「ヴィル」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

第二次世界大戦のナチス占領下のベルギー。アントワープの街で青年ヴィルは警官に採用されるがナチス憲兵のサポートを余儀なくされる。ある晩ヴィルと相棒ロードはユダヤ人の強制連行を手伝うことになり、その理不尽な仕打ちを目の当たりにしたヴィルは突発的に憲兵を殺めてしまう。ヴィルはロードと共に、憲兵をマンホールの中に隠してしまうのだが…2023年製作。Netflixにて配信中。

 

戦争とは何か。民族や宗教、イデオロギーによる分断が加速すると排除や拘束、さらに殺戮が蔓延する。達成感や承認欲求は倫理を歪ませてしまい、正義が暴力とすり替わり人権を抑圧する。その愚行は国是と偽って声を荒げる人、マジョリティが主導する。今作はその惨状を醸成する権力を批判するとともに弱者やマイノリティの心の弱さにも焦点を当てていく。そう、あの時代が悪い、お上の言う通りにしただけ、と糾弾するだけでなく、その空気に流された自身の反省がなければ私たちは進歩しない。

 

8月はメディア報道で様々な戦争の考察を見聞きする。これを辛いから、暗いから、と言って避けてはいけない。世界中で災害も多発する中、困っている人びとの声を聞く姿勢は大切にしたい。この国の首相は "反省" という言葉を忌み嫌う "大変残念" な人なので、民の力が今まで以上に問われている。無関心でいると「ヴィル」に登場する市井の人びとのように時勢に呑まれ人権軽視に無頓着になる。ここから戦争犯罪へと繋がっていく。

 

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