腕時計遍歴1(浮気の始まり) -グランドセイコーSBGF013- | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 このところ腕時計にはまり始めて困っているんですが、私には10年以上も一途に愛用している素敵な相棒がいるのです。

 

 もうこの時計しか愛せないくらいの気持ちだったのに、嗚呼…それなのに私は浮気をしてしまった。そして今でも夜な夜な高級時計を探してネットの世界をうろつくような、だらしない有様であります。

 

 30か31歳のころに、私は大英断をして、このグランドセイコーを買いました。

 

↑グランドセイコーSBGF103 クオーツ
 

 これは当時のグランドセイコーのなかの最も安いクオーツモデルで定価はたしか21万円でした。

 

 廉価モデルとは言えど、腕時計は一本1万円という固定観念があった私にとって、20万を越える腕時計は未曾有の高額商品です。

 

 しかし、グランドセイコーフェアという追い風のおかげで割引があり、16万円で売られていたので、やっと購入する気になりました。
 

 貧乏性の私にこの時計が教えてくれたことがあります。

 

 それは、良いものを買って長く使うことはけっして無駄遣いにならないということです。

 

 もう、13年くらい愛用していますから、一本1万円の腕時計をたびたび買っているよりも、はるかに経済的です。

 

 安物買いの銭失いという言葉がピッタリ当てはまっていた私の人生は、このグランドセイコー購入をきっかけにコペルニクス的転換を果たします。

 

↑とにかく正確で美しい時計です

 

 グランドセイコーは、公表値で年差10秒以内という精度を誇っています。これは、日常生活で、秒針を信頼して行動できることを意味しています。実際の精度はそれ以上と思われ、一ヶ月何もしないで放って置いても、1秒も狂わず時を刻んでいることが多いです。

 

 私は教員ですから、時計の正確さは授業の質にも影響します。私の理想の授業は、開始のチャイムと同時に礼をして始まり、終わるときは終了のチャイムと同時に私が教室を後にするというものです。グランドセイコーはこの理想を実現してくれます。

 

 私のグランドセイコーへの信頼は厚く、学校のチャイムが予定と違う時間に鳴ったら、迷わず学校のチャイムを疑います。そしてその判断は正しいのです。

 

 最近では電波時計があって正確さを売りにしていますが、言い換えれば受信時以外は不正確であることを意味しています。グランドセイコークオーツの精度を一度経験すると、電波時計の正確さはまるで詐欺みたいなものです。安いクオーツ時計を買って、度々時刻合わせをしているのと同じだからです。
 

 グランドセイコーの精度は、質がまったく違うのです。私がグランドセイコーよりも信頼しているのは、NTTの117の時報くらいです。

 

 正確さに加えて、グランドセイコーには気品と美しさがあります。長く使ってもらうことを前提に考え抜かれたデザインはシンプルで、一見するとごくふつうの目立たないたたずまいをしていながら、実はとてもべっぴんさんです。特に文字盤の仕上げにスキが無く、凝視に堪えます。

 

 授業の合間など、ちょっとした時間にグランドセイコーを眺めることで、何度疲れた心が癒されたことか。

 

↑革ベルトにする楽しみもあります。ちょっとカジュアルになりますね。
  
↑うつくしい(うっとり)
 

 文字盤はシルバーです。これが光の加減によって、いくつにも表情を変えます。時針、分針、秒針のデザインには精度への自信を感じます。また視認性についても練り尽くされている気がします。日中はおろか、夕暮れにもわずかな光を文字盤の上に配置されたキャラクター達が反射して、時刻を確認できます。

 

↑文字盤と見事なコントラストを描くインデックス。みんなシルバーなのに。
 
↑裏蓋にはGSの刻印

 

 購入したことを一度も後悔させたことのない我が愛機ですが、グランドセイコーの中では一番の廉価版なのです。だからだと思うんですが、裏蓋には例の獅子の刻印はありません。これはこれで気に入っているんですけど、やっぱりちょっと残念です。

 

↑グランドセイコーによくある獅子の刻印
  

 買ってから十数年、愛機はまだまだ現役です。一生添い遂げようかという勢いなんですけれども、最近ちょっと浮気の虫がわいてきたのも事実でした。

 

 それは少々ケースに小傷が増えてきたことと、やっぱり裏蓋に獅子がいないことでしょうか。

 
 16万円で買いましたから、これまでこの時計のおかげで得られた幸せの量を考えると、もう十二分に元を取ったような気がします。

 

 変化が欲しいというのも中年の男心というものでしょうか。

 

 どしよう。浮気したいな。

  

 私は、ふと一月前くらいに、そんな気持ちになったのです。

 

↑ほんとうに何度観ても、いつ見ても厭きない美しさです
 
↑こいつが腕に乗っているだけで幸せ