SBGV011のコンプリートサービスをお願いした翌日、私は、再びタカラ堂に足を運んでいました。
それは、SBGV011に付属していた金属ブレスレットを届けるためでした。せっかくコンプリートサービスに出すので、一緒に受けさせないともったいないと思ったのです。
それともう一つ、もう一度、復刻キングセイコーSDKA001を見たいと思っていました。そう。場合によっては買ってしまおうとも。
タカラ堂のスタッフの方にSBGV011の金属ブレスレットを手渡しながら、私はもう一度、復刻キングセイコーを見せてくれるように言いました。
なんだろう、この惹かれる感じ。目当ての復刻キングセイコーは全身がビニールに覆われていて、よく見えません。こんなの今までにない展開でした。買うまで直に見ることができないのです。
にくい演出をしやがって…、ち、ちく…。
よく見たい、きっと美しい、という気持ちが募っていました。
キングセイコーを所有しているわけでもないのに、いきなり復刻に手を出すのもいかがなものかと思いながらも、セイコーの演出がツボにはまったのか、何故か、心の身動きが取れません。
私は観念し、復刻キングセイコーを予約をしてしまっていたのです。
そして、発売解禁の日から遅れること二日、1月24日の夕方のこと、私はタカラ堂に復刻キングセイコーSDKA001を受け取りに行きました。
ビニールをはがして素顔を見た時の感慨はひとしおでした。
思った通り、美しい。
この辺の造形は、キングセイコーが好きな人にとってはたまんないんだろうな。
この徹底した文字盤と針の仕上げ方は、グランドセイコーに通じるものがあります。セイコーはいつもながら、光の使い方が上手です。
落ち着いたたたずまいを演出するアリゲーターの革ベルトは柔らかく、とても使い心地が良いです。
裏ブタの、盾のマークのメダリオンも素敵です。
付属の豪華な箱の上に復刻キングセイコーを乗せて記念撮影しました。とっても贅沢な気持ちになりました。
ふと、時計を眺めていて、「この顔、なんだか懐かしい。」、と、思いました。
昔のセイコーのデザインだけあって、かつて所有していたグランドセイコーと表情が似ているのです。
その時計は16年間愛用し、苦楽を共にしましたが、5年前に売ってしまって思い出の中にしまわれています。
復刻キングセイコーはその時計を彷彿させる姿をしているので、なんだかかつての相棒が、装いも新たに蘇り、帰ってきてくれたような気分になりました。
観賞用に愛蔵するのではなく、適度に使用することに決めました。