違法に加担する相手を標的にした強盗事件、貴金属や現金を強奪しても決して命を奪わないことをデーヴィス(クリス・ヘムズワース)は信条とする。彼は次なる計画として高額商品を扱う保険会社の敏腕社員シャロン(ハル・ベリー)に共謀を持ちかける。しかし多発する強盗事件の解決に奔走する地元警察のルー刑事(マーク・ラファロ)や、デーヴィスと取引する黒幕の指示で暗躍するオーマン(バリー・コーガン)の邪魔だてがデーヴィスの行動に綻びを見せていく。
登場する主要人物たちがマイノリティの境遇で苦悩する。貧困層やジェンダー差別、組織内で疎まれる万年ヒラ刑事が各々再起を模索する。時期により互いに協働、対立、流転する人物相関が次第に作品テーマへと結実する。人生やり直しにリミットは無い。必要なものは決断力、そして真意を伝える覚悟なのだ。
社会はマジョリティにとって都合の良い環境を優先する。そこに私利私欲、保身といった正当化しやすいエセ倫理が跋扈する。"だって周りもやってるよ" "あいつらが悪いんだよこっちは悪くないよ" 破綻したロジックは、力が強い側へと都合よくおさまっていく。では、その亀裂はどこにしわ寄せがいくのか。当然弱者でありマイノリティ側となる。それに抗う人びとは表面的には規律を破るアウトローであるが、私たちは彼らの決断を応援したくなる。それはピカレスクに通じる。
惜しむらくは主人公・デーヴィスの設定年齢は、演者クリス・ヘムズワースよりも低い方が良かったのではないか。若者の無軌道からのやり直し、そしてシャロンやルー刑事は中年からのワンスアゲインが重なることで作品テーマがより明瞭になるだろう。
ますます向上するカーアクションに伴うカメラワーク、衣装や小道具に至るまで練り上げた演出はバート・レイトン監督やスタッフの功績だろう。クライムスリラーの背景に登場人物全員の心情がヒシと伝わる。今年の暫定ベスト。これぞ娯楽映画の真髄です。
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