「衰老の人は、身体の下部に気が少なくて、根本が弱く、気が上りやすい。多く灸をすると、気が上がってしまい、下部はいよいよ空虚になって、足腰が弱ってしまう。気をつけなければいけない。多く灸をしてはいけないのだ。
とくに上部と脚に多く灸をしないほうがよい。身体の中部に灸をするときも、小さなものを一日にただ一穴、もしくは二穴、そして一穴に十壮ばかりにしておくのがよい。
ひとたび気が上がってしまうと、老人は下部の余力が弱く、癖になって、気が上りやすくなる。しかし、老人でも灸に強い人もいて、一概に決められないが、あらかじめ用心しておかなければならない。」
「衰弱した人・老いた人の治療」 と通じるものですね。ここでは灸にしぼって、述べられています。「うなじに灸をしない」 のと、理由は同じです。
『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』