さて、船橋市政を見ていて、一番心配な直近の話は児童相談所の設置についてです。ただでさえ、一般職の人材育成ができていない中、さらに言えば、若手職員の「やりがい」を見出せない職場にしている中、意識の高い職員諸氏が避けて通ろうとしている児童相談所設置の話。

 

 先日のブログに引き続き、児童相談所がらみの「人材確保」の記事がありましたので、考えてみたいと思います。

 

 前回は、現場の職員組合からの提言のような意見広告によるものでした。

 

 地方公務員の労使一体で公務の充実を(左をクリックしてください。)

 

 都政新報より

 

 特別区組織・定数分析②

 児相開設で人員体制強化

 人材「奪い合い」に危機感

 

 子ども施策

 

 今年度の増要因で、多一くの区で共通しているのが児童相談所設置に向けた人員体制の強化だ。

 

 杉並区は2026年の児相開設を目指し、子ども家庭部管理課で福祉職や心理職などを21人増とした。児相開設時には非常勤職員を含めると約100人体制となるため、計画的な人員の確保・育成を行っている。今年度は9人を他自治体の児相に派遣して、経験を積んでもらう考えだ。

 

 葛飾区は23年度の設置を予定し、子育て支援部児童相談所開設準備室で福祉職を33増、心理職7増など計52人の増となった。組織改正も実施し、子育て支援部に児童相談所開設準備担当部長と児童相談所運営準備担当課長、一時保護所運営準備担当課長を配置した。

 

 板橋区も今年7月の児相開設を前に、子どもの健康診断や育児相談を指当する健康福祉センターで5増とし、児相との連携の強化を図る考えだ。同区は児相と子ども家庭支援センターの機能を統合した「子ども家庭総合支援センター」を開設し、ワンストップでの相談対応と、迅速できめ細やかな支援を目指す。

 

 このほか、児相の開設準備や虐待対応として、新宿区子ども家庭支援課で11増、江東区子ども家庭支援課養育支援係で7増、品川区子ども育成課で7増、中野区は児童福祉課で8増、豊島区で11増などとなった。すでに昨年4月に児相を設置した港区も、開設前に想定していたよりも虐待相談応件数が多く、福祉職を7増、心理職を3増の計10増としている。

 

 ただ、これまで予定通りの人数を確保できている区でも、「頭数では足りているが、経験があり職員の指導や育成ができる『スーパーバイザー』が足りていない」との声が上がる。ある区の人事課は23区はもちろん、都児相も人が足りておらず、特にベテラン職員は『奪い合い』の状態。手当を増額する自治体もあり、職員を集められるか不安な部分はある」と明かす。

 

 なお、練馬区は独自の児相を設置しない方針で、子ども家庭支援センターで福祉職を4増、保健師3増の計6増とし、相談体制を強化する。

 

 

 ■保育の質の向上

 

 「保育の量の拡大」から「保育の質の向上」へー。1月末の予算発表のプレス資料でこんな言葉が出た港区。19年4月に待機児童ゼロを達成したが、「量から質」に課題が変化してきているとして、保育の質の向上などのため保育所で5増とした。区内の大学と協働による研修や保育内容の検証・改善、保育士向け就職支援パンフレットの作成などに取り組む。

 

 発達障害の子どもが増加する中、足立区は区立で唯一の障害者・障害児の通所施設「障がい福祉センターあしすと」の幼児療育係で心理職と福祉職で計5増とした。子どもに発達支援のための個別指導を行っているが、ニーズが高く予約が取りにくい状況だという。区政策経営課は「今あるニーズに少しでも多く応えるための体制整備となった」と話す。

 

 長谷川

 隣接の東京特別区の多くが児童相談所を設置して人材の奪い合いですよという記事。さてさて、気になるのは「すでに昨年4月に児相を設置した港区も、開設前に想定していたよりも虐待相談応件数が多く、福祉職を7増、心理職を3増の計10増としている。」という部分。既設置の区ではより具体的に必要な人材・求めるべき人材の具体的内容が明確でしょう。より良い必要な人材を取られてしまうのが明確。また、区同士の結びつきは当然ながら強い。ましてや採用事務などはかなり緊密。としたら...。

 

 自ずと結果は見えてくるのです。付け焼き刃で在職職員の配置換えでできるような簡単な人事ではありません。

 

 もっと言えば、設置1年で虐待相談件数の「見誤り」「想定ミス」が発覚したとも取れる内容。職員を10名も増やす計画ミス。たぶんこれは、議会対応も含め「経費を少なく見せる」手法を取った結果だと思います。

 

 当然船橋市もやるでしょうが、議会がザルですから、すんなり通るでしょう。単純に10名の職員増は、年間の人件費がどれくらいになるのでしょう?ということです。

 

 この記事と、前回の組合の意見広告とは同じタイミングで読んでブログを書こうと思ったのですが、あえて組合の意見広告を先にしました。

 

 職員の中に危機意識があって、提言をしているにも関わらず、いわゆる経営者側でもある行政の執行部門の危機意識とのズレがあること。

 

 それに加えて、人事部門で危機意識を共有できているところは、しかるべき手を打ち始めている。

 

 そんな中、我が社は優秀な人材が黙っていても集まると思っていたら、児相経営などうまくいくはずもないと思うのです。

 

 また「保育の質の向上」も触れています。バカみたいに何度も書きたくありませんから、書きませんが、市長のメンツだけで船橋市では保育所の粗製乱造をしました。

 

 そのつけはやがてやってくるわけですが、すでに東京特別区では、このような話になってきているということです。さてどうする?という感じです。