「ディス/コネクト」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

「DUNE/デューン 砂の惑星」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が2016年に製作した「メッセージ」で使用されたマックス・リヒターの楽曲 "On The Nature Of Daylight" が、この作品で重要な役割を担っており、そのメロディは "人の繋がり" をテーマに奏でられる。2012年製作のアメリカ映画。

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群像劇として主題に沿った構成に感嘆する。ネットやSNSを通して人の繋がりを求める人々は、親近者との会話の壁や疎遠に苛まれる。ひとりでは生きていけない事は自明であるのに、何かを言い訳にしてしまい粗暴になってしまう愚かさは相手を傷つけてしまうまで気付かない。なぜそうなってしまうのか。

 

人は心地よさを求めているのに素直になれない。苛立ち、嘲笑、怒り、負の感情では何も解決しないはずなのに、そちらに傾いてしまうのは個人ではなく社会そのものが病んでいる。"人を助けたい" という正義も "偽善" と紙一重でいとも容易く裏切りの顛末へと導かれる。それでは誰も救われないのか、傷つけた 傷ついた時初めて気付く慈愛はそれからでも遅くないと提言する。何度転んでも周りから嫌われても生きる権利はある、すべての命はやり直せる、その優しさは絶望を振り払い希望を抱かせる。

 

途中各々の場面がシンクロする。これぞ群像劇の醍醐味ともいうべき展開へと突入する。欲言うならば、ここでほんの少しでいいから意外性を含んだプロットを用意すべき。以降の挿話もそれなりの内容で帰着する。奇をてらわなくてもいいから、例えば、◯◯(伏せ字)氏が疎遠な夫婦にもっと介入するとか、アダルトチャットサイトのボスが予想外の行動に出るとか、偏見で判断してしまう私たちの悪癖に戒める展開があってもいい。教科書的な筋書きで物足りなく感じてしまうのは、厚かましい私のおねだりなのか。

 

問題視される情報化社会の功罪を日常の哀歓に落とし込んだ人間賛歌。スマホ画面に目を落とすのではなく、隣にいる人に声をかけることが社会を育む…あまりこまごま言うと "老いの繰り言" と聞き流されるかな。え?そんなことわざ知らないって。スマホで検索…あかん、ドラえもん助けて!

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