「痙攣」が語る見えない疲労

 

番組で映された、ある映像があります。

ミーティングが終わり、スタッフが帰った直後、

娘の体が痙攣を始める映像です。

 

なんのミーティング?と思われた方もいらっしゃるかと。。

彼女は私と講演を行ったり、

仲間たちとミュージカルの曲を紡いでコンサートをしています。

そのためのミーティングをしておりました。

 

その映像を見た視聴者からは、こんなメッセージが届きました。

「まりほさんの毎日がそこにはあって、

生きづらさを知ることができました。」

 

「毎日、人と会う時には無理をしないといけない

世の中なんですね。」

「笑顔」の後ろにあるもの

ミーティング中、娘は笑顔で対応しています。

一生懸命に、相手の期待に応えようとしています。

その笑顔は、「体調が良い」ことを示しているのではなく、

実は、最大限の努力の結果。

 

私のお教えしている生徒さんから、、

「今までまりほさんにお会いしていて笑顔を見ると、『今日は体調が良いのだわ』と勝手に思っていました。

知らないと言う事は怖い事ですね。」

 

自閉症という文字から想像すると、一人でこもっている人、、

という感じがするかもしれませんが、

彼女は人と会うこと、話すことが大好きなのです。

一緒に楽しみたくて、頑張っちゃう。

 

ひとが笑えば(きっと面白い、、はず)と笑うし、相槌を打つ時には(このぐらいかな?)と声を高めます。

自然には起きてこない反応を、わざと作っています。

 

そして、その「頑張り」の代償が、

映像にもあった、スタッフが帰った直後の痙攣として出ます

カモフラージュによる疲労は、単なる「疲れ」ではなく、

『自分で居なかったこと』による

心身の大きなダメージ

 

 

親としての心配

ずっと彼女と暮らしていると、

大体、いつ頃

彼女の「無理」のレベルがレッドゾーンにはいってくるのか

わかってきます。

 

でも、いつも一緒にいるわけではないし、

前述の通り、彼女は人間が好きなので

「でかけて人と話すこと」にも積極的です。

 

そんな時は、彼女の無理のバロメーターが

沸点に達する前に、休憩を取ることは大事です。

 

つまり、コップの水が半分ぐらいになったら、底から栓を抜き、なにか新しい水(ストレス)が入っても溢れないようにしておくことが、パニックの回避につながります。

 

が、これ、、なかなか本人だけでは難しいようで、

「休憩を取りたい」と言いにくいこともあるようです。

 

一人でいる時も、このバロメーターがわかるといいんだけどな。

 

 

共感はできなくても理解をする

 

彼女は彼女らしく生きてほしい。。。そう思いますが、

 

ただ、彼女にはお手本が身近に居ませんでした。

周りにいるのは定型発達の人たちだけだったから、、

 

「自分がおかしい」と思ってしまうのは自然ですね。

 

本田先生のお言葉『共感はできなくても理解する』

はい、共感は親でも難しい。。。

 

社会が、少しずつ、「理解する」という一歩を踏み出すことで、その痙攣は、減っていくのかもしれません。

その子の疲労を、少しずつ、軽くしていくのかもしれません。

そう願っています。

 

どうぞご意見もお寄せください。

 

 

発達障害の双子と共に〜

「カモフラージュ」という言葉が示すもの

 
 

 

NHK Eテレ「ハートネットTV」の放映から数日が経ちました。

みなさま、みてくださってありがとうございます。今日の深夜0時30分から再放送となります。
 
 

視聴者の方からのメッセージを読ませていただいています。

最も多く聞かれるのが、

「社会的カモフラージュという言葉を初めて聞いた」

という感想です。

 

 

私も、この言葉を最初から知っていたわけではありません。

娘が大きくなる中で、少しずつ、彼女が教えてくれたのでした。

 

見えない障害だからこそ

みなさんのそばに当事者がいれば別ですが、

なかなか見えない障害について知るチャンスは少ないですね。

 

私も、自閉症についての本を読んだり、

ドクターのお話を聞いたりして知識をふやしてきました。

 

