最新作「ANORA アノーラ」で賞レースを席巻したショーン・ベイカー監督の初期作品。突然元カノからあなたの息子と宣告されて幼子を預かる事態になった黒人青年ラッキーは、不法移民である事情から警察にも相談できず、否応なしに子守をしながらブランド品の紛い物をキャッチセールスする商いに勤しむ。なかなかうまくいかない仕事と私生活に落ち込んでしまい、手を焼く幼子は本当に血が繋がっているのかDNA鑑定を思案する…
ラッキーが様々な苦難に心折れる表情を見せる。この画が良いんです。幼子には悪意は無い。大人に身を任せる言動には理性や慎みといった思慮は無くて当然、その成り行きに翻弄される事態は大人の覚悟となる。そこに意味や理由は必要なのか。ラッキーが懇意にしているレバノン人のショップ店長が、終盤嘘をつく。彼の嘘はラッキーにとって救われる希望を見せてくれる。因果という言い訳に価値は無く、家族という定義では測れない心の繋がりを提示する。
ショーン・ベイカー監督がオスカー獲得した際のスピーチで、映画館の大切さを訴えていた。私は賛同する。今作は彼の初期傑作選企画として映画館鑑賞できた。"別に映画通じゃないし" "敷居高いし" と思わないで、まずは好きな作品から足を運び、気になる他の作品を選んでみる。そこに当たり外れはあるけど、外れてもどこかイイトコ探してみるのも映画鑑賞の楽しさでありましょう。それこそ毎度クラファンってな気分で映画館を応援するためにチケットを買う。この積み重ねによって映画興行がサスティナブルに向かってるよ、きっと。
今作の録音状況は正直劣悪であるけど、それが一興となりスタッフの苦労が伝わり、逆にリアリティを帯びてくる。少々メタ化した解釈かもしれないが、マイノリティの暮らしを映し出す物語に貢献している。大切なのは、製作側の情熱、そしてセンスを貫く姿勢にある。ショーン・ベイカー監督しかり、作り手から伝わってくる "気付き" は、やっぱり映画館で体感してほしい。
-----------------
ここまで読んで下さってありがとうございます。ブログランキングに参加しています。
もしよろしければ、↓下をクリックしてください。よろしくお願いします。
![]()
にほんブログ村
