重ね煮と発酵食で命を支える。
奈良の「発酵ばあちゃん」、竹村享子(きょうこ)です。
重ね煮の体験入門講座でお話すること、 前々回、前回の続きです。
実際の調理をするに当たって、基本とする考え方をお話しします。
●一物全体食
旬のお野菜を丸ごと使います。皮を剥いたり、アクを取りません。
一般的なお料理では、人参や大根などの根菜類の皮を剥きますが、里芋など一部の野菜を除いて、皮は剥かずに水で洗うだけです。
ささがきゴボウを作る時には、水をためたボールにゴボウをささがきして入れてアクを抜くというのが一般的ですが、鍋に直接ごぼうをささがきしながら入れます。
またほうれん草のお浸しを作る時には、アクを取るためと言って、お湯をたくさん沸かして、その中でほうれん草をさっと湯がき、水を張ったボールに浸して冷やしてから食べやすい大きさに切る、というのが一般的ですね。
しかしそのように水をたくさん使わずに、先に2,3㎝に切ってほんの少しの水を鍋に入れて湯気が出てきたら、それでいいのです。アクはとりません。
皮やアクにはビタミンやミネラルが多く、お野菜を丸ごと使うことで今までの調理法では失われていた水や熱で分解するビタミン類やミネラル分を、摂ることができます。
そればかりでなく、フィトケミカルという微量に含まれる野菜の、重要成分を摂ることができるのです。
アクといわれる物質は体に毒というわけではありませんし、そもそも最近のお野菜にはアクといわれるような苦みやえぐみの物質はほとんど含まれてはいません。昔は人参が嫌いな子どもさんが多かったですが、今はそんなことはありませんね。
●安心安全な食材
醤油、味噌、酢、みりんなど昔ながらの自然醸造の調味料を用います。
塩は天然塩、砂糖は白砂糖ではないものを用いますが、そもそも砂糖を料理には使いません。おやつに少し使うだけです。
お米と野菜は、なるべく無農薬、低農薬のものを用いたいですね。
●陰陽調和の重ね煮は、食材の陰陽を活用
中国の思想で陰陽論というのがありますが、重ね煮はその陰陽論を調理に応用したものです。
身体を冷やすものが陰で、温めるものが陽です。
野菜でいうと太陽に向かっていくエネルギーがある葉野菜や夏野菜が陰です。
反対に地中に向かって行くエネルギーがある根菜が陽となります。
陰陽調和の重ね煮とは、地球上での野菜の上下とは反対に、陰の葉野菜を下に、陽の根菜を上にというように、鍋の中で野菜の陰陽の順番に重ねていきます。そしてそれを自然界の大宇宙とは違って、鍋の中の小宇宙と言います。
重ね煮体験入門講座で作るお料理です。
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●8月17日(土)養生春夏コース№4
●8月23日(金)養生春夏コース№4
●9月20日(金)重ね煮体験入門講座