読書㊲ 『さぶ』(山本周五郎 新潮文庫) | そういえば・・・

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前回に引き続き山本周五郎。時代小説の

『さぶ』を読む。

昔の新潮文庫の100冊に収録されていた

ので、いつかは読んでみようと思っていた。

 

そして読了して思うことは、中学生の頃で

なく、50過ぎの今頃に読んでしっくりいく

内容であるように感じたことです。

(中学生の時であったら、すっとばして

読んでいたことだろう。)

 

 

物語は江戸の表具師見習の若者、さぶと

栄二の話。

主人公のさぶは引っ込み思案でちょっと

のろい。自分に自信が持てないタイプで

いつも丁稚仲間の栄二を頼ってばかりいる。

 

一方、栄二は器量よしで仕事もでき、

贔屓筋の大店の娘からも慕われる、

イケてるタイプである。喧嘩も強い。

とはいっても栄二は往々にして疎んじ

ながらも、さぶを見放すわけではない。

 

 

そんな中、ひょんなことから栄二が盗みの

汚名を着せられ、修行先や贔屓先から

断絶される。勝気な栄二は自暴自棄になり、

傷付きながらながれ流れて人足寄場に

流れ着く。

そこでは初め、他との交渉を一切持たず、

シャバに出た日にはいつかは復讐を、

と誓った栄二でであったが、人足寄場に

たむろするさまざまな人間たちとの交流、

ふれあいを通し、頑なであったこころが

徐々にほどけてゆくのであった・・・

 

 

『さぶ』というタイトルの割には、筋は

ほとんど栄二の成長の話である。

さぶは最初から最後までおろおろ。

 

しかし作者がタイトルを『栄二』に

しなかったところを考えるべきで、

その意図はなんであったのか。

 

皆さん一緒に考えましょう(笑)