新たに頂いた杉さん(仮名)の写真には、丸々と太った緑色の芋虫が写っていました。
プールの周りの除草作業をしていて見つけたそうです。お盆でも休まず校内整備に取り組んでいた杉さんに、神が与えた祝福と言えるでしょう。
何の幼虫か、と、問われ、即答はできませんでしたが、調べは簡単に済みそうだと思いました。
スズメガの特徴
なぜならこの個体には、「尾角」と呼ばれる突起が見られるからです。これはスズメガの幼虫の特徴です。
あとは、何の葉っぱについているかで種が推測できます。植物と草食昆虫の間には強い結びつきがあるからです。
植物は、食害を受けないように有毒物質をため込むので、葉を食べることができるのは、その毒性を克服できた種だけです。
つまりは、昆虫の種類を知りたければ、まず植物から、と、言うわけですね。
一緒に写っているのはクズ(葛)という、河原や土手でよくみられるマメ科の草本だったので、「スズメガ クズ」、と、入力して検索をかけると、一発でトビイロスズメ(Clanis bilineata)と同定できました。
画像検索で観たトビイロスズメの成虫は、きれいな鳶色(とびいろ)をしていました。これは、たまに夜のコンビニで見かけたことがあるような。幼虫の時はマメ科の植物を専門に食べているのですね。
↑すげぇ口してんなぁー
写真には、全体から細部にまで至る、杉さんの視点が記録されていました。生物学科で勉強したわけでもないのに、こうした観察眼を持っていることに、尊敬の念を抱かざるを得ません。杉さん、すごい。
植物と昆虫の結びつきについては、過去記事で、クスノキにつくアオスジアゲハを例にしてもう少し詳しく書いたことがあります。植物と、それを食害する昆虫との関係は軍拡競争にたとえられ、共進化を遂げる原動力となっています。