やっぱり映画が好き -8ページ目

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

続編やスピンオフが数多くつくられた死霊館シリーズの最終作。(前日譚のドラマ版ができるかもしれないけど)ウォーレン夫妻の見納めとして劇場に足を運ぶ。

 

除霊の請け負いを引退したウォーレン夫妻がどのようにして最後の除霊を決断するのか、この経緯が今作の主軸となる。かなり強引な手引きだが、それでもウォーレン夫妻、そして今回加わる娘の覚悟に手に汗握るのは私だけではないはず。

 

1986年という時代背景が様々な流行や小道具によって反映されている。オカルトブームが沈静化して関心が薄れ、非科学的だと茶化されるような世間で心身共に疲弊したウォーレン夫妻は、未練はあるが自身の身体を労わることを優先する。生涯現役というにはあまりにリスクを伴う務めであろう。しかし悪霊は容赦無くペンシルベニアに住む家族へ "呪いの鏡" を介して迫っていく。このカットバックで終始緊迫感をみなぎらせる。

 

惜しむらくは、前作同様クライマックスを "愛の力" で解決させてしまう顛末がいただけない。それってどんな窮地でもオールマイティーに切り抜けてしまう御法度じゃないかな。やっぱそこはトンチでしょう。そうか、その手があったか、と理屈通らなくても納得できちゃう技巧が欲しい。

 

それでもシリーズ通じて感じるのは、実話モノに定番の後日譚テロップ&登場人物ご本人スナップ写真(勝手に略称テロスナ)におけるスナップ写真がすげぇ怖ぇ。事実の説得力が各々の写真で如実に物語る。事実は〇〇より奇なり。まさにこれ。

 

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イデオロギーの脆弱性を人間讃歌に持ち込んでいく構成が良い。ボブ(レオナルド・ディカプリオ)が結局娘救出に翻弄されっぱなしで何もできなかった展開が良い。ド直球で家族愛というテーマで挑むポール・トーマス・アンダーソン監督作品。

 

最愛の娘が行方不明になり、緊急時だと焦る父親ボブの空回りは何ひとつとってもイケてない。辺境な生活で自身を守るかつての革命家の成れの果てが露呈し、父親から過剰に束縛される娘は親の信頼を軽視する。その娘を捜索する軍人ロックジョー(ショーン・ペン)が私情を思いっきり挟んだ暴挙をふるうことで家族という課題が表出する。ボブとロックジョーは決して自尊心や保身といった社会的地位や承認欲求を欲しているのではない。荒々しく事態を撹乱させながらセンシティブな感情の着地点を模索する。

 

そんな騒動に巻き込まれるセンセイ(ベニチオ・デル・トロ)は決して動揺や高揚をせずに淡々と事態悪化を回避しようと仲間と結束する。その手際の良さが面白い。危機管理を通して、命の保障を日常に張り巡らせる。不意に訪れる非日常を楽しんでいるかの如く周囲の人びとも周到に行動する。いくつものプランを張り巡らすセンセイは弱者救済を信条とするスーパーマンであろう。

 

年齢を重ねるディカプリオの話芸は見てるだけで楽しい。困り果てる、愚痴を言う、そんな人の言動をディカプリオは心得ている。一方、ベニチオ・デル・トロは出オチが秀逸、センセイずるい。

 

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鍵屋の仕事を請け負う青年マディは、ある晩にクレールと名乗る若い女性から自宅のアパートの鍵を開ける依頼をされる。これがトラップでクレールはマフィアの金をまんまと盗み、運悪くマフィアに捕まったマディはその嫌疑をかけられる。マフィアのリーダー、ヤニックは奪われた金を取り戻すようにマディを脅す。明朝までにミッションを完遂しないと命の保障は無い、マディは少ない手掛かりでクレールを捜索するハメになる…

 

普通の人がひょんなことからトラブルに巻き込まれる。サスペンス映画の名匠ヒッチコック監督作品を彷彿させるプロットは、様々なスリラー作品のオマージュを散りばめた場面構成、小道具や伏線の張り方が絶妙な脚本によって最後まで手に汗握る。

 

小道具で例えると "ある人" のスマホをマディは手に入れる。それが自身の身の潔白を証明する手立てになる反面、他者を危機に陥れる。作用と副作用。目論見通りにいかない。これこそスリラーの醍醐味。当初の目的が思わぬ事態に及んでいく。マフィア側、マディ側、双方の思惑が挫かれる過程に観客はハラハラする。

 

終盤、マディは窮地をかなり強引に切り抜ける。うーむ、そこトンチ使うトコちゃうの?と突っ込みたくなる。けどラストの伏線回収が見事なので帳消しにしちゃうよ。人種差別という社会背景が随所に反映されて、ココ一番にそこをおさえてくる。マディは警察よりも頼りになる力に支えられたんだよね。現代を象徴するSNSという媒体にも作用・副作用がある。センシティブな取り扱いがマイノリティ(マディ)の人権に通底する。

 

今作が長編映画デビューとなるミヒール・ブランシャール監督の今後の動向が気になる。ベルギーのアカデミー賞と呼ばれるマグリット賞で作品賞はじめ10冠受賞する快挙は頷ける。クライムスリラーというカテゴリーで認められる人は稀有であろう。いいぞ、もっと撮って欲しい。

 

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