でも、彼女たちと「同じ感覚」にはなれません。

そう、理解をしようとおもっても

共感はできないのが事実です。

 

「カモフラージュ」は、当事者にとって

それをしないと死活問題になりかねません。

 

その現実の深さにあらためて、大人になるに従って

社会で生きるのが大変になっていくことを

突きつけられた気がします

 

 

視聴者からは、こんなメッセージが届きました。

 

「初めて、自閉症の方の大変さを、見せて戴いた気がしました。カモフラージュという言葉も、知りませんでした。」

 

「日常をこのように過ごしていらっしゃるのかと

今までの浅い考えを反省しました。」

 

読んでいて、

「私も、知らなかったこと、いっぱいあったんだ。」

と声を大きくして言いたいのです。

そして、まだまだ「知っていく道」の途中です。

「普通を装う」ことの重さ

自分が「一般と違う」と感じながら、

社会に溶け込むために、必死に「普通」を演じる。

視聴者からは、こんな言葉が届きました。

 

「周囲に適応しようと必死に『普通』を演じることは、自分自身を削り取るような作業だと思います。」

 

読んでいて、胸が痛みました。

 

娘は、毎日、毎時間、演じ続けている、、

そのことに、親としての私が、気づくのが遅かったのですね。

親としての後悔

娘が、「実は家でもカモフラージュをしている」と言ったとき、

初めて、その苦しさの深さに気づきました。

 

「あの時の笑顔は、本当の笑顔だったのか。」

 

そう思い返すたびに、

もっと早く気づいていたら

と思うのです。

でも、同時に、気づきました。

 

今、私にできることは、経験者だからこそ

この現実を、少しでも多くの人に伝えることなのだ、と。

「知ること」の大切さ

視聴者からは、こんなメッセージも届きました。

「知らないと言う事は怖い事ですね。」

「知ることができて良かった。」

その通りだと思います。

 

私も、まだまだ知らない障害や病気がいっぱいあります。

はい、知らないことの方がきっとずっと多いと思うのです。

 

知らないということは、気づけないということ、

気づけないということは、

支援に結びつかないということだと思います。

 

だから、番組を通じて、

「カモフラージュ」という現実を、

少しでも多くの人に知ってもらいたい。

そして、その知ることから、

少しずつ、世の中が変わり始めたらいい、、

そう願っています。

 

知らなかった。

でも、今、知ることができた。

その知ることが、私を、そして、社会を、少しずつ、変えていくのだと思います。

 

どうぞご意見もお寄せください。

 

自閉症のバービー発売

 

先日、世界的なおもちゃメーカーのマテル社が、

自閉症のバービー人形を発売した

というニュースが話題になっています。

 

世界ではかなり話題になっているのですが、

日本ではまだ今ひとつ認知が広がっていないようです。

 

 

今日は、このバービーについて、

そして、その背景にある「多様性」と「存在」

についてお話ししたいと思います。

 

自閉症のバービーの特徴

 

このバービー人形には、自閉症の特性を表現するための、細かな工夫がされています。

 

手に持っているもの

 

バービーが手に持っているのは、

AAC(拡大代替コミュニケーション)という、

音声言語以外の方法でコミュニケーションを

サポートするツールです。

 

絵や文字を使って、自分の気持ちや考えを伝える

手段となります。

 

感覚への配慮

 

バービーはイヤマフをしており、

これは音に対する感覚過敏への配慮を表現しています。

また、ルーズフィットの洋服を着用、

衣服からの刺激を最小限にしようという工夫が見られます。

 

その他の特徴

 

目線がやや逸らし気味に作られており、

自閉症の方が相手の目を見ずに話す特性を表現しています。

娘たち曰く

目は情報が多すぎるのと

話をきいているときに目をみていると

話が耳に入ってこないとのこと。

 

 

そして、手に持つフィジェット(手で動かせる安心グッズ)は、実際に動かすことができるようになっています。

 

 バービーの進化と多様性への取り組み

 

実は、マテル社は以前から

さまざまな障害や特性を持つ人形を発売してきました。

車椅子のバービー、義足のバービー、聴覚障害のバービーなど、多くの子どもたちが「自分たちもここにいる」と感じられるような人形を作り続けています。

 

