私がこの業界に入った頃…
毎晩踊りまくっていた直属の上司が
よく私に言っていた言葉がある。
洋服屋はノリだよ!
と…。
そういえば昔のファッション販売員は、
捻れた選民意識と自嘲がない交ぜになり、
自分達のことを“洋服屋”と呼んでいた…
さて、数ヵ月後には新しい元号になる。
そう考えると、
昭和の時代から洋服屋をやってる自分なんて生きた化石のようなものだ。
しかし…
こんな自分だからこそ言えることもある。
今の洋服屋はマジメだ!
と…。
もちろんサービス業だから
マジメに越したことはないのだが、
底抜けにアホでオモシロイ洋服屋が
絶滅しつつある現在の状況は、
ある意味寂しいではないか。
昔の洋服屋には変わり者が多かった。
ここでは書けないような破天荒な輩や、
プロ顔負けの芸達者な連中…
一般企業では落ちこぼれそうな
一筋縄ではいかないクセ者の集まりだった。
オレ達、洋服屋だからさぁ…
何かやらかしても、
このセリフが免罪符の時代が確かにあった。
揉め事もそれなりに多かったが、
刺激的な毎日だったのである。
それに比べ昨今の洋服屋は大人しい。
コンプライアンス重視の現代…
人に優しい社会は大いに結構だが、
その反面、多くの制約を強いられるのだ。
SNSの普及も相まって、
出る杭は打たれやすい今の世の中では、
周りの顔色を窺い空気を読みながら、
コミュニケーションをとることになる。
溜まった感情は内に向かい、
一気に針が振れることもある。
こんな社会の中では、
枠をはみ出すような個性的なキャラクターは
なかなか生まれにくいのも確かである。
嗚呼、
愛すべきアホな洋服屋は、
もういないのだろうか…
年末にそんなことを思いながら、
同業者のブログを読んでいる時だった。
あっ⁉ いた❗
全国のアパレルショップが
どれだけあるのか知らないが、
たまたま見たそのブログのショップは、
なんと!
マルイシティ横浜の7階…
ウチの店の目と鼻の先にあるショップだった。
そのショップとは、
昨年秋に新規オープンしたばかりの
GARNIER(ガルニエ)である。
灯台もと暗し…
嗚呼~ もうダメ…
コイツ等、バカ❗
なんたって、マイ打刻機である。
買った男もさることながら、
それを飄々と書いてる男も愛すべきアホだ。
前代未聞…
厚顔無恥…
完全無欠…
正真正銘…
純真無垢…
荒唐無稽…
猪突猛進…
(新春四字熟語シリーズ)
実に清々しい。
私はこんな洋服屋の出現を待っていたのだ。
翌日…
ウチの店の前を通る水野を掴まえた私は、
バッカじゃねーの!
と、最大級の賛辞を贈った。
ちなみにこのガルニエは、
堺正章、舘ひろし、哀川翔等を顧客に持ち、
メンズビギの黎明期を菊地武夫氏と共に支えた加藤和孝氏が率いるブランドなのだ。
云わばメンズビギとは血縁関係ともいえる。
新規オープンしたショップを
つい応援したくなった私は、
「このブログ、紹介していい?」
と水野に聞くと、
「知名度が上がるので、是非お願いします!」
と言った。
この話をウチの愛すべきアホ達、
中西と仁田に言うと、
「でもあそこのブログは、
ウチよりランキングが遥かに上ですよ!」
と言うではないか。
「え!? マジで? それを早く言え!
ウチもウカウカしてられないぞ!」
まぁ、いい。
愛すべきアホ達がいる限り、
洋服屋の未来は明るいのである…。
……………………………………………………
「Joni Mithell」
“Love Puts On A New Face”
(新顔に愛を置く)
……………………………………………………
メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
コチラも見てネ❗

