あの男とは、伊勢のロックンロールバンド
“めれんげ”の首謀者Jukeである。
毎年東京でライヴを行う彼は、
熱狂ライヴ翌日には
クールダウンという意味不明の名目で
去年から私を指名するようになったのだ。
この男のライヴに一度も行かない私が
なぜクールダウン相手に指名されるのかは、
今もってサッパリ分からないし、
クールダウン要員扱いされてる私の気持ちを
この男はどう思ってるのか?
ということも考えなくもないが、
一番分からないのは、
指名を受けるとホイホイ行ってしまう
自分自身なのだ。
どうやらこの男には、
不思議な磁力があるらしい。
ライヴをやると言えば、
全国からファンが集まってくるという。
二人で呑んでる時は、
とてもそんな男には見えない。
バカバカしい会話の応酬が楽し過ぎて、
会話のほとんどを覚えていないのが常である。
私がライヴに行かないのは
仕事の都合もあるが、
ギターを持った彼を一度でも見てしまうと、
今までの対等な関係が揺らいでしまうのが
恐いのかもしれない。
さて、クールダウン当日の朝…
彼から“スペシャルゲストを連れてくよ”
という連絡があったので、
私は少し不安になった。
ただでさえメンドクサイ二人の男に、
もう一人メンドクサイ男が加わったら、
どんなケミストリーが起こるのだろう…と。
その日仕事だった私は、
これから命の恩人に会いに行くので…
という誰も信じてくれないウソをついて
お店を早上がりし、
横浜から池袋北口にあるセンベロ酒場
“大都会”を目指した。
途中で到着時間を連絡すると、
もう既に呑んでると聞いて
私は再び不安になった。
スペシャルゲストというのが
初めて会うメンドクサイ男と予想してた上、
すでに出来上がった空気の中に
後から入っていくことが苦手な私は、
大きなアドバンテージを感じたのである。
ところが…
私を待ち受けていたのは意外にも
メンドクサそうな変わり者男ではなく、
女性3名男性1名のスペシャルゲストだった。
“初めまして”の方々も含め、
品行方正で穏やかな面々でホッとした…
と同時に、
新たな不安が私に襲いかかったのである。
これだけの面子がいると、
私の喋る持ち時間が削られるのでは…と。
こう見えて私は、
飲み会では常に中心でいたいタイプなのだ。
さらに…
私以外の全員が前夜のライヴに行っている…
ということは…
この集まりは明らかに、
Jukeとその愉快な仲間たち
なのである。
この宴の中心にいるのはJukeなのだ。
あの男にはせめて口では絶対負けたくない!
と常日頃から思っている私にとって、
端から梯子を外されたようなものだ。
数的不利は否めないのである。
しかし…
この窮地を救ってくれたのは、
わざわざ毎回高知からライヴに参戦する、
初めましてのヨンチーさんだったのだ!
自らの喋る持ち時間を削り、
私に分け与えくれたのである。
命の恩人は実在したのだ。
さすが高知の男!
おかげで楽しく呑むことができ、
この後全員で練炭自殺という
流れにならずに済んだ。
あれだけ皆で喋ったにもかかわらず、
具体的な話は今回もほとんど覚えていない。
相変わらず建設的な話はゼロだったのだろう。
断片的に覚えていることといえば、
nonさんの口から幾度となく出た
“近所”という言葉と、
私がJukeのアタマをなぜか何度も
ポンポン叩いていたことぐらいか…
あ、そうそう。
それとヨンチーさんから頂いた
高知の特産品。
早速ラスクを貪るように食べてしまった…
あすてか、non、ヨンチー、花マロリンよ!
(一緒に呑んだ人は敬称略…)
楽しい時間をありがとう!
そして、この宴の首謀者Jukeよ!
悔しいけどありがとう!
やっぱり大都会の夜はいいな。
クールダウンにはならないだろうけど…
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「クリスタルキング」
“大都会”
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
コチラも見てネ❗

