青天の霹靂 | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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ファッションやカルチャー、ライフスタイル全般まで、
役立つものからどうでもいい話まで、
GM(ゼネラルマネージャー)独自の視点で綴るブログ。

「青天の霹靂」といっても
青森県のブランド米のことではない…。


それは2週間ほど前のことである。
中西がいつものように
私の方へにじりよってきた。

以前も書いたが、
この男は何か自分に不都合な話があると
そろ~り、そろ~りと
狂言師のように近づいてくる。
その近寄り方があまりに不気味なので、
私はいつも2、3歩後ずさりするのである。

「な、何だよ!」
と私が言うと、

「ちょっと重い話なんですが…」
と切り出す中西。

「あ、ダイエット企画のことか?」
と私は聞いた。

ダイエット企画とは…
結婚してからブクブク太り始めた中西が、
一念発起してダイエットしていく様子を
ブログ上で公開し、
世の中に夢と希望を与えるという
内輪で異常に盛り上がった画期的企画だ。
すでに昨年動画の一部を撮影していたが、
途中でお蔵入りなっていたところ、
今年はもう一度やってみます!
と先月から宣言していたのである。


「いや、その話じゃないんです…」
と中西は言う。

どうやらダイエット企画のような重い…
いや、軽い話ではなさそうだ。
私は姿勢を正し、
中西の話にじっくり耳を傾けた。

その内容とは…

ほんの数日前、
新婚の中西家に○○が発覚し、
今までのような生活ができなくなった。
家族会議をして今後の身の振り方を
考えた結果、
妻の実家がある北関東の街へ引っ越し、
新たな生活を始めたい…
というものだった。

「そうか、それはおめでとう!」

と私は祝福したものの、
それは同時に
中西がお店を去ることを意味する。
しかも、本人の希望は来月いっぱい…

あまりに急な話の展開は、
これこそ 青天の霹靂 である。


しかし…
私はいつかこういう時が来ると
思っていたのだ。

私が新人スタッフを採用する際、
よくこんな風に言うことがある。

「タイガーマスクの“虎の穴”って知ってる?
世界中からスカウトされた有望な若者を鍛え上げて一流レスラーを育てる機関だ。ウチの店も洋服屋の“虎の穴”だと思ってほしい。給料はそんなに高くないけど、どこに行っても通用する一流販売員を養成する為に、知識や技術だけでなく、店の運営や働きやすい雰囲気作りまで惜しみなく教えるつもりだ。だからいつまでもこの店にいる必要はないし、自信がついたらステップアップにどんどん他に行けばいい。この店で成長が認められれば、どこでも通用するから」

あ、断っておくが、
タイガーマスクの虎の穴は
恐ろしい悪役レスラーを育てるが、
ウチの店は悪徳販売員を育てるのではない…。


ところで中西は、
実は4年程前にも一度
店を辞めようとしたことがある。
その時の彼はなかなか結果が出ず、
自信を失くしていたのだ。

「今は絶対辞めない方がいいと思うよ。本当にこの仕事が好きなら、ここが踏ん張りどころだ。同じ業種だけでなく他の仕事についても、また同じ壁にぶち当たるから。他人と同じことをしてもダメだ。基本をしっかり身につけたら、お前にしかできないことをやるんだ」

と私は諭した。

辞めることを思い止まった彼は、
その後覚醒したのか急成長を遂げ、
たくさんのファンを作っていった。
それは彼にしかできない接客であり、
それを可能にしたのはお客様のおかげだ。


彼がこの仕事や職場、
そしてお客様を大好きであることは
疑いようのない事実である。
さぞ苦渋の決断だったに違いない。

でも、今の彼には守るべき家族がいる。
今ならどこへ行っても通用するはずだ。
いよいよ虎の穴の卒業の時が
やってきたのである…。


少人数で運営する我々のような店は、
どこかロックバンドに似ている。

どんなに才能のあるスタッフが集まっても、
エゴのぶつかり合いで崩壊する。
方向性が違っても巧くいかない。
ただ楽しいだけでも
成果は出ず長続きしない。
一人が突出していても限界がある。
私は今までそんな店を数多く見てきた。

結局は、互いを尊重しながら
個々の持つ力を最大限に引き出し合い、
そのメンバーでの最善最良のケミストリーを
生み出すことなのだ。

離合集散を繰り返し
常に新陳代謝をしながら
長く活動するプログレバンドもあるが、
ずっと同じメンバーで
高い水準を維持し続けるバンドの方が、
私は好きだし凄味を感じる。
(日本で言えばスピッツみたいに…)


気がつくといつの間にか
『ずっとこのメンバーでやりたいな…』
と思っていた私にとっては、
今回の件は正直ショックであった。

『給料を倍にするから残ってくれ!』
というのも何かが違うし、
実際にそんなことはできないのだ。
しかも、最初の約束を破ることになる。

次の仕事も決めずに決断した中西の方が、
私よりもよっぽど大人で勇気がある。


中西にはこれからもどこかで
洋服屋を続けてほしい。

あと10年もしたら、
世の中は本格的なAIの時代だ。
多くの人間の仕事が奪われるはずだが、
私はファッション販売の仕事だけは
何となく生き残るような気がする。

なぜならこの仕事には、
AIが苦手とする
*クリエイティビティー(創造力)
*ホスピタリティー(接客力)
*マネジメント(管理力)
が要求されるからだ。

そして中西には、
メンズビギ横浜店のポリシーを
どこに行っても受け継いでほしい。

それは…
服で世の中を明るく平和に!
である。


さて…
感傷的な話は止めて本題に入ろう!
ここまでは序文に過ぎないのだ。

えっ⁉️
と思われる方もいらっしゃるだろうが、
人間は常に前を向いて
歩いていかなければならないのだ。
だってこれは、
つい最近弟子の中西に教えられたんだから…
アハハ!


中西の退職にともない、
メンズビギ横浜店では
久方ぶりとなる
スタッフ募集を行いまーす!

自薦他薦を問わず、
ご興味ある方はこちらまで!
                ダウン
045-442-0137

主婦パートさん、
学生アルバイトさんの
平日短時間勤務も大歓迎!
私と仁田の“生の会話”が聞けるチャンス!
(あ、誰も興味ないか…)


最後に…

中西はまだ辞めてません(5月まで…)
現在の中西は、
何かが吹っ切れたのか、
「GOLDEN WEEK FAIR」の
ノベルティー扇子を両手に、
謎の舞いを繰り出す始末…



この男、最後までよく分からない…

お時間のある方は、
こんな中西を是非見にきてやってください!


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今振り返ると、
私と中西は父と子のような関係だったな…

                    「Peter Gabriel」
            “Father , Son”

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メンズビギ 横浜店   GMより


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