私自身、子どもの頃のバービーといえば、

「8頭身で白人」という1パターン。

しかし、今のマテル社は、

さまざまな頭身のバービー、

さまざまな肌の色のバービー、

さまざまな体型のバービーを発売しています。

 

「標準」という幻想

 

広告を見ても、雑誌を見ても、SNSを見ても、

痩せていることが良いことという価値観が

当たり前のように流れています。

 

「これが標準」「これが美しい」という単一の価値観が、

知らず知らずのうちに、

子どもたちの心に刻み込まれていきます。

 

しかし、世界には、さまざまな体型の人が居てあたりまえ。

さまざまな能力の人が居てあたりまえ。

さまざまな特性を持つ人がいる。

 

 

バービーが多様性を形にしたことは、

非常に大きな意義があると思います。

子どもたちが、自分たちの多様性を「異なったもの」ではなく、「当たり前のもの」として受け入れることができる世界へ、

少し進んだ気がします。

 

AACの普及への願い

 

ところで、興味深いエピソードを聞きました。

 

自閉症の当事者の方が、このバービーが手に持つAACを見て、「これ、何ですか?ラジオですか?」

と質問されたというのです。

 

つまり、それほど、AACは

まだ一般的には知られていないツールなのです。

 

 

AACは、音声言語でのコミュニケーションが難しい方にとって、非常に大切なコミュニケーション手段です。

しかし、社会全体では、まだまだ認知が低く、

理解が進んでいません。

 

バービーがAACを手に持つことで、

子どもたちが

「こういうコミュニケーション方法もあるんだ」

と自然に学ぶことができれば、

AACがもっともっと一般的になり、

それを必要とする方々の生活が

よりスムーズになります

 

我が家でもパニック後や、調子の悪い時には

必需品です。

お店の店員さんと話すのが無理な日も

これが助けてくれます。

 

NHK Eテレの再放送もぜひ

 

ちなみに、先日お知らせした

NHK Eテレ「ハートネットTV」の再放送は

1月28日(水)午前0:30~です。

 

この番組の映像の中でも、

娘HがAACをそばに置いている様子が映っています。

バービーのニュースと合わせて、

ぜひご覧いただけますと幸いです。

 

ご感想などもいただけたら嬉しく思います。

 

多様性を受け入れる社会へ。

そして、すべての人が「自分たちはここに存在している」

と感じられる社会へ。

 

バービーの一体の人形が、

そうした大きな変化の一歩になりますように。

 

発達障害の娘と共に〜求む、メリーポピンズ

 

ハートネットTVをご覧いただいた皆様

ありがとうございました。

ご意見などお寄せいただけたら幸いです。

 

今日はちょっとテレビから離れて、、、

 

❤️❤️❤️

 

我が家の娘はご存知の通りASD

特性ゆえに「秩序」を愛します。

 

そして私はというと、どちらかと言えば「流れ」で生きている人間です。

 

 

娘たちはローテーションが好き。

私は、時間割に縛られるのが、、苦手。

 

娘たちは“いつもの”が安心。

私は、新しいお店を見つけるとちょいとはいりたくなります。

 

娘たちは、話に一貫性がほしい。

筋が通っているのが好き。

私は、思考があちこちに飛ぶ。

 

娘たちは、言ったことも、あった出来事も、驚くほど鮮明に覚えている。

私は、良いことも悪いことも、わりと風のように流れていく。
わざとではありません。もちろん。

 

そうなんです。

並べてみると、見事なまでの真逆です。

 

もちろん、どちらが正しいわけでも、どちらが悪いわけでもありません。

ただ「脳の使い方が違う」だけ。

 

そして何より、お互いに大好きなのです。

 

けれど——

人は疲れると、心のキャパシティが小さくなります。

 

娘たちは、予定が崩れるとしんどくなる。

私は、自由がなくなるとしんどくなる。

 

娘たちは、話が飛ぶと混乱する。

私は、細かく順番通り気をつけて話しているうちに

すっとばしたくなる。

 

