2012年12月21日。
地球。世界全土。
時刻、午後11時58分。
それは音もなく訪れた。
それは姿もなく訪れた。
それは物質ではない故に。
それは生物ではない故に。
それは現実。
それは事実。
遥か昔。
神話に近しき者たちが知った現実。
既に滅びし者たちが定めた事実。
予言された運命。
何がそうするのかを知る者はいない。
何故そうなるのかを知る者はいない。
解ること。彼らがそう定めたというだけ。
現在時刻をもって。世界のあらゆる時計が止まる。
これより先、時間を刻む時計はない。
これより先、時計が刻む時間はない。
チク・タク
チク・タク
喝采はない
喝采はない
せいぜい二分。いいや一分。
それが、世界に残された時間。
さあ。
世界の、終わりだ。
――いいや。
――世界は、終わらない。
蒼天落ちた漆黒の空に。
赫炎の如く立ち上がる白光、ひとつ。
紫の影、電光に変えて――
雷電纏って立ち上がる、それは《白い男》だ。
それは果たしてここにあるべき姿か。
それは果たしてここにあってよい姿か。
返答はない。
返答はない。
一切の疑問を意に介さず、男はそこにいた。
ただ、全世界70億を救う為にそこにいた――――
砕かれる。
現実が砕かれる。
事実が砕かれる。
世界の終焉が砕かれる。
終わらない。
世界は終わらない。
そして、また。時計は動き出す。
邪悪を刻むために?
いいや、違う。
輝きを、刻むために――――
2012年12月21日。
『黄雷のガクトゥーン』発売おめでとうございます!!