ナナちゃんの昆虫写真8 -ヒゲナガカワラトビケラ- | はし3の独り言

はし3の独り言

腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 夜のトイレで出会ったのだそうですが、さすがのナナちゃんも、見て、いい気はしなかったようです。

 

 がっかりした感じのコメントと共に、一匹の虫の写真が送られてきました。

   

 

 この昆虫の名前を調べるにあたり、私は初動でミスをしました。この昆虫の分類を双翅目と考えてしまったのです。

 

 普通の昆虫の翅の数は二対で四枚あります。しかし、双翅目のハエやアブの仲間では、その名が示す通り、胸部に一対の翅があります。残りの一対は平均棍(へいきんこん)と呼ばれる器官に変わっています。

 

 

 顔を見たとき、アブっぽいな、と、思ったのが間違いのもとで。

 

 ここから、道に迷った哀れな子羊のような目に遭います。

 

 

 双翅目だと見誤った私は、触覚の長さに注目します。双翅目は、触覚の長さが短いか長いかによって、大きく2つのグループに分かれるからです。

 

 長いほうは、長角亜目といって、ガガンボや蚊が属しており、短いほうは短角亜目といって、ハエやアブに属します。

 

 この写真の昆虫の触覚はとても長いので、普通なら、この時点で間違いに気がつかないといけませんが、トイレに現れたという情報もあり、アブ関係ではないかと思いたい気持ちが、正しい思考を邪魔します。

 

 

 

 やっと、思い込みの呪縛から逃れることができたのは、寝て起きて、翌日になっていました。

 

 前日まで、新種か?などとも考える始末でしたが、いくら昆虫に記載されていない名無しのものが多いといっても、数が多く、普通に目にするものに、未記載の種はいないと考える方が適切です。

 

 もう一度写真の昆虫の顔をよく見ると、今度は蝶々に見えました。蝶々の仲間と言えば、鱗翅目です。これはチョウやガの仲間で、鱗粉のついた翅が特徴ですね。

 

 ここで鱗翅目と近縁とされる分類群を探すと、ありました。毛翅目です。

 

 毛翅目というのは、いわゆるトビケラの仲間です。翅が刺毛に覆われており、複雑な模様を造ることができます。鱗翅目と共通祖先をもち、原始的な特徴を多く残しているのだそうです。

 

 毛刺目だとすると、この昆虫の翅には複雑な模様があるのも納得できます。今では派手な蝶々も。大昔はこんな姿だったのでしょうね。

 

 

 トビケラの仲間だと分かれば、あとは簡単でした。すぐにヒゲナガカワラトビケラと同定することができました。

 

 ヒゲナガカワラトビケラは、水生昆虫である幼虫の頃の方が有名で、長野県では、「ザザムシ」と呼んで、つくだ煮にして食べるのだそうです。

 

 日本全国に広く分布しますが、きれいな川に棲んでいるので、カワゲラやカゲロウと同じように河川の指標生物になります。

 

 ナナちゃんは、きれいな川のほとりにあるトイレに入ったのだなと、思いました。