セールの告知ではありません…。
年末になると、巷では今年一年を
振り返って的な企画が増えますが、
私も乗っかっちゃいます。
今回は、私が今年観て良かった映画!
まずは、今夏公開された
「ラヴ&マーシー」

単館上映だったから、たぶん観た人は
極端に少ないかもしれない。
この映画は、「サーフィンUSA」や
「グッドバイブレーション」などの
ヒット曲で知られるビーチボーイズ
の中心人物、
ブライアン ウィルソン公認の
自伝的映画。
ビーチボーイズといえば、
カリフォルニアの青い海、降り注ぐ太陽、
サーフィンといった明るく陽気なイメージだけど、
曲のイメージとは裏腹に、ブライアンは
心に深い闇を抱えている。
移動中の飛行機でパニック障害を
起こしたのをきっかけに、
ツアーへの参加を離脱し、
曲作りに専念する。
当時ライバル視していた、イギリスの
ビートルズの「ラバー・ソウル」に
触発されたブライアンは、
それを超えるアルバムを作ることを
決意し、その制作に入る。
彼は、メンバーが日本ツアーで不在の間、
超一流のミュージシャンを集めて、
遂に完成させたのが自信作
「ペットサウンズ」
ところがこのアルバム、
それまでのイメージと違う為、
メンバーから不評を買うだけでなく、
セールスも予想したほどではなかった。
落胆したブライアンは、
その後どんどん壊れていくのである…
という話の流れ。
この映画の見どころの一つは
「ペットサウンズ」のレコーディング
シーンです。
ブライアンの頭の中に響いている音を、
完璧に正確に再現するには、
腕利きのミュージシャン達が不可欠。
奇想天外なブライアンの要求に、
最初は戸惑っていた彼らも、
その構築されていく音楽の新しさと
素晴らしさに、
「君の才能はぶっ飛んでいる!」と
興奮していく。
話には聞いていた、有名なレコーディングだけに、私は目が釘付けになった。
そして、偉大な作品が作られていく神々しいシーンに、思わず目頭が熱くなってしまった。
当時、世間的にそれほど高い評価を
受けなかった「ペットサウンズ」だが、
これを聞いて強い衝撃を受けたのが、
海の向こうのビートルズ。
今度はビートルズが
「ペットサウンズ」を目標に制作したのが「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブバンド」
なぜかこちらは、世界中から大絶賛を
浴びるのである。
作家の村上 春樹氏は、
このように語っている。
(でも不思議なことに、この2つのアルバムの音楽的インパクトのバランスは、
時間が経過するにつれて確実に変化を見せていった。
「サージェント・ペパーズ」が
僅かづつではあるが、当初の圧倒的なまでの新鮮さを失ってきたのに比べ、
「ペットサウンズ」は、レコードに針を落とすごとに何かしら新しい発見をもたらしてくれた。
そしてある時点で両者は等価で並び、
その後は疑いの余地なく「ペットサウンズ」が「サージェント・ペパーズ」を
内容的に凌駕していった…)
どんな分野でもそうだけど、
その作品が正当に評価されるには、
それが革新的であればあるほど
時間がかかる。
いまや「ペットサウンズ」は、
ロック、ポップスの長い歴史の中で、
不動のベストアルバムに君臨している
のです。
さて、この映画のストーリーは
まだまだ続くのですが、
ご興味がある方の為に内容は
伏せておきます。
音楽ファン以外の方でも、
充分楽しめるはずです。
愛と再生の、実話ですから。

たぶん、年明け頃にDVDが出ると思いますが、その前に是非「ペットサウンズ」を聞いてみてください。
あと、ジム・フジーリ著 村上 春樹 訳の「ペットサウンズ」を合わせて読むと、面白さ倍増です。
映画を2、3本取り上げる予定だったけど、
一度に全部は、やっぱり無理でした。
そう言えば、メンズビギが一度も登場しなかったなぁ…
いつものことか…。
メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより