7月8日、杉さんが廊下で出会った昆虫なオニヤンマだけではありませんでした。
知らないカミキリムシだったので、「カミキリ 茶色」、と、ワードを入れて検索をしたら、一発でウスバカミキリ(Megopis sinica)と同定できました。
全身が暗い茶褐色をしていて、光沢も模様もなく、はっきりいって無骨で地味です。これじゃ子供たちから人気が集まりそうにありません。
知らないカミキリと書きましたが、日本全土に広く分布しており、言わばありふれたカミキリであって、実は、見たことがあっても記憶に残らなかっただけかも。
ウスバカミキリムシの幼虫は弱った木や倒木を食べて育つため、生木を食べてダメにしてしまうゴマダラカミキリと違って農林業関係者のご迷惑になるようなことはありません。だから害虫として騒がれることもなく、人畜無害で、ルックス同様目立たない存在であると思われました。
そんなウスバカミキリに人気が出るのは幼虫の時です。
一般に、カミキリムシの幼虫はテッポウムシと呼ばれて、焼いて食べると美味しいとされており、軽く検索しただけでも、「昆虫界のマグロのトロ」、とか、「ファーブルも絶賛」とか、「まき割り労働のご褒美」とか、その美味しさを称賛する記事を見つけることができます。オーストラリアの原住民がよく食べている幼虫もテッポウムシなのだとか。
朽ちた木を住処にするウスバカミキリの幼虫は、きっとすぐに見つかっちゃうから、テッポウムシならこれ、という立ち位置を占めており、日本でもむかしから好んで食べられていたようです。
杉さんは、オニヤンマとウスバカミキリを同じ日に同じ場所で見つけて私に写真を送ってくれたのですが、オニヤンマの写真は10枚くらいあったのに、ウスバカミキリのはたった3枚だけでした。
杉さんの興味関心が薄かったこの個体は、脚や触覚がまだ元気そうだから、校舎から出してもらえれば生存繁殖のチャンスがあります。けれども、杉さんはオニヤンマは逃がしてあげたと言っていたけど、ウスバカミキリのことは何も言っていませんでした。
この子が無事に校舎の外に運んでもらえたのだと信じたい。
ちなみにこの子はオスです。メスだったら尾部の先端に立派な産卵管があるはずだから。