予告編を観た時は、なんだ、スタートレックらしくないぞ、と
派手なアクションシーンの連続に危惧していたのだが、
冒頭、それは杞憂に終わる。
それはこのシリーズの定番、
主人公カーク船長と副長Mr.スポックの対立もお約束事として、
そして伏線としてしっかりと描かれているからなのだ。
あまりに狡猾な敵にカーク達は、見事に翻弄される。
ただし、それは前半まで。
勾留されたジョン・ハリソンは自らの正体を明かすと、
彼の並外れた頭脳はしだいに鳴りを潜める。
もっと、10手先ぐらい読む卓越した戦術能力を期待したのに…
今思うと、彼の逃亡先であるクリンゴン星へのエンタープライズの密偵、
そして、逃亡者のクリンゴンに対する暴挙はその後、
彼とエンタープライズが所属する惑星連邦、
そしてクリンゴンとの三つ巴バトルの布石ではなかったのか。
ここがクライマックス、盛り上がりに欠ける要因であろう。
欲言えば、戦術家ハリソンと宿敵クリンゴンに背水の陣のカーク船長が
会心のトンチで形勢逆転!ってな、お家芸を見たかった。
クリンゴン勢力がなおざりにされたのは、続編への伏線なのか?
三部作ならば、次の完結編はクリンゴンとの和平につながるのか。
この作品はSFならではの平行世界(パラレルワールド)として
リブートされているので、時代設定は旧TVシリーズの前日譚だが、
登場人物の辻褄は全く気にしていない。
気にしなくてもいい前提として、平行世界が存在する、
この制作者の開き直りは、往年のファンにとって賛否両論の材料となる。
ファンの一人として、この内容は歓迎する派なのだが、
如何せん悪役をもっと手強くしてほしかった。
彼もまた家族、同種族を守るべく復讐に突き進むのは、
バルカン人が尊重する「論理」ではない、地球人として「感情」を優先するカーク船長と紙一重の行動であり、
21世紀のテロ活動もまたこの因果に相違ない。
視点を変えれば、ジョン・ハリソンもまた英雄なのかもしれない。
「論理」と「感情」この狭間でカーク船長が悩むのだが、
己の愚行を「狂気」ではないと信念を譲らない。
Mr.スポックが友とよぶのは、そこに魅力を感じ取るからなのだ。
英雄になるには、他者がそう評価する結果であり、
孤高の反逆者は、応援する仲間がいないことで悲劇という結果になる。
帰宅して旧シリーズの映画版を観ると、
マーカス提督の娘がコチラでも出てくる。めちゃ重要な役なので、驚いた。
まだまだトレッキーには遠く及ばない。
----------------------------
ここまで読んで下さってありがとうございます。
ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、
↓下をクリックしてください。よろしくお願いします。
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fmovie.blogmura.com%2Fmoviereview%2Fimg%2Fmoviereview88_31.gif)
にほんブログ村