都政新報を読んでいて、興味深い意見広告が出てました。「公共サービスに従事する現場職員の切実な思いを労働組合役員が伝える」というサブタイトルもついている見開きの意見広告です。

 その中でも、船橋市にも関係あるなと思ったのが以下の部分です。

 都政新報令和4年4月26日号意見広告より
 公共サービスにもっと投資を!
 自治体現場力の回復を目指す
 全日本自治団体労働組合東京都本部意見広告より

 

 人材の確保と育成を
 都庁職福祉保健局支部支部長 樋口竜
 私の職場は、虐待など様々な理由で家庭や学校、地域で生活が困難となった子どもを受け入れる児童自立支援施設です。児童は寮で生活し、敷地内にある学校(公教育)で心身の育成や学力の向上などを図ります。最終的には地域での自立をめざします。

 施設では児童のコロナ感染防止のため、1日3回の検温や消毒など30項目以上のチェックリストを設けるなどの対策を徹底しています。施設の入所前、大半の児童は十分に学校に通うことができていなかったため、スポーツ大会など様々な行事を経験することができていません。コロナ禍であっても行事を経験できるよう、規模を縮小するなど趣向を凝らしながら取り組んでいます。

 一方、近年では発達障害や愛着障害など、医療が必要な子どもの増加が顕著で、職員には高い専門性が求められます。職員は交代で宿直勤務を行い、長時間にわたって子どもと生活しています。子どもとの関わりを大事にしていますが、これが職員の長時間労働につながっているとも考えられます。長時間勤務にならないよう、人員を配置して勤務体制を整備することが課題です。

 また、私たちの支部にある10カ所の児童相談所でも、職員の不足と長時間労働が発生しています。

 児相では、児童福祉司や児童心理司の常勤職員に加え、虐待対応協力員を始めとした多くの会計年度任用職員が一丸となって、児童虐待などの対応に当たっています。子どもの頃に虐待やネグレクトを受けた親や、収入が少なく生活にゆとりのない一人親が子どもを虐待するケースもあります。児童に加えて保護者のケアも必要で、親子関係の再構築などは一朝一夕にいかない根気がいる仕事ですが、児相の職員定数のうち2割に迫るほどの大量欠員が起きています。

 児童虐待が全国的に増加している中で経験豊富な人材が必要ですが、人員を確保することが難しく、さらに職員の負担が増えるという悪循環が大きな課題となっています。

 同時に、障害者施設や児童養護施設でも多くの欠員が生じており、福祉業界全体の人材不足は深刻です。しかし、コロナ禍で失業や生活保護、自殺者、児童虐待などの件数が軒並み増加傾向にあります。コロナ禍では、人とのつながりや居場所を持つことが難しくなった人、生きづらさを抱えている人が増え、福祉職場はこうした人たちを支援する役割を担っています。

 施設の利用者とのコミュニケーションを図ることができているか、子どもたちとの関係性を構築する機会を減少させていないか、ともに児童たちを支え合う仲間に声をかけているだろうかと自問自答しながら、私たち職員は支援に奔走しています。それゆえに支援には時間と労力が必要であり、今後は支援体制とネットワークの構築、個に着目した支援が公共サービスに一層求められていると思います。

 そこでの組合の役割は、政策決定する管理者側だけでは気付きにくいものを、現場をよく知る組合員の声として拾い上げ要求し、労使一体で支援の充実につなげることだと考えます。


 長谷川
 さて、自由民主党が次期参議院議員選挙を前に積極的に連合(日本労働組合総連合会)と接触しておりますが、まさに「そういう時代」に入ってきたのだと思います。


 従来から、政権与党と労働組合団体との接触はありましたが、時代の変化、変遷とともに報道の仕方も変化したのだと思います。

 それでも親方日の丸の、景気動向などどこ吹く風、国際経済とは無縁だという感じの反応だったのが自治労だったと思うのですが、さすがに東京都あたりには良識派が存在しているようです。業界紙とはいえ、見開きの意見広告に「労使一体で支援の充実」とは隔世の感があるというか、そういう時代に入ってきたのだなと感じました。

 まあ、船橋市役所はわかりませんが、職員組合は自分たちの待遇改善の前に、住民福祉の増進を考えるべきだと思いますが、聞こえてくる船橋市の職員組合はそうでは無いような話ばかりです。残念に思いますね。

 この樋口支部長の書かれている現状把握・認識ととるべき措置・行動はある意味至極もっともなことだと思います。

 特に、最後の部分「そこでの組合の役割は、政策決定する管理者側だけでは気付きにくいものを、現場をよく知る組合員の声として拾い上げ要求し、労使一体で支援の充実につなげることだと考えます。」は、地方公共団体の幹部職員は肝に銘じるべきですね。

 まあ、最近船橋市の職員諸氏からいただくお話は、経営陣の独善独走ぶりが垣間見えるものばかりです。他の地方公共団体の関係者の皆様には恥ずかしくてお話しできないような話ばかりなので、ずっと堪えに堪えてブログに書くことをここ数ヶ月控えておりますがひどい話ばかり。

 もはや、この際、職員組合諸氏にはもう少し「公務員『団体』」である自覚を持っていただきたいものです。