お尻に根が生える… | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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お尻に根が生える時ってないだろうか?
(あ、毛のことじゃないですよ…)

前にも書いたかもしれないが、
私の場合はこういう時だ。

平日の昼下がりにやっている
NHK BSプレミアムシネマに
たまたまチャンネルを合わせてしまった時…。

最初から観る気があったわけではないから、
何の映画をやっているか私は知らない。

しかし…
加藤茶風に言えば、
ちょっとだけよ~❤️
のつもりで観始めたらもうダメだ。
山本リンダ風に言えば、
もうどうにも止まらない~♥️
となる。

まるでそうなることが
最初から決まっていたかのように、
面白くてその場から
一歩も動けなくなることがあるのだ。
一旦こうなると、
その後予定していた雑事は
ものの見事に吹っ飛んでしまう。

たいていは昔観たことがある映画だ。
先日もそんなことがあった。


その日たまたま観た映画の冒頭シーン…

朝焼けに包まれたテムズ川が映し出され、
徐々に薄曇り空の中からビッグベンや
ウェストミンスター寺院が遠くに見える、
朝のロンドンの日常風景…

あ!小さな恋のメロディだ!

と判った途端、
私のお尻から根がボーボーと生え始めた。
(しつこいけど毛じゃないですよ…)

『小さな恋のメロディ』

不思議な映画である。
ロンドンのパブリックスクールに通う
11歳のダニエルが、
同じ学年のメロディに恋をし、
親や教師に内緒で
友人達とともに結婚式を挙げるという
他愛のないストーリーだが、
強力な磁力を持つ映画なのだ。

私のようないい歳したオッサンが観ても
いまだに胸キュン!(オエッ)
甘酸っぱい記憶を喚起させる。

とにかくダニエル(マーク・レスター)と
メロディ(トレイシー・ハイド)の二人が
初々しく強烈な輝きを放っている。
*画像はお借りしました

はっきり言って、
もし私が同じ年頃だったら
黒髪の美少女メロディはタイプだ。
もう、メロメロ、メロディである。

そして決して美男子ではないが、
金髪巻き毛のダニエルも愛くるしい。
きっとその10年後の風貌は、
ブログレ界の渡り鳥ドラマー
ビル・ブルーフォードを想像させる。
*画像はお借りしました

さらに友人のトム(ジャック・ワイルド)の
面構えも魅力だ。
*画像はお借りしました

ストーンズのメンバーの中にいても
何ら違和感のないふてぶてしさである。
*画像はお借りしました

さて、よくいわれるように
この映画が永遠の輝きをもつ理由の一つは、
音楽であることは疑いようがない。

この作品(1971年)から遡ること4年、
サイモン&ガーファンクルの曲を使った
「卒業」直系の流れを汲みながら、
さらにそれを進化させた
「小さな恋のメロディ」は、
ビー・ジーズの珠玉の名曲がもつ世界観と
映像との間に寸分のズレがなく、
そんじょそこらのミュージックビデオを
遥かに凌駕する完成度…。
それはそれは見事である。


この映画の脚本は、
後に「ミッドナイト・エキスプレス」
「フェーム」「ミシシッピー・バーニング」
などを手掛けた英国を代表する映画監督
鬼才アラン・パーカーである。
製作は、後に「炎のランナー」「ミッション」などを製作したデビッド・パットナム。
「小さな恋のメロディ」は、
当時無名の二人にとって映画デビュー作だ。

これは後で知ったのだが、
ビー・ジーズの7曲の権利を手に入れた
デビッド・パットナムが、
曲をもとに映画を作れないかと
友人のアラン・パーカーに声をかけたのが
そもそもの始まりだそう…。

どおりで…
最初から計算されていたのである。

だからといって、
この映画の価値が下がることは微塵もない。
むしろ映像と音楽のマッチングが
どれだけの相乗効果を生むかを
究極の完成形をもって
我々に提示してくれたのだ。


ところで…
個人的に私がこの映画に強く惹かれる理由は
ロンドンのごく一般的な家庭の営みや
街並みや風景が垣間見えることである。
それは西洋(特にイギリス)への憧れと
未知からきているのかもしれない。

下世話かもしれないが、
当時のロンドンに住む一般の英国人が
どんな家や部屋に住み、
どんなものを食べて
どんな会話をしているのかが
私としては気になる…
いや、それは日本人に対しても
同じかもしれない。

