『養生訓』 香の効用(巻七57) | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

「さまざまな香が鼻を養うことは、五味が口を養うようなものである。もろもろの香は、これをかげば正気を助けて、邪気をはらい、悪臭を消し、けがれをとり除いて、神明に通じる。ひまがあれば、静かな部屋にすわり、香をたいて黙坐するのは、雅趣を増して心を養うものだ。これもまた養生の一端といえる。

 香には四種ある。たき香、掛香(かけこう)、食香、貼香(つけこう)である。たき香とは、諸香を合わせてたくことである。中国の書では百和香(ひゃっかこう)という。日本にも、『古今和歌集』の物の名に百和香がよまれている。掛香とは、かおり袋やにおいの玉などをいう。貼香とは、花の露、兵部卿(ひょうぶきょう)などという類の、身につける香である。食香とは食して香のよいもの、透頂香(とうちんこう)、香茶餠(こうさべい)、団茶(だんさ)などのことである。」


お正月、静かに香をたしなむのも、風雅でいいものかもしれませんね。日本には古くから香道があり、高貴な人々が身につけておくべき道のひとつでした。香道で行なわれるのは、たき香ですね。ほんのひとかけらで何十万・何百万という高価な伽羅(きゃら)もあると聞きます。


「百和香」は、ひゃくわこうとも読みます。百草を合わせてつくった練香をさすようですが、中国で「百草」という場合は、「百種類の草」ではなくて、「たくさんの草」。人体の四肢と多くの骨を、四肢百骸(ししひゃくがい)と表現しますからね。


掛香は、今でも和装であればにおい袋を使います。洋装ならば香水をつけますが、これは貼香になるようです。「花の露」はいかにも香の名にふさわしいもの。「兵部卿」はおそらく、『源氏物語』の匂宮が「匂う兵部卿」と呼ばれていたことに由来する命名でしょう。


「透頂香」とは小田原名物の外郎(ういろう)の名。「透頂香」のもとは、医薬品であり、貴族が冠の中に入れていた消臭剤でもあったようです。「香茶餠」は、丸餅のような形の中国茶をさしているのではないでしょうか。プーアール茶など、今でもそうやって発酵させていますよね。「団茶」は、お茶の粉を蒸して板状に固めたものです。


今、香りを楽しむにはアロマセラピーもいいですね。ティッシュに1~2滴たらして、部屋の隅に置いておくだけで、部屋の雰囲気が変わります。からだへつける場合は、必ずオイルやクリーム、あるいはアルコールなどで薄めてくださいね。肌に直接つけても大丈夫なのは、ラベンダーだけです。

アロマを上手に使って、お正月を清々しくお過ごしください(アロマセラピーの目次→新月 )。


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『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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