『ダ・ヴィンチ』という雑誌で、「泣けるいい話100」という企画をやっていて、読者から原稿を募集していました。創作、実話は問わずとのことで、規定の原稿の分量が400~1200字と短いので、友人とそれぞれ書いて、二人で投稿することにしました。
受賞者百名の作品は12月号のダ・ヴィンチに掲載されて、副賞として5千円分の図書カードがもらえます。
電子メールにて、今日(9月30日)の24時まで締め切りだったので、先ほど、かなり急いで書きました。基本的にこういうのは、僕の場合、締め切り前にならないと書く気がおこらないのです。
で、書いてみた感想はというと…。
泣ける話って難しいですね。結構本を読むのは好きなんですが、泣ける話ってあんまり読んだことがないなあと感じました。僕はどちらかというと、本の場合は(映画はまた違いますが)感動系の話より、笑える話とかホラーとかミステリーとか文学のほうが好きなんです。
だから泣ける話を書けと言われても、何を書いていいのか全然分かりませんでした。
そして四苦八苦しながら書いたら、かなり変な作品が完成しました。
書いた後に自分で読んでみたんですが、全然泣けませんでした(笑)
そして、書き終わった後に気づいたんですが、これと似たようなエピソードが、楳図かずお氏の『漂流教室』という漫画にありました…。
よって、この作品が受賞することは、ほぼ確実にないと思うので、ここにアップすることにしました。
よかったら読んでみてください。
無理して必死に書いている、僕のチグハグさに泣けてくるかもしれません。
というか、もはやギャグです…。
また、これからもいろいろ投稿していくつもりですが、しばらく「泣ける話」だけは書きたくないです。
『捨てられたサイン』
「ない!ない!ない!」
私は焦っていました。私の大切にしていた、Tさんのサインが、部屋中探しても見つからないのです。私は母にも聞いてみることにしました。
「お母さん、ここらへんに置いてあったサイン知らない?」
「え、もしかしてそこにあった紙切れのことかい?この前掃除したときにゴミだと思って捨てちゃったよ」
「捨てた!?なに言ってんの!あれ私の大好きなTさんのサインなんだよ。Tさんのこと何年も好きで、イベントに参加してやっともらえたサインだったのに!ひどすぎる。大体どうして人のものを勝手に捨てるのよ」
「ごめんね。そんなに大切なものだなんて知らなかったんだよ」
母はすまなそうに謝ってきました。
しかし、私の怒りはおさまりません。
「馬鹿!もうお母さんなんて大嫌い!」
私は怒って家を飛び出しました。母は悲しそうな顔をしながら、うつむいていました。
学校で授業を受けているときも、母に対する恨みが溢れてきました。先生の声も、ほとんど耳に入ってきません。
―絶対に許さないんだから。
私は母と絶交しようと固く誓ったのですが、昼休みになりお弁当を食べていると、急に涙がこぼれてきました。
―お母さんは私のために毎日朝早く起きてお弁当を作ってくれているんだ。それ以外にも、私はお母さんにいろんなことをしてもらっている。私はお母さんのことが大好きなんだわ。それなのに…あんなひどいことを言ってしまって…
私はとても後悔しました。
家に帰ったらすぐに母に謝ろうと思いました。
「ただいま」
私が家に帰ると、母が玄関まで走ってきました。
「おかえり。本当にごめんね」
母はそう言って、私に色紙を差し出してきました。
「なにこれ!Tさんのサインじゃない。お母さん、これどうしたの?」
「今日Tさんに会ってもらってきたの。事務所の方に連絡して事情を話したら、快く応じてくださってね。母さんほっとしたよ。これからは気をつけるからね」
「お母さん…」
私のために母が必死になって奮闘している姿が、ありありと浮かんできました。
娘が私みたいにわがままで、母はさぞ苦労していることでしょう。
「お母さん、ごめんね。私もっといい子になるから…。お母さん大好き!」
私は母に思いっきり抱きつきました。(完)