ブラジルの都市リオデジャネイロで横行する警察組織と裏社会との癒着、麻薬取引を媒介に腐敗する権力、この不公正に立ち向かう特殊部隊 "BOPE" の活躍と "ある事件" をきっかけに正義が暴走する顛末を描く。2007年製作。U-NEXTにて配信中。
登場人物が多く冒頭は理解に戸惑うも、次第に人物相関が明瞭になる構成が巧い。正義と悪徳、格差とイデオロギーが交錯する。法の遵守と生業の保障は必ずしも釣り合わない。"生活のためこのくらいええやろ" と自分に甘くなりルールからはみ出してしまう。"だって周りもやってるし" なんて言い訳が通用すると思い込んでしまう。その状況は果たして安泰なんだろうか。タイミングや不可抗力などによって情勢はいとも容易く変化する。
時にルールを逸脱してまでも社会や心の平穏を守ろうとするジレンマにBOPE隊員のメンタルは疲弊する。この物語の結末に果たして納得できるか、その賛否こそ今作のテーマへと帰着する。ルール遵守で社会はよくなるのか、その法の目をかいくぐる輩は後を絶たないじゃないか、だから自分の判断は規律を逸脱しても過ちじゃない。と自己正当化する怖さ、暴力でしか選択肢がない社会の退廃が、私たちの課題として重くのしかかる。
対話が成立しない社会は、伝統や慣わしを重んじる世俗と親密である。そこは男性優位や家父長制などが潜んでいて女性や性的マイノリティを認めない、排除や抑圧を厭わない、本当は変われるものなのに変わらないことを美徳と容認する。"変わらないこと" は先述した "だって周りも…" と似ている。この状況は自分の手を汚さない無責任が通底する。ある意味卑怯といえる。
今作のクライマックス、そんな無責任が悲劇を招く。では、どうすれば解決するのか、社会は改善へと向かうのか。心の弱さが暴力を引き起こす。その加害者ひとりの責任にしてはいけない。私たちがそのような問題に触れなかった無責任が、間違ったアンサーを招いている。あの銃弾は加害者の怒りであり、私たちへの憤りも含意している。
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