「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 
ニューヨークの大学で働く女性マギーは恋愛が長続きしないのが悩みの種。30歳を過ぎた彼女はシングルマザーになることを決意して精子提供者を探す中、職場である大学で文化人類学者のジョンと出会う。彼は妻子ある身だがコロンビア大学のキャリア教授の妻に家事を押し付けられて愛情が冷めきっていた。小説家を目指すジョンはマギーに自分の作品の意見を聞くようになり二人の関係は急接近、ジョンは離婚してマギーと再婚するのだが…
 
イーサン・ホーク演じるジョンの情けない男っぷりにグッとくる。マギー役のグレタ・ガーヴィグは私の注目度No.1女優さんであり今回もまたイイ役どころ。ジュリアン・ムーアも着実に老けているが魅力ある女性を演じる。この三人の人間模様が軽妙な展開によって繰り広げられる。私が着目するタイトルを出すタイミングもラストシーンもお見事。おススメ。「幸せになることを皆が願う」「出会いと別れ」この普遍的な二つの主題をこれだけ面白くするレベッカ・ミラー監督を筆頭とする製作陣の手腕に拍手。登場人物が纏う衣装や室内の小道具などの美術にも注目。隣で観るヨメの好きそうなアイテムがちりばめられている。
 
この物語、オチとしては"もとのサヤ"なのだが、これが心地よい。なぜなのか、登場人物が成長しない物語は果たして面白いのか。この作品の物語構造として
・恋愛できない女性(主人公)が存在する。
→ある男性と恋愛する。
→イイ雰囲気になる。
→彼のために主人公は一肌脱ぐ。
→結果、彼とは別れて元の独身に戻る。
→また新たな男性を見初める。
 
ってな具合。んんん?これって有名な邦画に似てる。
 
・恋愛できない男性(主人公)が存在する。
→ある女性に一目惚れする。
→イイ雰囲気になる。
→タコ社長にひやかされて喧嘩する。
→彼女のために主人公は一肌脱ぐ。
→結果彼女とは別れて独身に戻る。
→また新たな女性(マドンナ)を見初める。
 
「男はつらいよ」と類似していると判る。
 
そう、寅さんも成長しないが魅力あるキャラクターなのだ。懲りずにマドンナに恋をする。私達もまた成長していないことに共感しているのではなかろうか。いつまでたっても子供なのだ、天下り、公務員の不祥事といった最近のニュースを見ても過去にあった事件から何も学んでいないのが私達なのか、と感じる。この作品は大きな子供達のお話。そう思えば作品に出てくるジョンと先妻との子供達の方が良識をもっている。子供らしい行動もするがもはや逆転している。ここがミソ。
 
「ドラえもん」ののび太も「ちびまる子ちゃん」のまる子も成長しない。しかし現状から脱却しようとする向上心がある。(時折居直りもあるが)私達も忘れてはならぬ。まだまだ子供であることを自覚して精進しよう。この人間賛歌が心地よいのだ。未熟な私はここで納得。
 
---------------------------

ここまで読んで下さってありがとうございます。
ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、
↓下をクリックしてください。よろしくお願いします。




にほんブログ村