『ミズーリ号』を見学 | そういえば・・・

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橋本商工株式会社の社長のブログです

私の世代は小学校4年の時に『宇宙戦艦ヤマト』、そして中2の時は『機動戦士

ガンダム』(どちらも初放映時)の薫陶を受けているため、(大きな声で言えないが)

兵器が好きである。多分みんな好きだと思う。

 

 

 

 

ということで、ミズーリ号を休暇に見てきました。ミズーリといえばアイオワ級戦艦

の3番艦、ついこないだ(に思えてしまいますが)の湾岸戦争まで現役であった

戦艦です。ところで戦艦は「戦闘艦」の略であるのは皆さん、知ってますよね。

 

 

 

 

アメリカのアイオワ級、日本の大和級、ドイツのビスマルク級、イギリスのキング・

ジョージⅤ世級と、列強各国が総力の粋を集め、第二次世界大戦にそれぞれを

投入するも、時代は航空機に主戦を取って代わられたのでした。ちょと残念。

個人的な意見でいうと独・ビスマルクと英・プリンス・オブ・ウェールズが直接

戦った、『デンマーク海峡海戦』がロマンを掻き立てる何かがあり、好きです。

(フランス、イタリアにも戦艦があるにはあったが、大した運用をしていない)

 

  

 

 

話しをミズーリに戻すと、私が見学したのはミズーリ『探検家ツアー』というもので、

〝好事家(こうずか)″しか行かないと思われるツアーだ。明らかに気乗りのして

いないカミさんを道連れに戦艦をじっくり、ガイドさんの説明を聴きながら、立ち入り

禁止区域中心にを見学する約90分のツアー。われわれ夫婦オンリーの贅沢な

ガイドツアー。Restricted Area(制限区域)のロープを外して一番主砲塔内を見学。

他の一般客が『えっ?そこは入っちゃダメでしょ!』 と感じるようなところに

グイグイ入っていく。明らかな待遇の違いに非常に嬉しいわたし。

 

 

 

 

ミズーリといえば、その最大の特徴は16インチ(40cm)3連装主砲x3基。大砲1本だけ

でも重量が108トンだそうだ(ちなみにスペースシャトル1機の重量と同じ。タレットからスペース

シャトル3機が突き出ている勘定である) 主砲弾は約800~1000kgの重さで、一発を発射

するために300kg(50kgx6缶)の火薬を必要とするというから驚きである。射程距離は

30kmをらくらく越える。また長射程からの砲撃は敵艦への砲弾の落下が垂直に近く

なるため、装甲を打ち破り、威力が増すという利点がある。

 

(おいおい、艦橋が改修工事とは・・・ 姫路城が改修工事なのを知らないで来ちゃった

外国観光客の気分。 ただただ残念です)

 

(気を取り直して、16インチ=40cm主砲のこの大きさを見よ。1本108トン≒NC複合機6台くらい?)

 
 

 


主砲塔の中で従事する兵士は、その砲塔に砲弾を装填(オートマチック)する

ことと、発射用の火薬をセッティング(手動)することが役目。火薬の方は人手で

やるのだから大変だ。一発撃つために50kgを6個セットし、連射ともなると1分

以内に次弾を装填するというから、相当なハードワーク。また、主砲は仰角を

決めて発射するのだが、一発撃つごとに砲を水平に戻して弾を装填し、改めて

仰角を修正して発射、それの繰り返しだそうです。勉強になりましたか?

 
(アイオワ3番砲塔による全弾斉射の瞬間。900kgの火薬の爆圧による海面の球状の凹みに注目
 インターネット画像より)
 
 
 
またガイドさんが説明されていましたが、主砲はできる限り、艦の軸に対して真横に
向けて発射するのだそうです。理由はこの斉射の火焔と煙が艦橋などに流れて
こないようにすること、そして3基の主砲の斉射が可能となるためだそうです。
敵に会敵したら回頭して腹を敵に向けるように操艦するということ。
 
 
全長270mのわりにスリムな幅、それは太平洋と大西洋をつなぐパナマ運河を航行
できるようにするためで、運河の最も狭いところと艦の隙間の差はわずかに50cm!
それでいて9門の16インチ砲の一斉射撃で転覆しないように計算されている。
(参考までに日本の大和級の横幅を見よ。大和は46cm砲9門でアメリカ戦艦よりアップグレードして
 いるため、幅が一層厚い。これも一斉射撃に堪えられる設計からくるものだ)
 
 
 
 
 
射撃指揮所と主砲塔内にそれぞれ下の写真のような装置があり、いくつもの諸元
(自艦の速度、自艦のすすむ方向、目標の速度、目標のすすむ方向などなどの
パラメータ)を入力すると、射撃に必要な情報を計算してくれるという、今風に
言うとコンピュータが備わっていた。
 
 
 
 
 
さらにツアーはすすむ。2番砲塔と3番砲塔をつなぐ、全長270mのミズーリ艦内でも
ここだけにあるという直線通路、通称〝BROADWAY″。
天井にはH鋼が配置され、最悪砲弾をホイストで吊るして移動させることも想定して
いたそうです。ハッチが等ピッチであり、まるで万華鏡を見ているかのよう。
少なくとも100mくらいはある。
 
 
 
 
 
それにしても天井、壁を覆うこの配線はどうだ。断線したらわからなくなりそう。
 

 

 

 

 

戦艦のオペレーションは複雑の極みであると想像する。往時乗員3000人で射撃・

操舵・機関の運転などなど、この配線同様、こんがらがりそうなところを一糸乱れず

操艦するには相当の訓練が必要に違いない。

湾岸戦争の時には乗員が1500人で済んだそう。結果、居住空間は広く使えたらしい。

コンピュータの進化で人の省力化はここでも同様だ。

 

 

 

 

ガイドさんが『バトルシップ』という映画に関して話してくれた。なんでもエイリアンが

ハワイにあらわれ、最新のイージス艦はコンピュータウィルスにやられてしまい、

全く歯が立たない。そこで退役していたミズーリを旧退役軍人が乗艦・操艦し、

エイリアンと戦うというもの。よくもそんな映画を作ろうという気になるな、というのと、

それに協力するアメリカ海軍もすごいという、不思議な話でした。