お正月、着物をお召しになって、新年のご挨拶周りをされるときに、お役に立てるかもしれません。益軒先生流の足のしびれを防ぐ方法です。
「身分の高い人の前に長い時間すわっていたり、公廨(こうかい)に長くすわっていたりして、足がしびれ、急に立つことができなくて、たおれふしてしまうことがある。立とうとする前に、かねてより自分で足の左右の親指をしばしば動かし、屈伸させておくとよい。このようにしておけば、足がしびれてなえることがなく、立てないという心配はなくなる。
日頃から、ときどき両足の親指を屈伸させ、厳しく習慣にしておくと、転筋の不安もなくなる。もし転筋したとしても、足の親指を何度も動かせばなおるものだ。これは救急の方法であり、知っておいたほうがよい。上気する人も、両足を伸ばして、親指を何度も動かしていると、気が下る。この方法もまた、人の益となる。」
正座は、長時間になると、どうしても足がしびれますね。しびれていること自体も心地悪いものですが、いざ立とうというときが本当にやっかい。この一文を読んで、「江戸時代の人も足がしびれたんだ~」と思うと、なんだかほっとしました。
公廨(こうかい)というのは役所や殿様の邸をさします。また、転筋とは、足がつる、こむらがえりのことです。日頃から足の親指を曲げたり伸ばしたりしておく、つまりストレッチしておけということですね。これ、足の冷え予防や、くびのこりの予防にもなりますから、私からもおすすめします。
『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』