ちょい前にセブンにてウルトラ警備隊
のアマギ隊員役・古谷 敏氏の鼻が
とても高くて驚いた、と書いた。
古谷 敏。 wikiでセブン以降、どんな
作品で活躍していたのかな、と調べて
みたら驚くべき事実が!
なんと、古谷氏はセブンの前作であり、
日本怪獣ドラマの金字塔「ウルトラマン」
のスーツアクターであったのだ。
マニアの方には「何今さら言ってんの?
そんなの常識じゃん」だろうが、わたしに
とっては半世紀後に知る、驚きの事実
である。嗚呼ビックリ。
早速、古谷氏の著書 『ウルトラマンに
なった男』を丸善で買い求めて、
いろいろを知る。
(ちなみにアマゾンのカスタマー
レビューでは星5つ中の4.9/
83レビュー中/ という、高評価)
まず、この登用のいきさつはこうだ。
当時(昭和41年)としては珍しい、
古谷氏の日本人離れした体型(身長
181cm、手足が長く、顔が小さい)に
マンの美術デザイナー・成田 亨氏が
惚れこみ、「君しかウルトラマン役は
いないんだ」と懇願された。
一方、東宝ニューフェースに合格し、
(人気)俳優を志していた古谷氏には
顔の出ない〝ぬいぐるみ役者"なんて
もってのほか、と最初は固辞をしたが、
多くに切望され、結局は引き受けた、
というもの。
乗り気でない仕事には気も入らず、
やめたい辞めたい、の連続だったが、
ある時、子供たちの熱狂に偶然触れ、
そこで一念発起し、自分にしかでき
ないウルトラマン像を作り上げて
ゆこうと決意する。
家に帰っては自主トレの毎日で、
指先の張りや角度まで気を遣う
その努力がわたしたちの知る、
「スペシウム光線のポーズ」と
なって結実する。
またウルトラマンのみならず、怪獣に
入るスーツアクター達も苦難の連続
で、迫力のあるシーンを撮るため、
火薬や燃料の容赦ない爆発と隣り
合わせ、水辺の撮影シーンでは
あわや溺死寸前、といったことの
連続で、ウルトラ警備隊として
〝顔の出る"役者たちとは一線を
画す、苦労の連続がそこにあった。
ウルトラマンの顔は古谷氏の顔である。
その制作過程では氏の顔を石膏で型取り
作りあげた。美術の成田氏は撮影のために
(外界を見るために)マスクに穴を開ける
ことを大変残念がったが、それがテレビ
で見るウルトラマンの顔となる。
番組終了後、その型から3個のレプリカ
のマスク(穴なし)を作り、そのうちの
一つを古谷氏が所有している。
これがアメリカならスミソニアン博物館に
収蔵してしまうような、貴重な逸品で
あることは疑う余地もない。
古谷 敏氏がウルトラマン役、そして
セブンでアマギ隊員役をやった時の
自叙伝が『ウルトラマンになった男』
(小学館、2009年初版発行)。
氏の若き情熱をかけた青春譚、
素晴らしい一冊でした。