あなたにも下手な鉄砲をたくさん撃ってもらいたいのはやまやまですが、今回は時間がありません。手っ取り早くカフェの彼女と仲良くなる方法をお教えしましょう。カフェの店員に自然に話しかける方法をね」

 ゴンゾウさんのその言葉を聞いて、今泉は自分でも気付かぬうちに、不敵な笑みを浮かべていたのだった。

【つづく】