お互いに余裕があるときは、歩み寄れる。

でも、どちらかがいっぱいいっぱいのとき、

その“違い”は優しさではなく、摩擦に変わります。

 

母たるもの、障害のある娘に合わせたい。

それは本心です。

 

でも、私も人間なので、

ついポロリと「素の自分」が先に出てしまう日がある。

 

「あ、今の言い方はダメだった」

「もう少し順番立てて話せばよかった」

「先に説明してあげればよかった」

 

頭では分かっているのに、

エネルギーが切れていると、それができない。

 

今日はそんな日でした。

 

最近、ふと思うのです。

私の「合わせる力」が、少しずつ減ってきているのではないかと。

それとも彼女たちの世界がひろがって

煩雑になったのか???

 

愛情が減ったわけではありません。

むしろ逆で、真剣に向き合ってきたからこそ、消耗もするのだと思います。

 

こんな時にはおもいます。

メリーポピンズのこと

私がいっぱいいっぱいの日だけでいいから

降りてきて欲しい

 

秩序も遊びも両方わかっていて、

子どもたちの世界にも、大人の事情にも橋をかけてくれる人。

 

乳母であり、遊び相手であり、教育係。

しかも歌って踊れて、空も飛べる。

 

完璧ではない母。

スケジュールを忘れる母。

話が脱線する母。

でも、娘たちのことが大好きな母。

 

そして娘たちもまた、

特性がいっぱい。

そして

とびきりまっすぐで、誠実で、愛情深い子どもたち。

 

 

今日も我が家では、

秩序と自由が、静かに衝突しています。

 

ハートネットTV、まだご覧になっていない方は下記の通りです。

 

 

お久しぶりです。

そして、

NHK番組出演のお知らせ

 

ご無沙汰しております。

 

しばらくブログの更新が滞っており、ご心配をおかけしていたかもしれません。

 

再開して、また???と、思われていたかもしれません。

ごめんなさいね。

実は、この数ヶ月間は、ある取材の対応を

お受けしており、情報が漏れないようにしておりました。

 

私はもともとオープンなので

みなさまにどこかで片鱗を出してしまわないかと

心配した次第です。

 

 

放映の情報解禁は13日でしたが、

内容などは放映後でないと書けないこともあり、

事前にお伝えすることができませんでした。

申し訳ありません。

そして、先日、ちょうど出演者の誕生日、

無事に放映日を迎えましたので、ご報告させていただきます。

NHK Eテレ「ハートネットTV」

この度、ご縁をいただき、

NHK Eテレの「ハートネットTV」という番組で、

カモフラージュというテーマで

ASDの大人が、

いかにその特性を隠して社会に溶け込もうとしているか、

長い時間をかけて取材していただきました。

 

【放送日時】

•本放送(終了): 1月20日(火) 午後8:00~午後8:29

•再放送: 1月28日(水) 午前0:30~午前0:59 (※火曜深夜)

•見逃し配信: 1月27日(火) 午後8:29まで

番組の公式ブログでも、内容の一部が紹介されています。

番組ブログはこちら

取材を受けた理由と、番組に込めた思い

今回、包み隠さずお話しさせていただいたのは、

同じようにASDの特性を持つ方やご家族にとって、

何か少しでもお役に立てばという強い思いがあったからです。

 

社会に溶け込むために、本来の自分を隠して行動をしてしまう

カモフラージュについての取材は、

ディレクターやカメラマン、スタッフの方々の

ご配慮により、35分行っては15分休みという、

Hにとって、ストレスのない形を死守して行われました。

 

取材に来ていただいても

調子が悪く、そのままお帰りいただいたことも

ありました。

 

経験してきた困難

今、現在どう向き合っているか、

そして溶け込もうとして頑張るとどうなってしまうのか、

といった我らの日常をお見せすることで

ASDの特性について詳しくご存知ない多くの方々にも、

その理解を深めていただくきっかけになればと願っています。

 

 

もしもよろしければ、ぜひ再放送や見逃し配信で

ご覧いただけますと幸いです。

 

これからも、少しずつではありますが、ブログの更新を再開していきたいと思っております。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。