GW最終日は静岡に献血に行きました。
帰ってくると、ポストにゆうパックが届いていました。
なんだろうと思って、見ると、恩師からのプレゼントでした。大阪市立自然史博物館研究報告の78号です。
この号には、ビロードイチゴ(Rubus corchorifolius)とモミジイチゴ(R. palmatus)の新雑種を報告している恩師の論文が掲載されています。新雑種はビロードモミジイチゴ(R. × kamiakae)と命名され、植物分類学的に認知されたことになります。
こうした雑種の報告には、新雑種が両親種の中間的な形質を持つことを記載する必要がありまして、私も小核の大きさと形態的な観点から意見を求められていました。
ビロードイチゴとモミジイチゴの小核はよく似ていますが、死ぬほど観察するとちょっと違いがあります。新雑種の小核の形態はビロードモミジイチゴ寄りの中間的形態で、大きさも両親種の中間でした。
このことを恩師に説明するため、市販の方眼紙に両面テープを張って、預かったサンプルを固定して並べて写真を撮りました。この方法は小さなかたいものを観察するのにたいへん便利です。大きさも分かりますし。
これがモミジイチゴで、
これがビロードイチゴの小核で、中央の隆起の仕方に違いがあります。
↑モミジイチゴ
↑ビロードモミジイチゴ(雑種)
↑ビロードイチゴ
大きさは両親種の中間で、隆起の仕方はビロードイチゴ寄りですが輪郭はモミジイチゴに似ています。
この写真を恩師に送って説明を添えて、新雑種の小核は両親種の中間的な形質を示していると伝えたところ、論文に使ってくれました。
私は大学院時代にキイチゴの小核を毎日、朝から晩まで観察してスケッチする日々を過ごしました。
自分の研究が何の役に立つのか分かっていませんでしたが、その時の経験が生かされて学術論文に関わることができたのだから、報われたのだと感じています。
記念に頂いたこの冊子は宝物にしたいと思います。