ファッションに特化した、
メンズビギ・マルイシティ横浜店
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ハハハ…
大都会事件簿と言っても、
特番の「警察24時」や
渡哲也や石原裕次郎が出てくる
警察ドラマ「大都会」のことではない。
私が“大都会”と言えば、
池袋駅北口にある
「センベロ(千円でベロベロ)酒場」
しかない。
ある男と初めて行って以来、
すっかり病みつきになってしまった私は、
その後も何かと池袋に行く口実を見つけては
通っている店だ。
その日は昨年の暮れ。
妻が午前中池袋に用事があると言うので、
喜んで付いていった。
妻が用事を済ませている最中、
私はレコード屋巡り。
とりあえずCDを5枚ほど買ってから
待ち合わせ場所の大都会へ。
ここは、妻もすっかりお気に入りなのだ。
年末だからなのか、
その日の大都会は昼間にもかかわらず、
結構込み合っていた。
かろうじてカウンターに席を見つけた私達は、そこに陣取り早速食券を買って飲み始めた。そして、人間ウォッチングの幕が切って降ろされたのである。
元々、真っ昼間から飲んでいるお客ばかりだ。どう見ても怪しい連中(自分達もか…)の集まりである。
明らかに夜の仕事や
アッチ系ソッチ系と思われる者もいるが、
他の人達は服装だけ見ても
その素性は分からない。
年齢もマチマチ。
その日、私が一番注目した人物は、
真向かいのカウンターに座っていた
70歳前後と思われる男性のご老人である。
すでに相当酔っている。
さっきまで一緒に隣で飲んでいた
同世代らしき女性が
いつの間にか先に帰ってしまった後、
彼は話相手を渇望しているように見えた。
『この後、絶対何かが起きる!』
と私が予感した通り、
彼は自分が座っていた席を離れ、
各テーブルやカウンターの他の客に
話し掛け始めたのである。
この店は、
決して洗練されてもいないし、
むしろオシャレの極北にあるような店だ。
しかし、とても居心地が良いのである。
それは、安い店にありがちな
殺伐とした空気が一切流れていないのだ。
そして、その空気を作り出しているのが
お店のスタッフ達なのである。
スタッフの平均年齢はかなり高い。
なぜか皆、頭にバンダナを巻いている。
とにかくキビキビと働きながら
一人一人のお客に寛いで貰えるように、
マニュアル化されたサービスにはない
心の籠った気配りをしている。
この仕事にプライドを持っている証拠だ。
お客にもそれが伝わっているせいか、
一筋縄ではいかないような客ばかりなのに、
意外にも揉め事はほとんど起きない。
ただし、この暗黙の了解を乱す者が現れると
容赦しないのがこの店のルールでもある。
ところでさっきのご老人…
見ようによっては
メンズビギ初代デザイナー菊池武夫氏に
似ている。(業界では通称タケ先生)
さて、自分の席を離れ
各テーブルを廻り始めた偽タケ先生。
その姿はまるで、
披露宴の各テーブルに酒を注ぎ廻る
新郎新婦の親戚の中に必ず一人はいる
酒好きの陽気な叔父さんのようだ。
しかし、他の客にちょっかいを出す行為は
この店ではルール違反である。
それに気づいた
大都会Tシャツを着た女性店員は、
偽タケ先生の肩を優しく叩きながら
「お客さん、他のお客さんが迷惑だから
自分の席に戻ってネ!」
と気遣いながら言った。
偽タケ先生は一旦は席に戻るものの、
よっぽど人恋しいのか
隙を見ては席を立ち上がり、
再び小さな冒険に旅立って行く…
その度に、大都会Tシャツを着たお姉さんは
細心の気遣いをしながら連れ戻すのだ。
それを何度も繰り返す。
まるでコントのように…
「ねぇ、どうして言うこと聞いてくれないの?自分の席で楽しく飲めばいいじゃない」
酩酊に近い偽タケ先生は、懲りずに冒険へ…
大都会姉さんの口調が徐々に強くなっていく。
「ダメダメ!ダメだってば!」
それでも埒があかない、偽タケ先生。
大都会姉さんは
遂に毅然とした態度で、
「じっとしてられないなら、帰って!」
の痛烈な一言。
キョトンとする偽タケ先生は、
一瞬何を言われたか分からない様子で
それでもなかなか席に戻らない。
業を煮やした大都会姉さんは
全く怯むこともなく
偽タケ先生の手荷物をいきなり掴むと、
「もう、いい加減にして!
大人しく飲めないんだったら、
この店から出てってちょうだい!退場!」
と一喝し、出口に誘導したのだ。
最初は抵抗していた偽タケ先生も
さすがの剣幕に圧倒されたのか、
事実上の降伏を余儀なくされた。
そして大都会姉さんは
もはや足元の覚束ない偽タケ先生を
介助しながら、
地上に上がる階段を一緒に登り、
「飲み過ぎだから、
どこにも寄らずに気をつけて帰るんだよ」
と優しく諭していたのだ。
このやり取りは30分以上も続いただろうか…
その一部始終を見ていた私達は、
大都会姉さんの接客に
思わず感動してしまったのである。
毅然とした態度の中にも、
相手を気遣う 愛 が感じられる。
さらに機転が利き度胸もある。
この人なら、どんな仕事でも出来そうだ。
店内に戻ってきた大都会姉さんに、
妻が賛辞の一言。
「お見事でした❗」
果たして、こんな接客が
AI(人工知能)に出来るのだろうか?
そこに愛はあるだろうか?
でもネ、よく考えたら
AI=アイ=愛=LOVEなのだ。
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元ゾンビーズのロッド・アージェント率いる
「Argent」
“Love”
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより