ニワトリの手羽先の解剖 | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 心(忄)が亡くなると書いて忙しいとはよく言ったもので、本年度になってから急に仕事が忙しくなり、ここ数ヶ月はブログの更新が滞ってしまうほど滅入ってしまっていた。ほんとうに、世の中は変化が激しく、世知辛いものです。やはり心にゆとりは必要です。


 しかし、いつまでも負けているわけにもいけません。私には、視聴覚資料をwebにストックするという大きな夢があります。続けなければ。


 さて、先日、理科教員のための研修で、ニワトリの手羽先の解剖をしてきたので報告します。材料として入手が容易で、生物Ⅰでなら「動物の組織」のところで、生物Ⅱなら「進化」のところで使うことが考えられます。


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↑まとめ買いすれば一つ30円くらいでゲットできるようだ。


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 手羽先は、人間で言えば、肘(ひじ)の部分から先のところにあたる。切断面では関節の観察が出来る。

 解剖ばさみとピンセットを使い、中の筋組織を傷つけないように丁寧に皮を剥がしていく。


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 このニワトリはよくエサが与えられていたのだろう。脂肪組織が豊富で油っぽく、ヌルヌル滑る。中の筋組織を傷つけないように解剖するのは、けっこう難しい。


 

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 途中、少しでも筋組織を引っ張りすぎると筋繊維がブチブチと切れてしまう。もろいのだ。例えたら肉離れと同じような現象なのなろうか。その点、皮は丈夫であり、思い切り引っ張っても破れることはない。筋肉よりも皮の方がはるかに丈夫であることがよく分かる。

 

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 筋肉は両端が腱となっており、骨格と結合している。アキレス腱という、弱さの代名詞みたいな言葉とは裏腹に、とても丈夫だ。引っ張って引きちぎることは出来そうにない。


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 腱を引くと、人間で言えば指の骨を動かすことが出来る。腕の筋肉は指先まで伸びているのだ。


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 皮を剥がしてしまえば、つながっている様子がよく分かる。


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 腕の部分の筋肉は、五本の束からできている。ニワトリ羽は翼として特殊化しているが、元々は指が五本あったことを裏付ける。こんなところで人間と相同な所を発見することが出来る。


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 骨格を観察するために、強いアルカリで処理する。タンパク質はアルカリによって溶かすことが出来るので、パイプの詰まりを解消するために市販されている薬品を使う。


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 効果を上げるために、筋肉がまだくっついている手羽先を、紙にくるんでビーカーに入れて30分ほど加熱する。紙はアルカリに強いので、溶けて破れることはない。


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 水洗後、歯ブラシでこすると、骨格だけを取り出すことが出来る。骨格は炭酸カルシウムを主成分としているから残るのだ。


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 バラバラになった骨格を、あーでもない、こーでもないと試行錯誤しながら配置していく。細かい骨もあるので、想像力が求められる部分だ。人間の腕の構造を考えながら組み立てるので、相同器官という概念を体得することが出来る。その点で教材として優れている。

 

 新学習指導要領が施行されると、身近なものの観察が、一層重視されるようになる。手羽先の解剖の経験は、きっと役に立つことだろう。


 研修でご指導頂いた○藤先生、本当にありがとうございました。この経験は必ず現場で生徒に還元します。