やっぱり映画が好き -10ページ目

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

マイナーリーグのバスケットボールチームのコーチを務めるマーカス(ウディ・ハレルソン)は監督への暴力行為でクビになり、飲酒運転の事故によって裁判所から奉仕活動で知的障がい者のバスケットボールチーム "フレンズ" のコーチを命じられる。2023年製作。日本劇場未公開。Netflixにて配信中。

 

"フレンズ" のメンバーが各々勝手な行動を取るのでコーチ業務の気が乗らないマーカスだが、次第にチームの実力を見出していく。その過程をコミカルに描くとともに、スポーツ界における勝利至上主義に疑義を唱える。試合における敗北の責任ではなくチームメイトの前進を互いに讃えあう。そこに身体を動かす喜びと精神の健康を得る。彼らは決して不自由ではない。そう思い込んでいる私たちこそ世間体や自尊心に束縛されている。これこそ不健康。私自身が "勝ち組" "負け組" という言葉を忌み嫌う根幹がそこにある。

 

ヒューマンドラマとして盤石な設定、悪く言えば無難なサクセスストーリーで括られる今作の魅力は、各メンバーの個性であり、フィクションとはいえ枠に収まらない社会不適応者と呼ばれる人びとが謳歌する姿に胸熱くなる。そして主演のウディ・ハレルソンの運動神経の良さに驚く。人は見かけに寄らぬもの、私も偏見という色眼鏡で判断している。これもキャスティングの妙である。

 

私たちは偏見で物事を見ている。それを相手に向けた言動で心身を傷つけるのが差別である。理性や人道で差別という愚行を抑える。そうでなければ社会はたちまち崩壊する。私たちが正しいのだ!と差別を肯定する人びとはどのように世界が回っているか考えない思慮の浅さを公言しているだけに過ぎない。彼らは完璧という偏った理想郷を目指し、失敗とマイノリティをイコールにする暴論に心酔する、この境地に至る心の弱さ・臆病に自覚していない。対話が困難なもどかしさから如何に寛容へと導けるのか。"フレンズ" のメンバーが少しずつ前進する姿に手掛かりがあるのではないか。

 

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ある痴情もつれの殺人事件。加害者である若手弁護士・浜野(仲代達矢)は恩師であるベテラン弁護士・宗方の妻(淡島千景)と不倫関係にあり、その妻を絞殺したのだ。犯行現場となった宗方の自宅から逃走するも通報があって舞い戻る浜野は、警察から事情聴取を受ける。その途中で容疑者逮捕の知らせが届く。内心動揺する浜野。前科者であった容疑者の男は偶然が重なって誤認逮捕に至ってしまう…1963年製作。AmazonPrime U-NEXTにて配信中。

 

名匠橋本忍のオリジナル脚本。二転三転する犯罪サスペンスは、次第に検察による人質司法、そして冤罪という社会問題が主題となっていく。さらに死刑反対論者の宗方と(真犯人の)浜野は、容疑者の弁護を引き受ける。この複雑な相関図が見ものとなる。本業と保身の板挟みに苦悩する浜野は、自責の念を垣間見せる。この出来事で事態が急転する。秘密裡に補充捜査をする検事・落合(小林桂樹)の功績で真実が判明するのだ。しかしそこからさらなるドンデン返し、ここが橋本忍らしい展開となる。

 

惜しむらくは、ここで検察は都合の悪い事実を隠蔽せずありのまま公表する。公権力がそこまで潔い決断をするのか。そこに違和感を覚える。正義に愚直であるのは理想であり、弱者に皺寄せがいく不条理を描かないと興醒めである。組織内の失態を隠蔽する悪習に問題点を投げかけてこそ人間臭さが増していく。そうでしょ、橋本先生。

 

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多額の借金を抱えた男は、迫る返済期日に頭を抱えていた。貸金業の男から約束を守らなければ臓器を売り飛ばすと脅されたのだ。このままだと死ぬハメになる、窮地に陥った借金男は、ある計画を中国から出稼ぎに来た朝鮮族の男に依頼する。それは多額の生命保険をかけている実父を交通事故と見せかけて殺害することだった…全6話の韓国ドラマ。Netflixにて配信中。

 

時系列を並べ替えることでサスペンス要素を表出させる。この王道の手法を卓越した構成力によって見応えあるドラマへと成就している。登場人物たちがクズ揃いという設定がイイ塩梅、この群像劇の行方は誰に軍配が上がるのか、最後まで飽きさせない。韓国ノワールの底力に感嘆する。

 

逆に時系列に準じて進行すると "なんだそんなに面白くないよ" ってな具合になってしまう。なぜか。ある事象、そこに至る経緯は手品でいうと種明かしになる。種明かしをはなから見たらそりゃ面白くないよね。謎がある。どうして?どうやって?そこに私たちの好奇心は働く。それと共に恐怖を誘う。この先ヤバいよ、だからこうなってるの?視聴者の野次馬根性が稼働する。

 

そんなクズ集団の中で過去にトラウマを抱いた弱者に焦点が当たる。それは誰かはここでは伏せるとして、幾度も流転するホラーサスペンスでありながらも一縷の希望を見せてくれる。個人的には手前の場面でブラックユーモア効かせた終幕を望んでしまうのだが、時が経つにつれてこのラストもありかな、と思えてしまう。悪縁は運命か偶然か、悩ましいが乗り越える姿に安堵する。ネタバレしないで述べるのはこれが限界、私も窮地に追い込まれている。

 

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