自転車にちっとも乗らなくなって、ずいぶん経ってしまった。一時期はあんなに乗っていたのにおかしいなあ。そもそも私の自転車にたいするモチベーションとは何だったのか考えてしまいます。
自転車にたくさん乗っていた頃は、ペダルを漕いでいる時間がなによりも自由に感じられていた。運動部の顧問をしている私には、土日の休みはほとんど無い。自宅にいる一時が休息時間だったのだが、案外自宅にいても何気ない出来事が私を縛っているように感じられた。そんな日常から脱出して、自分だけの時間を持つことができることが、きっと私にペダルを踏ませていたのだ。
しかし、自転車を保管するために家を買ってから、私は自転車に乗らなくても自由な時間と空間を持つようになった。だから自転車に乗るモチベーションが弱まった。そんな気がする。
だとすると、なんという皮肉。
ロードバイクに乗るには強いモチベーションがいる。ジャージやビンディングシューズにヘルメット、さらには予備チューブや携帯ポンプの準備をしなくてはならない。そして、一度乗ったからには最悪でも50kmは走りたいというノルマ感。
いつの間にか、ロードバイクは敷居が高い乗り物になっていた。
しかし、持っていたMTBは友人に譲ってしまっていた。やっぱり、MTBが欲しいな…。カジュアルで気楽にどこへでも乗いける自転車が必要だと思った。
そんなわけで、焼津中央高校の近くにある遊輪館にMTBを買いにいって来た。
遊輪館はトレックの正規販売店としてチャリ仲間ではよく知られており、かねてから一度行ってみたいなと思っていた。せっかくなら次はトレックに乗ってみたい。
店内に入るとお客さんがたくさんいて、店主とその奥さんらしき人と、おばあさんがバタバタと忙しく働いている。奥には子供達の姿もあって家族経営のお店だとよく分かる光景だった。
どうも、夕方からご家族で草薙球場で行われる巨人戦を見に行く予定らしく、できればとっととお店を閉めてお出かけしたい感じだった。それなのにお客さんがたくさん来てしまい、昼ご飯も食べられずに働いていたのだ。
そんなタイミングで初見の私はMTBの品定めを始めた。
私を発見したおばあさん→おばさん→店主の順番で声をかけてくる。時間の都合で一気に攻め落として話をまとめる気だ。
私は自転車についての初心者向けの説明を全て断り、組み立て途中の白いトレック(4シリーズ)を指さして、組み立ては自分でやるからこれをくれと伝えると、それは助かる!、みたいな感じで店主が商談に応じてくれた。
私は、自転車の組み立てくらい朝飯前にできる。家に帰れば工具もシマノからカンパまでそろっている。
お店側にとって、パーツの組付けをセルフでしてくれることは有り難かったようで、頼んでもいないのに値引きしてくれたばかりか、XT(ロードバイクパーツならアルテグラくらいだ)のブレーキセットをつけてくれた。
私の選んだトレック4500は定価で8万2千円なのだが、バーエンドと警告灯とボトルホルダーとペダルに、XTのブレーキレバーがついて、7万9千円にしてくれた(消費税・登録料込み)。
定価8万円は、スポーツ自転車の世界ではエントリークラスだ。だから、ついているパーツ期待はしていなかったけれどDeoreがちょこちょこついていていてちょっと嬉しかった。ボントレガーのタイヤやサドルもオシャレで気に入った。