コロナ禍での剣道審査会 ー五段合格ー | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 

 

 今日、剣道の四、五段審査会がありました。 

 

 コロナの影響で、剣道の世界にも大きな変化が起きています。昇段審査のあり方も、コロナリスクを極力排除するものになっています。

 

 剣道の昇段審査には、実技の他、学科と日本剣道形の3つの試験があります。本来ならば、審査会場で一気に行われるものなのに、人が集まる時間を極力短くするため、今回は学科は自宅で解答してくるという措置になっていました。

 

 私は、五段審査を受けたので、自宅で、受験生さながらの勉強をして、解答を作りました。自宅解答ですと、求められるレベルが上がるはずです。入念に調べ、さらにペンで清書していきました。

 

 他にも、四段と五段の審査会を午前と午後に分けたり、アップのための稽古の時間がなかったり、実技審査の「切り返し」が省略されたり、三密を避けるための、あらゆる配慮がなされていました。

 

 実技審査前、準備運動はストレッチと素振りだけでした。

 

 四段に合格したのは2009年の6月だったので、もう10年以上の月日が流れてしまいました。四年経って五段を受けられるようになってから、何回も受け、何回も落ちました。

 

 何回落ちたか分からなくなるくらい落ちたので、「またダメなんじゃないかなあ」、とか、「俺にはそもそも無理なんじゃないのかなあ」、といった弱気に支配されていました。

 

 ただでさえ、加齢とともに体力、気力ともに弱くなってきます。さらには転勤とともに剣道部の顧問から離れ、また、仕事も忙しくなったので、稽古があまりできません。

 

 ここ3年間、仕事を早く終わらせることができた日だけ、市の剣道連盟主催の夜稽古に参加して、高段者の先生に掛かり、ただひたすら面を打つ稽古を続けました。

 

↑右がわたし この面が審査で出れば…

 

 しっかりとした技を出して有効打突を行うために、構えから直していきました。「一本」を取るためには、気・剣・体が一致しないといけないのに、それができていなかったので、いざと言うとき自信を持って攻めることができなかったのです。

 

 基本ができていない。私の弱さはそこにあります。

 

 ひたすら剣道仲間の助言に耳を傾け、自分の体の内から聞こえてくる声に耳を澄まし、最近になって、ようやく自分で及第点をつけることができる面が打てるようなっていました。

 

 「この面が審査会で打てればいいな。」

 

 そう思って今日に臨みました。

 

 剣道の実技審査では二人と稽古を行います。

 

 一人目、立ち合いから十分気を練って、初太刀に全精力をかけよう決めていました。中心の取り合い、間合いの攻防から機を見て面を打ちます。当たりはしましたが剣先がわずかに右に流れるのを感じました。練習した面ではありません。これでは、ささやかながら稽古をしてきた甲斐がありません。

 

 その後も、思ったような技が出せず、虚しく時間が経ち、「止め」、の声を聞きました。 

 

 「こりゃ、だめだ」、と、思いましたが、「もう一回チャンスがあるじゃないか」、と、珍しく開き直る気持ちになれました。しっかりしないと、稽古を一緒にしてくれた仲間に悪いものな。

 

 二人目、立ち合いから蹲踞、集中力を高めます。一人目の時より腹が据わっていました。

 

 思い切って行こう、と、練習してきたことを遂行することだけ考えるようにしました。

 

 気持ちが整ったからと言って、急に上手になるわけではありません。初太刀は応じ技を恐れず面に飛びましたが満足できるものではありませんでした。その後、小手に行って、合い小手面を貰いそうになりました。まずいです。

 

 五段の稽古はものの一分程度です。時間がありませんでした。

 

 「もうだめかもしれないけど、せめて納得のゆく面を打ちたいな」、と、決めて、面に行きました。

 

 最後の面は、構えから間合いの攻防まで、これまで教わった通りにできた気がします。

 

 相手は居つき、反応できていませんでした。強く踏み込むのと同時に竹刀のもの打ちが相手の面布団を真っすぐ捉えました。

 

 立ち合いの後、「一本打てたから、今日はもういいや」、と、満足感がありました。

 

 全員の審査が終わり、結果発表を見に行くと、私の番号がありました。

 

 五段の実技審査に合格したら、もっと嬉しいかと思っていましたが、なんだかとても申し訳ない気持ちになりました。自分を褒めてやるにはダメなところが多すぎでした。

 

 すぐに日本剣道形の審査が始まり、途中太刀の形4本目で痛恨の間違いを犯して泣きそうになりながらも、一生懸命やり切って、なんとか済ませました。

 

 形の審査が終わると、審査の合格発表があり、そこにも私の番号がありました。(形、間違えたんですけど、良いんでしょうか?)

 

 めでたく五段に受かりはしたものの、自分の至らなさを痛感するような部分が多すぎて、恐縮至極とはまさにこのことでした。

 

 もっと稽古をして、技の研究もして、鍛錬を積んで、五段に相応しい実力を身に着けようと思いました。