ある日の夜更け、ロレックスエクスプローラーⅡが枕元に現れ、やっぱり冒険を終わりにしたい、と、言ってきました。
「自分らしさを取り戻したいの。」、と、かつての落ち着いた生活を思い出している様子です。
ちょっと、自分らしさって、いったい・・・、と、聞き返す間もなく、エクⅡは闇に消えていきます。
夢?、とも思いましたが、暗がりから、「確かに頼んだわよ」、と、声が聞こえてきてリフレインしながらだんだんと小さくなって消えていきました。
次の日、私は、島田の村松時計店に電話をかけていました。エクスプローラーⅡが自分らしさを取り戻すために必要なアイテムが、四代目の手元にあったことを、かすかに覚えていたからです。
すべては四代目の返答にかかっていました。もう、なくなっちゃったかなー、と、ハラハラしていましたが、なんと、まだ残っているということだったので、取り置きして貰えるようにお願いしました。
そして、一昨日の夕方、仕事の帰りに村松時計店を訪れ、四代目にエクスプローラーⅡを手渡すと、元の姿に戻してくれるようにお願いしました。
しばらくすると、エクスプローラーⅡが、出会った頃の姿に戻って帰ってきました。
ロレックスの世界に足を踏み入れて7年以上の月日が経ちました。それ以来、相場の高騰に振り回され、自分の価値観すら変わってきてしまう有様でした。
最初はこうじゃなかった。
最初、そう、初めて出会ったのはエアキング。そう、始まりはエアキングだったのです。
当時はまだ、中古で安く買えたエアキングでしたが、相場の爆上がりの影響を受けたか、高嶺の花になっていました。けれども取り外した冒険の装備の方が爆上がりしていたので、今回はおつりがきました。
耳元で、「やっと、自分らしさを取り戻せたわ」、と、聞こえてきたのは気のせいだったか。
↑エアキングに出会った日の記念写真
いろいろなロレックスに目移りし、相場の高騰に動揺していた自分が恥ずかしい。これで、私もまた、自分らしさを取り戻すことができた気がしました。
ああ、エアキングが戻ってきた。34mmの小ぶりなサイズに3針デイトなしの控えめなたたずまい。かつての凛とした姿、そのままに・・・、って、おや?
あれ、これはベゼルが違っていますね。エンジンターンドベゼルと呼ばれるものです。
「これでも成長したのよ。」、と、聞こえてきたのは気のせいだったか。
冒険を重ね、エアキングは14000Mから14010Mに、10だけ進歩していました。
あれから7年、これで、エアキングから始まってエアキングに行き着きました。これで(ロレックスの)上がり時計にしようと思います。
そもそも好きな時計を愛でるのに、損得勘定なんて、必要なかったのです。これからはエアキングといつまでも過ごしましょう。
ただ、怖いことにエアキングはまだ値上がりを続けています。また欲が出ちゃうようなことがあったらどうしよう。どうか、おかしな高騰の仕方はしませんようにと、星にお願いをしておきました。
はし3のロレックス遍歴
⑦エアキング 14010M(最終)