「ノット・オーケー」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

Netflixにて配信している青春SFチックドラマ。各話20分前後の全7話。とても視聴しやすい構成。主人公シドニー役のソフィア・リリスと彼女にまとわりつくスタン役のワイアット・オレフが好感持てる存在感を発揮する。ソフィアが18歳、ワイアットが16歳!若き演者が大活躍。

 

冒頭、シドニーが映画「キャリー」のように血(?)まみれになっている姿から始まる映像に見入ってしまう。間もなく時間軸はさかのぼるのでクライマックスに "これ" が待っているのかと期待する。何もない田舎町(全米大気汚染度No.1の汚名を拭えない町)何も起こらない日常(暴力や殺人とは無縁)17歳のシドニーはギクシャクする友人関係や家族関係に苦悶して、未体験の性に関心を持つ。そして憤ると暴発する超常現象。普通の生活を望む彼女は普通ではない、誰にも打ち明けられない "念力" を封印しようとする。

 

レコード、ラジカセ、VHSというレトロ小道具や衣装・美術が多感な高校生の生活、イケてない女子の様々な初体験を描く物語に貢献している。シドニーと同じくイケてないグループに属するスタンは音楽を通して自分のアイデンティティと異性に対する好奇心を抱く男子。彼はイケてる男子・ブラッドに対して "お前は今がピークだ、その後は毎回同窓会に参加する、10年後も20年後も、なぜならこの後は何も起こらないから" と陰で罵る。何も起こらない学生生活を過ごすイケてないグループの不可視なる抵抗が痛快。

 

案の定、クライマックスはダンスパーティーなのでまさしく「キャリー」じゃん、でも冒頭のシドニーが浴びたのは "血" じゃない "何か" のはず、それがこのイケてない主人公の "オチ" だろうとふんでいたら、これが "事件" の発端になろうとは想定外。どうなるシドニー。次シーズンはあまりSF要素を膨らませて欲しくないんやけどね。もはや普通の生活に戻れなくなったシドニーの奮闘劇、父親の存在をどのように扱うのか気になる。

 

そういえばシドニーの弟リアムもイイ。"父の不在" がもたらす家族唯一の男としてディナーを料理したりパーティーに出かける姉を見送ったりする所作がませたガキンチョとしてニヤリとさせる。大人という未踏の世界に無限の可能性を夢見る若者と未知なる力に運命を翻弄される壮大な物語は上手く融合するのか、青春映画やホラー映画のオマージュを散りばめた脚本・監督のジョナサン・エントウィッスルの予測不可な世界に期待する。

 

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