「家についてってイイですか?」
がナゼ面白いのかは、
外面では窺い知れない人物像が、
その人の家や部屋での暮らしを通して
立体的に浮かび上がるからだ。

同じロンドンの若者の生態を描いた
「ザ・フー」のロックオペラアルバム
「四重人格」(Quadrophenia)を題材にした映画「さらば青春の光」でも、
私の興味はロッカーズとの抗争よりも
モッズ少年ジミーの家や部屋に注がれた。

さて、ダニエルは中流階級で
メロディとトムは労働者階級のようだが、
いずれも部屋は思ったより狭い。
日本の一般家庭とさして変わらないことに
少々驚く。

家庭環境も複雑だ。
ダニエルの親友トムは両親不在の貧困層で、
祖父の晩御飯であるソーセージを焼くために
わざわざ早く帰宅しなくてはならず、
ガスも止められている。

メロディの家庭にいたっては、
仮出所中で昼間からパブ通いの父親と
古い厳格者の祖母の面倒を看る
しっかり者の母親という構図。

それに比べダニエルの家は
まあまあの暮らしぶりだが、
一見華やかでリベラル指向な母親は、
下層階級を見下す発言を平気でする
典型的な過保護ママだ。

そんな様々な環境で育った
子供達が通う学校は、
寄宿舎のある名門校ではなく、
ごく普通の公立学校のようだ。
趣きある緑に包まれたレンガの校舎…。
放課後に繰り出すロンドンの街並みでは
二階建てバスがひっきりなしに走る…。


そして…
ファッションブログ的には
(そうだったっけ?)
男子生徒達のクラシックでトラッドな
完璧なブレザースタイルは、
さすが本場ならではのもの。
AC/DCのアンガス・ヤングも真っ青…。

特にメロディ達女子が身につける
白のハイソックスと
青と白の大きめギンガムチェックの
ミニワンピースにブレザーを羽織った姿は
可憐の一言に尽きる。

運動会でのトムのレトロクラシックな
ラグビーシャツの着こなしも新鮮。

さらに大胆なプリント柄のドレスに
大振りのアクセサリーを身につけ、
オープンカーを乗り回す
ダニエルのお母さんは、
60年代のスウィンギングロンドン時代に
青春を過ごした名残りだろう。


さて…
観る人それぞれに
好きなシーンがあると思われるこの映画…。
私の一番好きなシーンは、
二人がトロッコで逃げるシーンでも
海辺で戯れるシーンでもない。

それは、休憩時間や放課後に
生徒達が怒濤の勢いで
教室から駆け出してくるシーンだ。
劇中何度も繰り返されるこのシーンは、
子供達が本来持っている
無邪気さや純真さを物語っている。

階級社会が蔓延るイギリスの、
さらに抑圧された管理教育の中で、
子供達が精一杯生きようとしている姿が
とても感動的なのだ。

私はふと、昔観たピンク・フロイドの映画「ザ・ウォール」の中の
「Another Brick In The Wall」での
1シーンを思い出した。

それは「小さな恋のメロディ」の中で、
ダニエルとトムが体罰を食らうシーンと
そっくりなシーンがあるからだ。



確か…
やっぱりそうだった!
この映画の監督も
アラン・パーカーだったのである。

「小さな恋のメロディ」と
「ザ・ウォール」…
あまりに毛色の違うこの2つの映画…
もしかして根っ子は同じなのだろうか?
とついつい訝ってしまうが、
たぶんこれはネクラでヒネクレモノの
ロジャー・ウォーターズのせいだと
勝手に思うことにしとこう…。


ところで今日休みの私は
この記事を書きながら、
たまたま午後1時に
NHK BSプレミアムシアターに
再びチャンネルを合わせてしまった、、

あ、これはヤバい…
今日の映画は
「The Beatles~
        EIGHT DAYS A WEEK」
だってさ…

私のお尻からはモジャモジャと
猛烈に根が生えてきたのは言うまでもない。
(何度もしつこいけど毛じゃないですよ…)

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最後はやっぱりこの曲で!

           「Crosby,Stills,Nash&Young」
      “Teach Your Children”
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メンズビギ横浜店  GMより


コチラも見てネ❗️
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